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第1次『国家改造の建白書』
第37帖。相変わらず三国志とおっぱいが好きな悠太郎。(弓引く者たち)。
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王様が慕われているのは分かった悠太郎であるが、同時に、十国の状況が思っていた以上に良くないことが分かった。お家騒動というヒビにつけこまれれば王都への侵攻とシャーリー姫の薄い本発行は夢物語ではない。
分かりやすく三国志に例うれば、曹操・荀イクが用いた二虎競食の計の劉備と呂布よろしく、王様と現王女の派閥を争わせる。さすれば十国は内側から崩壊する。内乱で勝手に滅んでくれるのである。あとはその空白地に兵を進めれば労せずして王都を占領できる。
お家騒動はどこの時代、いずれの国家にも付き物だが、それを間近で見る日が来ようとは。例えば漢祖・劉邦が死んだあとの呂皇后みたいに、お家騒動とは醜いものであると悠太郎は思っていた。そしてたいていが兄弟や親子で争うのだから、仲良くすれば解決するのにと思っていた。国が傾くまで骨肉の争いをして、喜ぶのは隣国だけなのに愚かな、と思っていた。
ところがいざ目の前にお家騒動があると、そうは思わない。お家騒動の中心人物(王様と現王女)よりも、それを取り巻く大臣たちに腹が立った。誰か現王女に注進する者はいないのか。貂蝉を差し出した王允のように体を張って止める者はいないのか。
どうやらいないのが現実らしい。大臣たちは現王女から目をそらしていた。誰もが傍観者であるらしい。みんながみんな「その他大勢」なのだ。
そしてお家騒動がこんなにも分かりやすいなんて悠太郎は思いも寄らなかった。
――むしろここまで分かりやすいと逆に解決しないわな。
悠太郎の思うところによれば、この場の大多数が王様を慕っている。それは実際その通りだったが、とまれ、現王女に付き従う者もわずかながらいる。お家騒動を終わらせたくばそれらの人々をあぶり出して追放すれば収束する。簡単である。
――でも簡単だから出来ねえんだよなー。
現王女の派閥を露骨に弾圧すれば、十国の王は「王妃を手にかける冷酷非道なジジイなり」と世間は受け取り、それは王都を攻める絶好の口実となる。いかに王といえども通るべき道がある。
今は中世前期。戦国時代である。ちょっとでもスキがあれば隣の領地を奪わんとする時代に露骨なことは出来ない。まして悠太郎の案の1つ……国内すべての家庭に聖書の配布を、という項目に反してしまう。汝の隣人を愛せよ、という文言が唯一教の聖書の中に出て来る。
なかつくにの威光を利用して国家改造をする気マンマンなのに、言い出しっぺ(王様)が汝の隣人を愛していなくては、誰も着いてこない。
「勇者殿。せっかくの日にかような醜態、申し訳ない」
「王様のせいじゃないだろ」
「あれも王族じゃて。……卯の侯爵をあしらったお主の手腕。あれは一朝一夕で身に付くものではない。さぞかし苦労を積まれたことと思う。これからも十国を、どうか頼む」
ざわ、となる。
王様が悠太郎に向かって頭を下げた。
「陛下、なりません」と、さすがのアウグストも諌めるのだった。「王とは国の頂点。相手がいかに勇者殿といえども、かようなことはしてはなりませぬ」
「アウグスト。良いのだ」
「陛下自らが頭を下げるなどと。勇者殿の地位は近衛副団長なのです。順列を乱しては国内に対して申し訳が」
「良い。控えよ」
「はっ」
「勇者殿。十国は新しく生まれ変わらねばならん。これは生みの苦しみよりもさらに倍する辛苦であると思う。今まであるものを改造するというのは、新たに作り出すことの幾層倍も難しいもの。儂は新王にして天下国家の様子が分からぬときは、どうか助けてもらいたい」
謙虚だった。本当にここは中世なのかと悠太郎は自分の知識を疑った。騎士にせよ王族にせよ、上から目線で物を言うのが当たり前の世界。そんな殺伐とした世界にこの温かさはどうしたことか。
周囲から鼻をすする音が聞こえ始める。すすり泣きだった。各大臣たちが泣いている。一堂が王様への忠誠心を新たにした瞬間だった。
「さて皆の衆」と王様はシメの言葉に入った。「よくぞ着いて来てくれた。礼を言うあっ、シャーリー・マイ・ラブどこへ行く!」
???
