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第五章
失恋
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「聞かせてくれ」
男らしく凛々しい声でファルにそう言われ、アイーダは息を飲んだ。
場所はアイーダにあてがわれた狭い部屋である。
「アイーダ、シオンをどこで見た?!あいつはどうしている?!」
アイーダは眼を伏せ、眉を寄せると苦しげな表情で俯いた。
「私はケシアの都で、捕らえられた七色の瞳の乙女を見ました。彼女はそこで……白金族人間の王と恋に落ち、王に肌を許しました」
な、に……?!
ファルは、眼を見開いて息を飲んだ。
シオンが、シリウスと恋に落ちた?!
シリウスと、肌を重ねただと?!
ファルは、小刻みに首を振りながらアイーダを見つめた。
……嘘だ。
言葉で確かめた訳じゃないが、俺には分かる。
互いの想いは同じだった筈だ。口付けた時に分かったんだ。
ファルは唇を引き結んだまま、アイーダを凝視した。
…………。
アイーダは、そっと視線を上げてファルを見た。
男らしい眉の下の黄金色の瞳が、真っ直ぐに自分に向かっていて思わず鼓動が跳ねる。
ドキドキとうるさい心臓に困り、アイーダは胸の前で両手を組んだ。
男らしく逞しいファル。彼を自分のものにしたい。……今しか、ない。
アイーダは意を決すると、寝台に腰かけていたファルにそっと近づき、彼の首にフワリと両手を絡めた。
「……私がお慰めします」
「アイーダ……」
艶やかで低いファルの声が自分の胸元で響き、その息の熱さにアイーダの体も熱くなる。
その時である。
眼にも止まらぬ早さで、アイーダの体はファルによって抱きすくめられ、寝台に押し倒された。
その荒々しさに、この後に待っているであろう甘美な世界を想像し、アイーダの体が疼いた。
「ファル様…!」
甘くファルの名を呼び、首を捻って鎖骨を浮き出し、アイーダは目一杯ファルを煽った。
「アイーダ」
「ファル様……私を……七色の瞳の乙女と思い、お抱きくださいませ」
アイーダは囁くようにそう言うと、唇をファルの口元に寄せた。
「フッ」
………?
アイーダはそっとファルの瞳を見上げた。
自分と同じくファルもまた、熱情をはらんだ眼をしているとばかり思っていたのに、彼の眼は冷えきった冬の荒野のように冷たかった。
アイーダは体が急激に冷えるのを感じた。
「俺が愛してるのは、シオンただ一人。
シオンの心があればこそだ。お前じゃ代わりになれない」
「…………!」
「確か、エリルの森で俺とシオンを見たと言ったな」
アイーダは息を飲んだ。
「そして、白金族人間の王とシオンが愛し合っていると」
ファルは、至近距離からアイーダを射抜くように睨んだ。
「なぜお前は今、王都リアラにいる」
アイーダは、コクンと喉を鳴らした。
「お前は馬よりも早いのか?」
ガクガクと小刻みに体が震え出すのを、アイーダは止めることが出来なかった。
「エリルの森に血痕が残されていた。……あそこにいたなら、俺とシオンを見たのなら、誰がシオンを襲ったのか目撃したんじゃないのか!?答えろっ!!」
ファルは、怯えながら震えるアイーダを刺すように見つめた。
……ここにくる前、巫女長レイアに会っていて良かった。
◇◇◇◇
一時間前。
「何が変なんだ」
ファルは恭しく頭を垂れる巫女長レイアを見つめた。
「アイーダには、なにか不穏な気配がいたします」
「その根拠は」
「門兵隊長に聞きますと、馬にも乗らず徒歩で城門前をうろつき、全身は傷にまみれていたとか。
エリルの森で王子と七色の瞳の乙女を見ていたなら、なぜシオンが襲われた時にすぐ王子にご報告しなかったのでしょう。
なぜそこから姿を消し、ケシアの都へ行ったのでしょう?
そして今度はケシアから、このリアラへ馬にも乗らずにどうやってこんな短時間で来られたのでしょうか」
ファルは押し黙った。
……確かにそうだ。
ケシアはリーリアス帝国最北の都で、王都リアラからはエリルの森を突っ切っても早馬で三日は十分にかかる。
エリルの森はリアラとケシアの間にある深い森であるが、ケシア側へ向かうには獣道ばかりで馬では進み辛く、人の足ではとてもじゃないがそう簡単に辿り着けない。
土地勘があってはじめて、エリルの森を突っ切る事が出来るのだ。
それだけエリルの森は過酷で複雑なのだ。
最低でも地図を持たねば、森は越えられない。
ましてや傷だらけで、地図も持たないか弱い女の足で、この過酷な長距離を馬よりも早く移動するなど不可能である。
また、エリルの森を迂回したとして、最北の都ケシアから王都リアラまでは、馬で進んでも一週間はかかるのだ。
ファルはレイアを見つめながら低い声で尋ねた。
「アイーダはどうやってエリルの森からケシアまで、またケシアからこのリアラまで来れたと言うんだ」
レイアもまた低い声で答えた。
「アイーダは、ユグドラシルの樹の根で作られた腕輪をしています」
ユグドラシルの樹の根?
