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第12話 サボリニキが想像と違う件について
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サボリニキが来てくれることが決まって3日後の今日、午後4時。
俺は最寄りの駅に来た。
仕事を早めに切り上げて来れる最速の時間がそろそろらしいのだが……
「──黒のフード付きパーカー……あなた、スレ主ですか?」
スマホをいじっていると背後から透明感のある甘い男性の声が聞こえてきた。
その声に俺はスマホから顔を上げ、後ろを振り返る。
事前に伝えていた目印の『黒のフード付きパーカー』を言ったということは、この人が……
「……サボリニキ?」
「お! 合ってた! うん、僕が──『ワイ』が、って言った方がいいかな?──サボリニキだよ」
……待って、誰?
いや違くて……サボリニキってことは分かったんやが、雰囲気違いすぎねえかおい。
「え、マジで?」
「え、マジで」
「えぇ……?」
やべぇ、俺の全細胞が目の前の男がサボリニキだってことを否定してやがる。
このセリフ、ダンジョンの中とかで言えばかっこいいのにな。
「ほらスレ見てみ」
サボリニキ(自称)の言う通りスレを開くと、
504.サボリニキ
ワイ、スレ主とすれ違い通信
ここと雰囲気違いすぎて信じられてない模様ww
505.名無しのダンジョン好き
うお!! エンカしたマジ????
506.名無しのダンジョン好き
スレ主に配信するよう伝えてくれよなっ
「ね?」
「証明方法がスレ民すぎる」
とはいえ、これで目の前の好青年爽やか男子があのサボリニキであることが確定してしまった。
今更だけど、『ニキ』でよかった。『ネキ』だったら申し訳なさすぎるし、俺の陰キャパワーが発動してしまう。
「……よかろう。我が根城に案内しようぞ」
「口ぶりが魔王じゃん」
サボリニキを伴って十数分も歩けば、俺のダンジョンの前まで辿り着いた。
あぁ、あと、お互いリアルのことはあまり詮索しないでおこうということになった。
ダンジョン作りに関係ないし、あくまで『スレ主』と『スレ民』って立場だからな。
俺としても助かるし、なんら問題はない。
なんの仕事してるかだけは知りたかったが。
「よし、ここだ」
俺たちは、崖の斜面にある、ひと1人分の大きさで奥に見えない洞穴の前につく。
「……犯罪臭えっぐ……」
「ってか、犯罪だよな?」
「うん。ダンジョン法で『ダンジョンの私有』は禁じられてるからね」
待って、違反してるとは思ってたけど、思ったよりしっかりアウトじゃん。
「でもこれ、子供たちが遊んでたら入られたりするんじゃない?」
サボリニキが至極真っ当な質問を投げかける。
「ふっふっふ、まぁまぁ入ってくれたまえ」
「うわぁすごくうざい」
俺があとで殴ろうと決意する中、サボリニキは洞穴の中に進む。
……めっちゃスタイルいいじゃん。ずるい。
「ん? 【合言葉】?」
俺は煩悩を振り払いながらサボリニキの質問に答える。
「なんか、ダンジョンが『ダンジョン』として機能するまでは一般公開できんらしい」
「なにその今どき機能」
俺も思う。でも、【並び替え】のタブあったし今更かと思ってる。
「んま、だからその心配は大丈夫ってこと。んじゃ中入るぞー!」
サボリニキには一旦外に出てもらい、今度は俺が洞穴に入る。
ブーブー
『合言葉を。あい、言葉をどうぞ』
「『スレ主マジ神』」
『確認しました。ダンジョンへ転送されます』
「よし。サボリニキも早く来いよー」
「待っていろいろツッコませ──」
俺は視界が真っ白に染まり、独特な浮遊感が来る。
そして、地面の感触が戻り、視界も晴れるとゴブリンたちがせっせと働く光景が見えた。
「うむ。何回見てもこのスキルヤバいな」
当たり障りの無い感想をひとり呟いていると、俺の隣が光りだした。
そしてすぐ収まると、爽やかイケメンがいた。
「合言葉ゴミすぎない?」
「承認欲求上げさせてよ。君たち来るって聞いて合言葉これにしたんだから」
「なおさらゴミすぎない?」
「ひどくね?」
サボリニキよ、甘い声だからって何言っても許されると思うなよ?
