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第37話 ただぁ!
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『大切な話があるから、睡眠を取り次第、至急埼玉県庁へ』
「そんな『職員室への呼び出し』みたいなチャット送んなよ」
埼玉県庁前でタクシーから降りる。
時刻は13時。
充分な睡眠をとり昼食も食べたあと、すぐにタクシーで埼玉県庁を訪れた。
サボりたい気持ちもあったが、『大切』だとか『至急』だとか言われたら、さすがに行くしかなかった。
中に入ると、既にサボリニキが入り口付近で待っていた。
深夜テンションメイキングの内容が濃ゆかったせいで感覚が狂っているが、たったの2日振りの再開である。
なので、軽く挨拶を交わすと、すぐに目的の部屋──第一会議室に案内された。
中に入ると、
「遅かったな」
とまるで友人のように挨拶をしてくる男が1人。彼以外には誰もいなかった。
「えっと」
「彼が埼玉県ダンジョン科長の九条綾人だよ」
……科長だと?
「え、ほんとに呼び出し食らったの? 俺」
完全に『先生と生徒』じゃん。今の俺。
「くはっ! 面白いことを言うな。だが安心しろ。説教ではないぞ」
「よかったぁ……」
「今のところ」
「今のところ?」
会議室の中は照明が灯されていなく、代わりにプロジェクターが用意されており、壁にパワ〇が映し出されていた。
「やっと、スレ主くん──今や国家の最高重要人物である君に会えたのだから、もう少し雑談をしたいところだが……あいにく時間が無いものでな。早速本題に入らせてくれ」
九条さんが水を一口飲むと、パ〇ポが映し出された壁に近づく。
どうやら今回の話は、俺とサボリニキ、そして九条さんの3人だけで行うようだ。
……堅苦しそー。
「まずはこれを見て欲しい」
エンターキーをカタッと鳴らして次のスライドに移る。
そこには、強く光輝く水晶があった。
「これは『現実世界の魔力に反応する』水晶──簡単に言えば、スタンピード探知機だ」
「言い換えなくても分かるわ」
「スレ主。今配信中じゃないから。この人ダンジョン科長だから」
「さーせん」
くっそツッコむのが癖になってるぜ。
はたまた、シリアスくんを登場させたくないという直感か。
どっちでもいいじゃねえかよ、おい。
「でもこれ、すごく輝いてますね……」
こんなに綺麗な魔道具、見たことないな……。
「この魔道具、光が強いほど──地上の魔力量が多いということだ。そしてこの光だが、3日前のダンジョン総括会議の10倍、いやそれ以上の強さだ。
まぁ、スレ主くんにはこれがどういうことか分からないだろうが、まとめると…………このペースだとあと僅か1週間で日本全国同時スタンピードが起きてしまう、ということだ」
「……は?」
思わずそう呟き、あんぐりと口を開けてしまう。
いや……は?
話が違うにも程があるだろ。
「……あと1ヶ月という話は」
「異常発生当初の観測結果だ。『完璧』は我々にも予測できない」
それは……そうだけど!!
こっちにもこっちの都合ってものが────
「──ただぁ!!」
科長が机をバンッと叩く。
「「粗〇?」」
おいマジかよ。ダンジョン科長も『こちら側』の人間なのかよ。
ニッと口角を妖しく上げ、この絶望的状況の中、メガネの奥にあるその瞳に光を灯す推定齢40歳。
てか、そのいかついメガネフォルムの白スーツおじさんが「ただぁ!!」とか言うなよ。
ただただ強すぎるって。
普通にホラーだろ。
……失礼すぎるだろ。
「こちらもすぐに動いた甲斐があったんだ」
九条さんは再度エンターキーを押し込み、次のスライドを表示する。
そこには…………
「お、おぉ……!」
スタンピードに備えた数多くの準備が、ほとんど終えているということが記されてあった。
例を挙げれば、「他国への高ランク冒険者派遣要請」、「避難計画」などなど。
「これでできる限りは対抗できる」
「"できる限り"、なんですね」
つい、その言葉が気になってしまった。
当然のことではあるが……やはり手を貸す身としては全員を救いたい。
…………って。
「なるほど。『なんとかできないか』という頼みを今日はしたかったのか」
「ご明察だ。ちなみに、そもそもあの人数を受け入れられそうか?」
「人数は、まぁ大丈夫じゃないっすかね。ただ、受け入れる時間が無いです」
「たとえ明日から避難開始しても?」
「今日開始したとしても」
これは間違いない。
こっちの入口は、山の茂みに空いた人ひとり分の穴なんだぞ?
だから、それ以外の方法で──────
「じゃ、頑張ってなんとかしてくれ」
「すみません。よく聞きませんでした」
「聞こえてはいたのかよ」
いや、は?? ここでまさかの、
別の方法探す
↓
キュインキュインキュインキュインキュインキュイン!!!!!
↓
気☆合☆論
だと……???