「なんだそれは」
ファルは眉を寄せた。
「ユグドラシルとは、世界樹です。
世界樹ユグドラシルの根の下には、過去、現在、未来、そして神々の世界に人間界、それ以外のあらゆる世界が広がっています。
その世界樹ユグドラシルの根で作られた装飾品を身に着けた者は、その全ての世界を自由に行き来する事が出来ると言われています」
「確かか?」
レイアは首を左右に振った。
「分かりません。未来や過去を行き来するのは不可能かもしれません。
なれど、現在を行き来するのは恐らく可能かと」
「アイーダはそれをどうやって手に入れたんだ」
レイアは記憶をたどるように一度眼を閉じ、ゆっくりと開いた。
「ユグドラシルの樹の根で作られた装飾品を身に付けているのは、主に神々です。指輪であったり腕輪、首飾り、杖など……。
それを使い神々はあらゆる世界を見たり、行き来すると聞いたことがあります。
恐らくアイーダは何らかの形で神と接触し、腕輪を譲り受けたのではないかと」
そこで一旦言葉を切ってから、レイアは再びファルを見つめた。
「……ファル様、どうぞお気をつけなさいませ」
ファルは唇を真一文字に結び、レイアを見つめていたが、やがてしっかりと頷いた。
「分かった。レイア、御苦労だった」
……まずは聞かなければならない。
シオンの事を。それから、確かめてやる。アイーダの思惑を。
ファルは身を翻した。
空に向かってそびえ立つ、何本もの列柱の間を闊歩しながらそう思った。
◇◇◇◇
現在。
「お前は、何者なんだ」
寝台に押し倒したアイーダの首を片手でぐっと掴み、ファルは至近距離からその美しい顔を睨み付けた。
やがてひとつの疑念が胸の中に生まれる。
「……エリルの森でシオンを襲ったのは、お前じゃないのか?!」
シオンは七色の瞳の乙女だ。誰に狙われてもおかしくない。
何か願いを叶えるために、アイーダがシオンを襲ったのだとしたら。
ファルは川辺の岩に残されたおびただしい血痕を思い出して、全身の血が逆流するような気がした。
素早く利き手で腰の長剣を抜き放ち、アイーダの白い首にその刃をピタリと押し付けると、絞り出したような声で再び尋ねた。
「答えろっ?!殺したのかっ?!」
アイーダは必死で首を横に振った。
「殺してなど……!私はただ………!」
「ただ、なんだっ?!」
刃がアイーダの喉に食い込み、うっすらと赤い線が浮かぶ。
「答えるんだ!!」
アイーダは、もう隠せないと悟り顔を歪めた。
「ただ、人間になりたかった……!」
……な、んだと……!?
ファルは、息を飲んでアイーダを凝視した。
アイーダは震えながら泣いた。
瞬く間にファルの心にアイーダへの憎しみが生まれ、それが竜のように暴れ出し、彼の全身を支配した。
「人間になるためにシオンを襲ったのか!!殺してやる!!」
ああ!!
どうして、こんな……!!
こんなにも愛しいファルに、こんなにも憎まれるなんて!
人間になり、ファルに愛されたかった。
ファルだけに、愛されたかった!!
ファルはアイーダの首を掴んでいた腕に力を込めると、彼女の体をその腕一本で持ち上げ、壁に叩き付けた。
「ああっ!!」
ガツンと石壁に頭をぶつけ、アイーダは気を失いそうになった。
「俺のシオンに手をかけた罰だ。地獄で後悔するんだな」
ファルはアイーダに、吐き捨てるようにそう言うと、長剣を構えた。
殺されるっ!
アイーダは、咄嗟にユグドラシルの腕輪に触れた。
な、に?!
ファルは眼を見開き、透明になったアイーダを凝視した。
振り下ろした長剣が、透けたアイーダへと吸い込まれる。
「待てっ!!」
叫んだ時、既にアイーダは消え、跡形もなかった。
これがユグドラシルの腕輪の力か……!!
「クソッ!!」
ファルは悔しさのあまり拳で壁を殴った。
それから素早く踵を返すと部屋から飛び出して叫んだ。
「誰か、レイアを呼べ!」
慌ただしく駆けていく使用人の足音を聞きながら、ファルは思った。
シオン、どうか無事でいてくれ!