俺氏よ、スレ主だからって何しても許されると思うなよ?
サボリニキが「すげぇー……」と言いながらダンジョンを歩き回りながら、俺は早速限定配信の準備をする。
んで、リンクをぽいっと。
:きたああああ!!
:はい恒例のスレ主ドアップ
「おいそれ恒例にするなよ」
すぐに飛んできたスレ民にツッコミながら、サボリニキを呼ぶ。
「あ、もう配信してる? いえーい、みってるぅー?」
:は? は!?!?
:おい誰だよ
:スレ主騙された?
:こんなクラスの一軍男子みたいなやつがワイと同じスレ民とか認めんぞ
「だよな。俺も思う」
「そう言われましても」
スレ民よ、俺もそっち側だからな。今回だけは味方じゃねーか。
:てか待って、サボリニキ見たことあるんやが
:↑俺も思った
すると、意味深なコメントが流れ始めた。
「え、どゆこと? 未来予知?」
「いやなんで第1候補未来予知なの? ってか、やっぱバレるよねぇ……」
おい待て、指摘された本人がそんなこと言ったらもう格上のやつって相場が決まってるんだ。
ラノベなら。現実は知らんけど。
:あ、埼玉県庁ダンジョン科の副長じゃね?
:あー! 前のスタンピードの時に会見行ってた人か
:いや「人か」じゃないんよ。えっえっ??
「……え?」
それ、めっちゃやべー人じゃん。
:なんでスレ主が知らねーんだよ
:草
:え、てかサボリニキってマジで副長なの??
「どうも副長ことサボリニキです」
スレ民が疑いの念をサボリニキに送ると、するっと白状しやがった。
えっえっ………………
「じゃあサボるなよ」
「えっそこ?」
「えっ?」
「えっ?」
:違うスレ主、今そこじゃない
:そうだけど、そのフェーズじゃない
:それラノベの場面切り替えの直前に笑いとるやつだからもうちょい我慢して
:↑指摘が俺たちすぎる
俺は最寄りの駅に来た。
仕事を早めに切り上げて来れる最速の時間がそろそろらしいのだが……
「──黒のフード付きパーカー……あなた、スレ主ですか?」
スマホをいじっていると背後から透明感のある甘い男性の声が聞こえてきた。
その声に俺はスマホから顔を上げ、後ろを振り返る。
事前に伝えていた目印の『黒のフード付きパーカー』を言ったということは、この人が……
「……サボリニキ?」
「お! 合ってた! うん、僕が──『ワイ』が、って言った方がいいかな?──サボリニキだよ」
……待って、誰?
いや違くて……サボリニキってことは分かったんやが、雰囲気違いすぎねえかおい。
「え、マジで?」
「え、マジで」
「えぇ……?」
やべぇ、俺の全細胞が目の前の男がサボリニキだってことを否定してやがる。
このセリフ、ダンジョンの中とかで言えばかっこいいのにな。
「ほらスレ見てみ」
サボリニキ(自称)の言う通りスレを開くと、
504.サボリニキ
ワイ、スレ主とすれ違い通信
ここと雰囲気違いすぎて信じられてない模様ww
505.名無しのダンジョン好き
うお!! エンカしたマジ????
