おけおけ、まずはこれ書いて

塩澤

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もう数えてないよお…泣

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「おまえとのこんやくをはきちゅる」

「お前との婚約を破棄する」

「ミレリア・ラナ・ウォーストン。貴様との婚約を今日をもって破棄する運びとする」



もう何度婚約破棄されるのだろうか。



目の前で憤慨している、この国の第一王子、リュカ殿下。僕の1つ上である。
僕とリュカ殿下は僕が3歳の頃に婚約した。僕は公爵家の次男として生まれ、それはそれは愛されながら大切に育てられた。その平穏に急に影を刺したのは、王族からのお茶会の招待状だった。
そこでリュカ殿下と初めて対面し、次の日に婚約の申し入れが僕の元にきた。

王族と別に故意にする必要のないほど潤っていた我が公爵家であったけれど、王族からの申し入れを断ることはできず、王妃教育も始まることになった。

右も左も分からない状態であったけれど、王妃教育の先生や家族の温かな支えもあって何とかやっていた。

そんなある日、初めての婚約破棄騒動が起こる。

初めての婚約破棄宣言は…そうそう、僕がリュカ殿下の遊びの相手を断ったこと。僕は3歳で初めて会ったリュカ殿下に一目惚れしていたこともあってその時はリュカ殿下に縋りついて泣いた。

「リュカでんかあ…うぅぐすぐす…ぼくのこともういらないんですかあ…うぅ…ぐすぐす」

「ふ、ふん!いらなくはないが、きちゃまがどうしてもというならこのこんやくをつづけてやろう!」

「わああ!ほんとでちゅか!リュカでんか!だいちゅき!」



あー、そんな可愛い思い出もあったなあ。



こいつはそれから何かある事に婚約破棄をチラつかせた。僕としては成長するにつれ、この愛のない婚約の意味と、好きでは無くても婚約破棄を言われ続けて心が疲弊していたこともあった。

こいつ、さっさと婚約破棄したければすればいいのに。父上は、婚約破棄があればすぐにでも家に帰って、領地を与え好きに暮らしていいと仰ってくれている。長年の殿下のお守りのご褒美らしい。

「リュカ殿下も…はあ…素直になればいいのに…。」

父上はたまに訳の分からないことを仰っていた。あいつは僕との婚約をさっさと破棄して、自由になりたいのだろう、欲にとても素直である。

そんな回想をおくっていると、

「…い、おい!聞いてるのか!リア!婚約破棄だ!分かったな!俺は、あ、愛する人が出来たんだ!だからお前との婚約は終わりだ!」

…もういっか。こいつうぜーわ。

「承知しました殿下。ではまずこちらの紙の事項を確認した後、サインをお願いいたします」

僕は多分そろそろ婚約破棄を言い出す時期だと思って用意してた紙を取り出した。

「な、なんだこれは?!」

「なんだ。ではありません。こちらに書いてあること、まあ要約すれば?僕に今後一切近づかないこと、公爵家に迷惑をかけないこと、そちらの有責であるので慰謝料…と言いたいですがお金は特に困ってないので慰謝料はいいです。あーあと、殿下からの大量の贈り物をお返ししますね。ではこちらの書面にサイ…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。お前、婚約破棄…する気なの…か?」

こいつは何を言っているのだろうか。
最近の公務のし過ぎで頭いったか。多分そうだな、若いのに可哀想だ。

「はい。もういいでしょう。僕もそろそろ疲れました。お互い愛のない婚約を続けるより、お互い幸せになる道を見つけましょう。最近の殿下の活躍ぶりは目を見張るものがあります。すぐにでも良き縁談に恵まれるでしょう!あ、愛する人が出来たんですっけ?ではその方とお幸せに!」

なんだこいつ、魂が抜けたみたいに呆けている。

「殿下ー?早くサインしてくださーい?」

すると意識を取り戻した殿下は

「い、嫌だ、!婚約破棄はしない。絶対にしない!!!!!!!!」

いや、お前がするって言ったんじゃん。
あー、契約書がビリビリに破かれていく~。なんなんだ、こいつ。

「と、とにかく、婚約破棄はなし!贈り物も返すな!いいな!」

殿下は僕の返事も聞かず部屋を出て行ってしまった。

気の抜けた僕はズルズルとソファから落ちた。

もうあいつのお守りやだ~
何考えてるかわかんなーーーーーーい!













僕の心の内は誰にも聞かれることはなかった。
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