その場の全員の頭にハテナが浮かぶ。王様がいきなりアホなことを言い出した。
王様の視線の先。
ドンジョン3階からコッソリいなくなろうとしているシャーリー姫であった。明らかに帰ろうとしている。
「だってパパのお話長いんだもん」
「そんなこと言わないでよシャーリー! これも十国を思ってこそなんだよ」
「でも長いもん」
「ごめんよシャーリー♪ およよ……(泣)」
嘘泣きして娘の同情を買おうとしているバカ親。猫なで声の辺りが気持ちが悪い。しょうもないジジイである。
その場の全員が苦笑いをしている。前言撤回。駄目だこの王様。良い意味で駄目だ。だからこそ皆、この王様を守ろうとしている。
シャーリー姫が言い出す。
「あ、そうだ。ねーパパー。あたしと悠太郎との結婚式っていつなの?」
「それだがのう。シャーリーや。少々延期することになった」
「……延期?」
シャーリー姫の顔がたちまち曇る。
王様は慌てて釈明に入る。
「う、うむ。ケンパクショの項目の……ええと」
「第1項目です。王陛下」
「さすがアウグストじゃ。そうそう。第1項目の、節約に関する条例じゃ。冬も間近じゃし、王都移転の話も具体的にせねばならぬ時期じゃろう。宮殿を造り式を挙げることは後世のために重要である。しかし今はもうちょっと待って欲しいのじゃ」
「うー。やだ! やるって言ったじゃん!」
「ご、ごめんよ。パパこれでもがんばって」
「いっつもそうじゃん! がんばってるって言ってるけど! どうせあたしのことなんてどうでもいいんでしょ!」
「そんなことない! ほ、ほら勇者殿も何か言ってやってくれ」
え? 僕に振るの?
悠太郎はビックリした。まさかここで矛先を移されようとは。
「えーとシャーリー」
「悠太郎!」とシャーリー姫は抱きついてきた。おっぱいおっぱい。うむ、おっぱいだ。
「おわっぷ、抱きつくなって」
「嬉しいクセにー!」
「そんなことないって。で、その、式だけど」
「ユーリからも言ってよ! パパに!」
「あの、その建白書を作ったの、僕なんだけど。当人がそんなこと言えない」
「関係ないでしょそんなの。ほらー、ユーリからも言ってよ。書き間違えただけでしょ。すぐにでも式やっちゃおうって」
「今は十国が一丸となって国難にあたるときだ。限りある資金を節約しないと。そりゃあ過度な節約はするつもりないけど」
「いいじゃん別に」
「シャーリー、僕の話聞いてた?」
「うん! で、式はいつ?」
全然聞いてないぞ、このおっぱい。
王様がイラ立ちを含めて言って来るのだった。
「勇者殿よ。いかに勇者殿といえどシャーリーへのお手つきは許さぬぞ!」
「え、僕にイラ付いてたのかよ! あー、もー、面倒なジジイだな!」
微笑ましくしている大臣連中だった。
その中に1人、渋い顔の人間がいる。アウグストである。これは悠太郎とシャーリー姫とのイチャイチャに腹を立てているのではない。財政官たるブタに対しての怒りである。
――経済が活発になる、だと?
