学園の王の愛はいらない

starry sky

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今度は尻をさすりながら「朝メシにしようぜ」と神谷が言った。
   夏生はバスローブ姿で颯斗に抱かれて運ばれた。
ヒュゥッと神谷がふざけた口笛を吹いても聞き流すしかない。歩けないものは歩けないのだ。

「女王気質の高級な猫ちゃんが運ばれてるって感じ」

「⋯うるせぇ」

ギロ、と睨んでも神谷には効かない、喜ぶだけだ。
   ダイニングの大きなテーブルには銀のドーム型のカバーが並び、開けると立ち上る湯気が食欲をそそった。
籠いっぱいのブリオッシュやクロワッサンには黄金色のバターと宝石のようなジャムがそえられ、彩り豊かなフルーツは美しく、淹れたてのコーヒーの香りはまだぼんやりしていた意識をはっきりさせた。
   
「腹減った!」

 昨日は夕食なしでセックスに突入したのだ。皿でも食べられそうなくらい腹がへっている。
だが体がだるくて仕方ない。結局颯斗の脚の間に座って食事をとる形になった。弾力のある硬い筋肉にもたれてこめかみを擦り付けると颯斗の股間が反応した。それはもう無視する。
    颯斗が甲斐甲斐しく夏生の口に料理を運ぶ。
ガツガツ食べる夏生を見て目を細める颯斗の姿に「まさかこんな日が来るとはね」とコーヒーを啜りながら神谷が呟いた。

「⋯もういい、腹いっぱい」

夏生の世話が済んでも颯斗は夏生を離さず自分の食事を続けた。
それを自然な事のように夏生も颯斗の腕の中に収まっている。

「ねみぃ」

「寝たら?って言いたいけど俺ら12時の新幹線で帰るんだよね。今回、颯斗独断の強行スケジュールで来たから。サイちゃんもリスケに苦労してたよ」

「そうだ・・・色々聞かないとって思ってた。今更だけど何で来たんだよ、じいさんと約束してたんじゃないのか?プロジェクトを成功させるまでは俺と会わないって」

神谷と颯斗の両方を交互に見ながら聞いた。

「事情が変わったんだ」

颯斗が上品な所作でナプキンを使って口元を拭いた。

「蘭月グループが邪魔してる」

夏生の眠気が一気に覚めた。

「⋯知ってる。土地の所有者や商店街の店主たちとの交渉をありえないやり方で邪魔してるんだろ」

「交渉が進まないと計画に大きく響くから頭が痛い」

「そもそも邪魔してるのが元婚約者とその父親だもんね。颯斗恨み買っちゃってるし、なっちゃんの身も危ないから気が気じゃなくておじいちゃん泣きついたんだよね」

「神谷は黙ってろ」

眉間に皺を寄せる颯斗を夏生が見ると「泣きついてない」と皺を深くして言った。

「大学の時に婚約を解消して以来有紗とは会ってなかった。夏生の事で荒れてたし、落ち着いてからは勉強と仕事で忙しくてパーティや社交は控えてた。たまに有紗から連絡は来てたが放っておいたんだ」

「そしたら有紗ちゃんの方は婚約解消なんてしたつもりはなかったんだよねぇ


「だから黙れって⋯」
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