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「颯斗が双葉グループの後継者って事もその立場の重みも分かってるつもりです。後継者になるために色んなことを学んできただろうし期待もされてる。次の後継者を残すためにも結婚しなくちゃいけないってのも理解は出来ます」
じっと耳を傾ける景行と隣で黙って見守る颯斗。どちらにもちゃんと伝わるようにひとつひとつの言葉に気持ちを込めた。
「だけど、それでも俺は颯斗の隣に立ちたい。颯斗の唯一の伴侶として支え合って生きて行きたいです。この気持ちはこれからもずっと変わりません」
夏生は、自分の意思と覚悟を伝えるべく全身全霊で言葉を紡いだ。
「今回のプロジェクトが成功したら、颯斗の望みを叶えて貰えるって聞いてます」
「ああ、君を颯斗の正式なパートナーにする事を認めると約束した」
「成功させられなかったら今度こそ双葉グループの為に全てを捧げなくてはいけないとも聞きました」
景行が頷くのを見て夏生は続けた。
一瞬だけ躊躇って、しかしそれを振り払って、
「・・・もしも失敗したら・・・もう颯斗を見放してくれませんか?」
「なん・・・だと?」
「夏生・・・?」
二人が同時に目を瞠った。
「今更条件を変えてくれって俺が言うのはおかしいって分かってます。でも、俺がそばにいなくなったら颯斗は、どうせ腑抜けに戻るだけですよ。だらしない孫、また見たいですか?だから俺が貰います」
強引な持論を迷いのない確かな口調で話す夏生。颯斗は驚いた顔で見つめている。景行は目を細めて次の言葉を待つ。
「財産も、服とか車とか今までの教育にかかった金も全部、俺と颯斗で返します。身一つで良いです。だから・・・」
夏生は膝をにじって座布団を降り、畳に手をついて頭を下げた。
「颯斗を俺にください!」
料理の香さえも遠のく様な沈黙が訪れた。
・・・コンッ・・・
遠くで鹿おどしの音が聞こえる。
どのくらい沈黙が続いただろうか。
夏生は顔を上げ、一点の曇りもない目で景行を見た。
すると景行は今にも笑い出しそうなのを堪えるのに必死の形相で、夏生と目が合ったとたん笑い出した。
「わははははははは!!」
座卓をバンバンと叩きながら「ヒィ・・・ヒィ」と笑い続ける景行を、夏生は頭をポリポリかきながら見ていた。
「夏生・・・」
颯斗が夏生の名を呼んだ。
「ギャグって思われてんのかな・・・」
自分の言った言葉のどこがおかしかったのか気になり出した夏生を、颯斗はいきなり抱きしめた。
「・・・ぅわっ!」
颯斗は夏生を抱きすくめ、抱き抱えて決して離さないとばかりにぎゅうぎゅうに締めた。
「こら・・・馬鹿・・・!」
颯斗は目を白黒させる夏生の耳に、直接「好きだ」「嬉しい」「愛してる」を何度も何度も囁いた。
祖父の前だというのに顔中にキスを浴びせ、唇にまで吸いつこうとした時、
「分かった!それでいい!!」
と景行が大きな声で言った。
じっと耳を傾ける景行と隣で黙って見守る颯斗。どちらにもちゃんと伝わるようにひとつひとつの言葉に気持ちを込めた。
「だけど、それでも俺は颯斗の隣に立ちたい。颯斗の唯一の伴侶として支え合って生きて行きたいです。この気持ちはこれからもずっと変わりません」
夏生は、自分の意思と覚悟を伝えるべく全身全霊で言葉を紡いだ。
「今回のプロジェクトが成功したら、颯斗の望みを叶えて貰えるって聞いてます」
「ああ、君を颯斗の正式なパートナーにする事を認めると約束した」
「成功させられなかったら今度こそ双葉グループの為に全てを捧げなくてはいけないとも聞きました」
景行が頷くのを見て夏生は続けた。
一瞬だけ躊躇って、しかしそれを振り払って、
「・・・もしも失敗したら・・・もう颯斗を見放してくれませんか?」
「なん・・・だと?」
「夏生・・・?」
二人が同時に目を瞠った。
「今更条件を変えてくれって俺が言うのはおかしいって分かってます。でも、俺がそばにいなくなったら颯斗は、どうせ腑抜けに戻るだけですよ。だらしない孫、また見たいですか?だから俺が貰います」
強引な持論を迷いのない確かな口調で話す夏生。颯斗は驚いた顔で見つめている。景行は目を細めて次の言葉を待つ。
「財産も、服とか車とか今までの教育にかかった金も全部、俺と颯斗で返します。身一つで良いです。だから・・・」
夏生は膝をにじって座布団を降り、畳に手をついて頭を下げた。
「颯斗を俺にください!」
料理の香さえも遠のく様な沈黙が訪れた。
・・・コンッ・・・
遠くで鹿おどしの音が聞こえる。
どのくらい沈黙が続いただろうか。
夏生は顔を上げ、一点の曇りもない目で景行を見た。
すると景行は今にも笑い出しそうなのを堪えるのに必死の形相で、夏生と目が合ったとたん笑い出した。
「わははははははは!!」
座卓をバンバンと叩きながら「ヒィ・・・ヒィ」と笑い続ける景行を、夏生は頭をポリポリかきながら見ていた。
「夏生・・・」
颯斗が夏生の名を呼んだ。
「ギャグって思われてんのかな・・・」
自分の言った言葉のどこがおかしかったのか気になり出した夏生を、颯斗はいきなり抱きしめた。
「・・・ぅわっ!」
颯斗は夏生を抱きすくめ、抱き抱えて決して離さないとばかりにぎゅうぎゅうに締めた。
「こら・・・馬鹿・・・!」
颯斗は目を白黒させる夏生の耳に、直接「好きだ」「嬉しい」「愛してる」を何度も何度も囁いた。
祖父の前だというのに顔中にキスを浴びせ、唇にまで吸いつこうとした時、
「分かった!それでいい!!」
と景行が大きな声で言った。
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