506.名無しのダンジョン好き
スレ主に配信するよう伝えてくれよなっ
「ね?」
「証明方法がスレ民すぎる」
とはいえ、これで目の前の好青年爽やか男子があのサボリニキであることが確定してしまった。
今更だけど、『ニキ』でよかった。『ネキ』だったら申し訳なさすぎるし、俺の陰キャパワーが発動してしまう。
「……よかろう。我が根城に案内しようぞ」
「口ぶりが魔王じゃん」
サボリニキを伴って十数分も歩けば、俺のダンジョンの前まで辿り着いた。
あぁ、あと、お互いリアルのことはあまり詮索しないでおこうということになった。
ダンジョン作りに関係ないし、あくまで『スレ主』と『スレ民』って立場だからな。
俺としても助かるし、なんら問題はない。
なんの仕事してるかだけは知りたかったが。
「よし、ここだ」
俺たちは、崖の斜面にある、ひと1人分の大きさで奥に見えない洞穴の前につく。
「……犯罪臭えっぐ……」
「ってか、犯罪だよな?」
「うん。ダンジョン法で『ダンジョンの私有』は禁じられてるからね」
待って、違反してるとは思ってたけど、思ったよりしっかりアウトじゃん。
「でもこれ、子供たちが遊んでたら入られたりするんじゃない?」
サボリニキが至極真っ当な質問を投げかける。
「ふっふっふ、まぁまぁ入ってくれたまえ」
「うわぁすごくうざい」
俺があとで殴ろうと決意する中、サボリニキは洞穴の中に進む。
……めっちゃスタイルいいじゃん。ずるい。
「ん? 【合言葉】?」
俺は煩悩を振り払いながらサボリニキの質問に答える。
「なんか、ダンジョンが『ダンジョン』として機能するまでは一般公開できんらしい」
「なにその今どき機能」
俺も思う。でも、【並び替え】のタブあったし今更かと思ってる。
「んま、だからその心配は大丈夫ってこと。んじゃ中入るぞー!」
サボリニキには一旦外に出てもらい、今度は俺が洞穴に入る。
ブーブー
『合言葉を。あい、言葉をどうぞ』
「『スレ主マジ神』」
『確認しました。ダンジョンへ転送されます』
「よし。サボリニキも早く来いよー」
「待っていろいろツッコませ──」
俺は視界が真っ白に染まり、独特な浮遊感が来る。
そして、地面の感触が戻り、視界も晴れるとゴブリンたちがせっせと働く光景が見えた。
「うむ。何回見てもこのスキルヤバいな」
当たり障りの無い感想をひとり呟いていると、俺の隣が光りだした。
そしてすぐ収まると、爽やかイケメンがいた。
「合言葉ゴミすぎない?」
「承認欲求上げさせてよ。君たち来るって聞いて合言葉これにしたんだから」
「なおさらゴミすぎない?」
「ひどくね?」
サボリニキよ、甘い声だからって何言っても許されると思うなよ?
俺氏よ、スレ主だからって何しても許されると思うなよ?
サボリニキが「すげぇー……」と言いながらダンジョンを歩き回りながら、俺は早速限定配信の準備をする。
んで、リンクをぽいっと。
:きたああああ!!
:はい恒例のスレ主ドアップ
「おいそれ恒例にするなよ」
すぐに飛んできたスレ民にツッコミながら、サボリニキを呼ぶ。
「あ、もう配信してる? いえーい、みってるぅー?」
:は? は!?!?
:おい誰だよ
:スレ主騙された?
:こんなクラスの一軍男子みたいなやつがワイと同じスレ民とか認めんぞ
「だよな。俺も思う」
「そう言われましても」
スレ民よ、俺もそっち側だからな。今回だけは味方じゃねーか。
:てか待って、サボリニキ見たことあるんやが
:↑俺も思った
すると、意味深なコメントが流れ始めた。
「え、どゆこと? 未来予知?」
「いやなんで第1候補未来予知なの? ってか、やっぱバレるよねぇ……」
おい待て、指摘された本人がそんなこと言ったらもう格上のやつって相場が決まってるんだ。
ラノベなら。現実は知らんけど。
:あ、埼玉県庁ダンジョン科の副長じゃね?
:あー! 前のスタンピードの時に会見行ってた人か
:いや「人か」じゃないんよ。えっえっ??
「……え?」
それ、めっちゃやべー人じゃん。
:なんでスレ主が知らねーんだよ
:草
:え、てかサボリニキってマジで副長なの??
「どうも副長ことサボリニキです」
スレ民が疑いの念をサボリニキに送ると、するっと白状しやがった。
えっえっ………………
「じゃあサボるなよ」
「えっそこ?」
「えっ?」
「えっ?」
:違うスレ主、今そこじゃない
:そうだけど、そのフェーズじゃない
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:↑指摘が俺たちすぎる
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