財政官のやつめ。慣れない言葉を使いやがって。アウグストは怒りを覚える。経済という語は明治に入って森鴎外が発明した造語で、中世にはない単語だ。それをあのブタはさも自分のもののように使った。
つまるところ悠太郎のセリフをそのままなぞっているのだ。そしてさりげなく王様に媚びるあたりにもアウグストのイラつきは尽きない。
農政官にしてもそうである。あの鳥ガラのようにやせ細った男もにこにこ笑っているが、その首筋にキスマークがあるのをアウグストは見逃さない。
あれはイコンのキスマークである、とアウグストは即座に見抜いた。バラの花のように鮮やかな赤。あれほどの色はイコンの持つ口紅しかあり得ない。
――イコンに何をしてもらったか知らんが。
せめて首筋のキスマークを隠せ、とアウグストは思う。イコンとどんな夜を楽しんだのか知らんが、その形跡が消えきれていないのである。
不愉快だった。イコンと一時期だけ恋人であったアウグストとしては不愉快極まりない。あんな鳥ガラを説得するためになぜイコンは己を差し出したのか。それほどまでに改良農具とは大事なのか。
騎士たるアウグストに農具の良悪は分からない。だがイコンへの恋慕と敬意はいっそう強まった。
王族とはいえ何の権利も持たぬイコン。それを勇者が頼った。アウグストはその夜イコンと密会し一夜を共にしていた。どうしても改良農具を普及させるため、農政官を訪れる決意を聞いたときは戦慄した覚えがある。
中洲に住む自分を頼る人がいてくれて嬉しい、とイコンはアウグストの胸の中で泣いていた。
それが作り泣きか本物かはいざ知らず、とまれ、アウグストは勇者を支え、国家改造を決心した。イコンの一夜を無駄にしてはならぬ。アウグストの国家改造への意気込みは悠太郎の幾層倍も大きい。大きいからこそ、ふんぞり返っている財政官や農政官に怒りがあった。国家の中枢にあるくせして何もしないブタと鳥に。
悠太郎がシャーリー姫とイチャコラやっているうちに、こっそりと退出する大臣が何人かいる。侍女に「ちょっと用事が……」と言って出て行く。
こっそり退室する者たちがいることに悠太郎は気付かない。しかしアウグストは気付いていた。そして彼らが裏でコッソリやっていることにも、アウグストは薄々気付いているのだった。それは財政官や農政官のしている行為よりも、ずっとずっと重い行為。救国の英雄と国家に弓引く行為を企んでいる、とアウグストは知っていた。
分かりやすく三国志に例うれば、曹操・荀イクが用いた二虎競食の計の劉備と呂布よろしく、王様と現王女の派閥を争わせる。さすれば十国は内側から崩壊する。内乱で勝手に滅んでくれるのである。あとはその空白地に兵を進めれば労せずして王都を占領できる。
お家騒動はどこの時代、いずれの国家にも付き物だが、それを間近で見る日が来ようとは。例えば漢祖・劉邦が死んだあとの呂皇后みたいに、お家騒動とは醜いものであると悠太郎は思っていた。そしてたいていが兄弟や親子で争うのだから、仲良くすれば解決するのにと思っていた。国が傾くまで骨肉の争いをして、喜ぶのは隣国だけなのに愚かな、と思っていた。
ところがいざ目の前にお家騒動があると、そうは思わない。お家騒動の中心人物(王様と現王女)よりも、それを取り巻く大臣たちに腹が立った。誰か現王女に注進する者はいないのか。貂蝉を差し出した王允のように体を張って止める者はいないのか。
どうやらいないのが現実らしい。大臣たちは現王女から目をそらしていた。誰もが傍観者であるらしい。みんながみんな「その他大勢」なのだ。
そしてお家騒動がこんなにも分かりやすいなんて悠太郎は思いも寄らなかった。
――むしろここまで分かりやすいと逆に解決しないわな。
悠太郎の思うところによれば、この場の大多数が王様を慕っている。それは実際その通りだったが、とまれ、現王女に付き従う者もわずかながらいる。お家騒動を終わらせたくばそれらの人々をあぶり出して追放すれば収束する。簡単である。
