お世話になります ~仕事先で男の乳首を開発してしまいました~

餅月ぺたこ

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2.秋の夜長のカオス

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 秋晴れの、十月の金曜日。

 取引先との商談を終え、駅の自販機で買った缶コーヒーを一気に飲んで、大夢はようやく一息つくことができた。

 大夢の勤める会社は、自動車メーカーが親会社にある所謂グループ企業だ。業務は自動車販売だけでなく、電子機器や樹脂製品、最近では建設も手掛けていて、技術の研究開発まで入れると部門も業種も多岐にわたる。

 流石に専門知識もない研究職への異動はないだろうが、工場で手も作業着も油にまみれていた自分が、今やスーツを着て毎日取引先を回り、数字に追われる身になるとは人生分からないものである。

 今回は海外で納期の遅れていた部品を、なんとか受注してくれる国内の工場を見つけることにてんやわんやだった。大きなロスを出す前に回避できて本当に良かった。

 兎にも角にも今週ずっと大夢を悩ませていた案件が片付き、明日は書類を仕上げることに集中できる。そうなると、久々に日曜日が丸々休日にできそうだ。

 そんな大夢の予定が佐藤の耳に入ったのは土曜日の朝だった。

「じゃあ、今夜お前ん家でメシ食べていい?」

「……佐藤、絶対狙ってるだろ」

 大夢と同じく土曜出勤していた佐藤が、悪びれることなく家に来たがることに大夢が呆れる。佐藤の目的は家政夫、市井の手料理だ。

 宥めるように佐藤は大夢の肩に腕を回してきた。

「まぁ、まぁ、市井さんの好きな美味い日本酒も持っていくからさぁっ」

 だからお願い、と擦り寄ってくる佐藤を押しやりながら、大夢は少し意外な思いで尋ねた。

「なんで市井さんの好きな酒を佐藤が知ってるんだよ」

 市井が日本酒好きとは初耳だった。佐藤の口調は軽い。

「先週聞いたんだよ。因みに好きな色は青で、4月生まれ」

「なんで知ってんの!?」

 市井のことなど、家事の手際の良さくらいしか大夢は知らない。むしろ、どういう流れでそのどうでもいい個人情報を入手したのか。

 驚きを隠せない大夢とは対照的に、佐藤は終始何てことない感じで答えた。

「だから先週。お前の家から帰る道で駅まで一緒だったから。……あれ? ひょっとして妬いてる?」

「妬いてないしっ。このっ、ニヤニヤすんな」

 半目でニヤケ顔になる佐藤の両頬を抓ってやったが、佐藤は楽しそうに更に追い打ちをかけてきた。

「おいおい、まさか八木沢クンは、あんなにお世話になってる市井さんのフルネームも知らないの?」

 それくらい知ってる! と言いたかったが、全然知らない。

「し……知らなくていいしっ」

「いやー、なんかゴメンね。市井さんと仲良しで」

 勝ち誇ったように笑う佐藤に、大夢は訳の分からない敗北感でいっぱいだった。

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