その後の俺の反論……というか正論虚しく、『俺がなんとかする』方針で固まって帰らされた。
「そんな『職員室への呼び出し』みたいなチャット送んなよ」
埼玉県庁前でタクシーから降りる。
時刻は13時。
充分な睡眠をとり昼食も食べたあと、すぐにタクシーで埼玉県庁を訪れた。
サボりたい気持ちもあったが、『大切』だとか『至急』だとか言われたら、さすがに行くしかなかった。
中に入ると、既にサボリニキが入り口付近で待っていた。
深夜テンションメイキングの内容が濃ゆかったせいで感覚が狂っているが、たったの2日振りの再開である。
なので、軽く挨拶を交わすと、すぐに目的の部屋──第一会議室に案内された。
中に入ると、
「遅かったな」
とまるで友人のように挨拶をしてくる男が1人。彼以外には誰もいなかった。
「えっと」
「彼が埼玉県ダンジョン科長の九条綾人だよ」
……科長だと?
「え、ほんとに呼び出し食らったの? 俺」
完全に『先生と生徒』じゃん。今の俺。
「くはっ! 面白いことを言うな。だが安心しろ。説教ではないぞ」
「よかったぁ……」
「今のところ」
「今のところ?」
会議室の中は照明が灯されていなく、代わりにプロジェクターが用意されており、壁にパワ〇が映し出されていた。
「やっと、スレ主くん──今や国家の最高重要人物である君に会えたのだから、もう少し雑談をしたいところだが……あいにく時間が無いものでな。早速本題に入らせてくれ」
九条さんが水を一口飲むと、パ〇ポが映し出された壁に近づく。
どうやら今回の話は、俺とサボリニキ、そして九条さんの3人だけで行うようだ。
……堅苦しそー。
「まずはこれを見て欲しい」
エンターキーをカタッと鳴らして次のスライドに移る。
そこには、強く光輝く水晶があった。
「これは『現実世界の魔力に反応する』水晶──簡単に言えば、スタンピード探知機だ」
「言い換えなくても分かるわ」
「スレ主。今配信中じゃないから。この人ダンジョン科長だから」
「さーせん」
くっそツッコむのが癖になってるぜ。
はたまた、シリアスくんを登場させたくないという直感か。
どっちでもいいじゃねえかよ、おい。
「でもこれ、すごく輝いてますね……」
こんなに綺麗な魔道具、見たことないな……。
「この魔道具、光が強いほど──地上の魔力量が多いということだ。そしてこの光だが、3日前のダンジョン総括会議の10倍、いやそれ以上の強さだ。
まぁ、スレ主くんにはこれがどういうことか分からないだろうが、まとめると…………このペースだとあと僅か1週間で日本全国同時スタンピードが起きてしまう、ということだ」
「……は?」
思わずそう呟き、あんぐりと口を開けてしまう。
いや……は?
話が違うにも程があるだろ。
「……あと1ヶ月という話は」
「異常発生当初の観測結果だ。『完璧』は我々にも予測できない」
それは……そうだけど!!
こっちにもこっちの都合ってものが────
「──ただぁ!!」
科長が机をバンッと叩く。
「「粗〇?」」
おいマジかよ。ダンジョン科長も『こちら側』の人間なのかよ。
ニッと口角を妖しく上げ、この絶望的状況の中、メガネの奥にあるその瞳に光を灯す推定齢40歳。
てか、そのいかついメガネフォルムの白スーツおじさんが「ただぁ!!」とか言うなよ。
ただただ強すぎるって。
普通にホラーだろ。
……失礼すぎるだろ。
「こちらもすぐに動いた甲斐があったんだ」
九条さんは再度エンターキーを押し込み、次のスライドを表示する。
そこには…………
「お、おぉ……!」
スタンピードに備えた数多くの準備が、ほとんど終えているということが記されてあった。
例を挙げれば、「他国への高ランク冒険者派遣要請」、「避難計画」などなど。
「これでできる限りは対抗できる」
「"できる限り"、なんですね」
つい、その言葉が気になってしまった。
当然のことではあるが……やはり手を貸す身としては全員を救いたい。
…………って。
「なるほど。『なんとかできないか』という頼みを今日はしたかったのか」
「ご明察だ。ちなみに、そもそもあの人数を受け入れられそうか?」
「人数は、まぁ大丈夫じゃないっすかね。ただ、受け入れる時間が無いです」
「たとえ明日から避難開始しても?」
「今日開始したとしても」
これは間違いない。
こっちの入口は、山の茂みに空いた人ひとり分の穴なんだぞ?
だから、それ以外の方法で──────
「じゃ、頑張ってなんとかしてくれ」
「すみません。よく聞きませんでした」
「聞こえてはいたのかよ」
いや、は?? ここでまさかの、
別の方法探す
↓
キュインキュインキュインキュインキュインキュイン!!!!!
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気☆合☆論
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