――でも簡単だから出来ねえんだよなー。
現王女の派閥を露骨に弾圧すれば、十国の王は「王妃を手にかける冷酷非道なジジイなり」と世間は受け取り、それは王都を攻める絶好の口実となる。いかに王といえども通るべき道がある。
今は中世前期。戦国時代である。ちょっとでもスキがあれば隣の領地を奪わんとする時代に露骨なことは出来ない。まして悠太郎の案の1つ……国内すべての家庭に聖書の配布を、という項目に反してしまう。汝の隣人を愛せよ、という文言が唯一教の聖書の中に出て来る。
なかつくにの威光を利用して国家改造をする気マンマンなのに、言い出しっぺ(王様)が汝の隣人を愛していなくては、誰も着いてこない。
「勇者殿。せっかくの日にかような醜態、申し訳ない」
「王様のせいじゃないだろ」
「あれも王族じゃて。……卯の侯爵をあしらったお主の手腕。あれは一朝一夕で身に付くものではない。さぞかし苦労を積まれたことと思う。これからも十国を、どうか頼む」
ざわ、となる。
王様が悠太郎に向かって頭を下げた。
「陛下、なりません」と、さすがのアウグストも諌めるのだった。「王とは国の頂点。相手がいかに勇者殿といえども、かようなことはしてはなりませぬ」
「アウグスト。良いのだ」
「陛下自らが頭を下げるなどと。勇者殿の地位は近衛副団長なのです。順列を乱しては国内に対して申し訳が」
「良い。控えよ」
「はっ」
「勇者殿。十国は新しく生まれ変わらねばならん。これは生みの苦しみよりもさらに倍する辛苦であると思う。今まであるものを改造するというのは、新たに作り出すことの幾層倍も難しいもの。儂は新王にして天下国家の様子が分からぬときは、どうか助けてもらいたい」
謙虚だった。本当にここは中世なのかと悠太郎は自分の知識を疑った。騎士にせよ王族にせよ、上から目線で物を言うのが当たり前の世界。そんな殺伐とした世界にこの温かさはどうしたことか。
周囲から鼻をすする音が聞こえ始める。すすり泣きだった。各大臣たちが泣いている。一堂が王様への忠誠心を新たにした瞬間だった。
「さて皆の衆」と王様はシメの言葉に入った。「よくぞ着いて来てくれた。礼を言うあっ、シャーリー・マイ・ラブどこへ行く!」
???
その場の全員の頭にハテナが浮かぶ。王様がいきなりアホなことを言い出した。
王様の視線の先。
ドンジョン3階からコッソリいなくなろうとしているシャーリー姫であった。明らかに帰ろうとしている。
「だってパパのお話長いんだもん」
「そんなこと言わないでよシャーリー! これも十国を思ってこそなんだよ」
「でも長いもん」
「ごめんよシャーリー♪ およよ……(泣)」
嘘泣きして娘の同情を買おうとしているバカ親。猫なで声の辺りが気持ちが悪い。しょうもないジジイである。
その場の全員が苦笑いをしている。前言撤回。駄目だこの王様。良い意味で駄目だ。だからこそ皆、この王様を守ろうとしている。
シャーリー姫が言い出す。
「あ、そうだ。ねーパパー。あたしと悠太郎との結婚式っていつなの?」
「それだがのう。シャーリーや。少々延期することになった」
「……延期?」
シャーリー姫の顔がたちまち曇る。
王様は慌てて釈明に入る。
「う、うむ。ケンパクショの項目の……ええと」
「第1項目です。王陛下」
「さすがアウグストじゃ。そうそう。第1項目の、節約に関する条例じゃ。冬も間近じゃし、王都移転の話も具体的にせねばならぬ時期じゃろう。宮殿を造り式を挙げることは後世のために重要である。しかし今はもうちょっと待って欲しいのじゃ」
「うー。やだ! やるって言ったじゃん!」
「ご、ごめんよ。パパこれでもがんばって」
「いっつもそうじゃん! がんばってるって言ってるけど! どうせあたしのことなんてどうでもいいんでしょ!」
「そんなことない! ほ、ほら勇者殿も何か言ってやってくれ」
え? 僕に振るの?
悠太郎はビックリした。まさかここで矛先を移されようとは。
「えーとシャーリー」
「悠太郎!」とシャーリー姫は抱きついてきた。おっぱいおっぱい。うむ、おっぱいだ。
「おわっぷ、抱きつくなって」
「嬉しいクセにー!」
「そんなことないって。で、その、式だけど」
「ユーリからも言ってよ! パパに!」
「あの、その建白書を作ったの、僕なんだけど。当人がそんなこと言えない」
「関係ないでしょそんなの。ほらー、ユーリからも言ってよ。書き間違えただけでしょ。すぐにでも式やっちゃおうって」
「今は十国が一丸となって国難にあたるときだ。限りある資金を節約しないと。そりゃあ過度な節約はするつもりないけど」
「いいじゃん別に」
「シャーリー、僕の話聞いてた?」
「うん! で、式はいつ?」
全然聞いてないぞ、このおっぱい。
王様がイラ立ちを含めて言って来るのだった。
「勇者殿よ。いかに勇者殿といえどシャーリーへのお手つきは許さぬぞ!」
「え、僕にイラ付いてたのかよ! あー、もー、面倒なジジイだな!」
微笑ましくしている大臣連中だった。
その中に1人、渋い顔の人間がいる。アウグストである。これは悠太郎とシャーリー姫とのイチャイチャに腹を立てているのではない。財政官たるブタに対しての怒りである。
――経済が活発になる、だと?
財政官のやつめ。慣れない言葉を使いやがって。アウグストは怒りを覚える。経済という語は明治に入って森鴎外が発明した造語で、中世にはない単語だ。それをあのブタはさも自分のもののように使った。
つまるところ悠太郎のセリフをそのままなぞっているのだ。そしてさりげなく王様に媚びるあたりにもアウグストのイラつきは尽きない。
農政官にしてもそうである。あの鳥ガラのようにやせ細った男もにこにこ笑っているが、その首筋にキスマークがあるのをアウグストは見逃さない。
あれはイコンのキスマークである、とアウグストは即座に見抜いた。バラの花のように鮮やかな赤。あれほどの色はイコンの持つ口紅しかあり得ない。
――イコンに何をしてもらったか知らんが。
せめて首筋のキスマークを隠せ、とアウグストは思う。イコンとどんな夜を楽しんだのか知らんが、その形跡が消えきれていないのである。
不愉快だった。イコンと一時期だけ恋人であったアウグストとしては不愉快極まりない。あんな鳥ガラを説得するためになぜイコンは己を差し出したのか。それほどまでに改良農具とは大事なのか。
騎士たるアウグストに農具の良悪は分からない。だがイコンへの恋慕と敬意はいっそう強まった。
王族とはいえ何の権利も持たぬイコン。それを勇者が頼った。アウグストはその夜イコンと密会し一夜を共にしていた。どうしても改良農具を普及させるため、農政官を訪れる決意を聞いたときは戦慄した覚えがある。
中洲に住む自分を頼る人がいてくれて嬉しい、とイコンはアウグストの胸の中で泣いていた。
それが作り泣きか本物かはいざ知らず、とまれ、アウグストは勇者を支え、国家改造を決心した。イコンの一夜を無駄にしてはならぬ。アウグストの国家改造への意気込みは悠太郎の幾層倍も大きい。大きいからこそ、ふんぞり返っている財政官や農政官に怒りがあった。国家の中枢にあるくせして何もしないブタと鳥に。
悠太郎がシャーリー姫とイチャコラやっているうちに、こっそりと退出する大臣が何人かいる。侍女に「ちょっと用事が……」と言って出て行く。
こっそり退室する者たちがいることに悠太郎は気付かない。しかしアウグストは気付いていた。そして彼らが裏でコッソリやっていることにも、アウグストは薄々気付いているのだった。それは財政官や農政官のしている行為よりも、ずっとずっと重い行為。救国の英雄と国家に弓引く行為を企んでいる、とアウグストは知っていた。
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