◇◇◇
「なんだと、もう一回言ってみろっ!!」
「何度でも言ってやるわよっ!バカなんじゃないのっ?!」
ファルと香は、互いにバリバリと睨み合った。
二人の声が石壁へ跳ね返って響き、空気を震わせるのか、柔らかな灯りも小刻みに揺れた。
「ほらね!?女だとすぐに油断するのよ、男は!どーして簡単に城に入れるのよ!?
あなた、殺されてたかも知れないわよ」
ファルはグッと言葉に詰まり、香を睨んだ。
「まあまあ、もうその辺にしといてやれよ、香。ファルは好きな女の事で冷静な判断が出来なかったんだよ。な、ファル」
アルゴは二人の間に割って入り、大きな体で香をファルから隠した。
「香だって帰ったばかりで疲れてるんだ。
そこへその、アイーダとかいう女の話は神経を逆撫でするようなものだぜ」
ファルは冷めた眼でアルゴを見上げた。
……なんだ、コイツは。
幼馴染みの俺より、出会ったばかりの香の肩を持つのか。
さては。
「とにかく」
香は憤懣やる方ないといったように頭をブンブンと振ると、ハーッと溜め息をついてから再び口を開いた。
「さっきも言ったけど、シオンは生きてる。ただ……」
ファルが眉を寄せる。
「ただ、なんだ」
香は眉を寄せてファルを見つめた。
「怪我がひどくて助けられなかった」
「なんだと!?」
「シオンが言うには、アイーダに首を咬まれたらしいの。で、ケシアに運ばれた。そこで今度は、逃げないようにシリウスに足を刺された」
ファルは、アイーダとシリウスに強い憎しみを覚えた。
シリウスの顔を思い出し、斬り結んだ時の感覚が甦った。
「怪我の具合はどうなんだ」
「見たところ、首も足も手当てがされてたわ。ただ怪我の場所が場所だけに、歩けない」
シオン……!
香は続けた。
「悪いことにシオンはカイルっていう剣の達人と同室で、彼に四六時中見張られてるみたい。……カイルはシリウスの側近らしいわ」
「…カイル…男と同じ部屋にいるのか!?」
ファルは舌打ちして眼を細めた。
……シリウスをピッタリと援護していた、あの冷たい海のような眼の男……多分あの男が、カイルだ。
「今すぐ助けにいく!」
「落ち着いて、ファル」
「落ち着けるかっ!」
シオンが……怪我を負ったシオンが、男と同じ部屋で監視されてるだと?!
香はファルのマントを掴んだ。
「ここで安易に動くと、あなたは死ぬ。そうなったらシオンはどうするのよ!?」
ファルは黄金色の瞳に拭うことの出来ない焦りの色を浮かべたまま、香を見つめた。
「このまま、このリアラで手を子招いていろと言うのか!?」
「今は動く時じゃないと言ってるだけよ。策を練らなきゃ負ける」
アルゴが一歩進み出て、ファルを見つめた。
「ファル、せめてロイザとジュードの回復を待とう。でないと、シオンの救出は難しい」
ファルも頭では分かっていた。
だが!
香は静かな声で言った。
「シオンは言ったわ。白金族人間を欺くって。
彼らを騙して仲間になったように見せかけて、怪我を治し逃げる時に備えると」
「欺く……」
ファルは思わず呟いた。
「彼女を信じましょう。月が二度巡る頃には助けに行きましょう。何とかそれまでには、足も回復してると思うから」
ファルは苦しげに唇を噛んだが、掠れた声で呟いた。
「……わかった」
「その間に策を練るのよ」
「ああ」
「そうだ!イイコト聞きたい?!」
香がファルを見上げて、意味ありげに微笑んだ。
「なんだ」
「あなたに、シオンから伝言があるの」
俺に?!シオンから?!
ファルは食い入るように香を見つめた。
「なんだ?!言え」
「聞きたい?!」
なんなんだ!
ファルは苛ついて香を睨んだ。
「早く言え」
香はニヤニヤしながらファルを見つめた。
「シオンが、ファルに伝えて欲しいって。
『愛してる』って」
愛してる……。
ファルは、胸の中に吹き抜ける、暖かい風のような何かを感じた。
シオンが俺を愛していると……。
ファルはシオンの顔を思い出しながら、シオンとの間に起きたいくつかの事を思い返した。
シオンが俺を愛してる……。
ファルはしばらくの間、香の言葉を噛み締めていたが、やがて視線を感じて我に返った。
たちまち、ニヤニヤと笑うアルゴと眼が合う。
「手が早い王子様だぜ、全く」
「ほんとよねー、あっという間に」
「うるさいっ!!!」
真っ赤になったファルが叫び、香とアルゴは慌ててファルの部屋を飛び出した。
シオンが俺を。
「俺も愛してる」
ファルは独りになった部屋で、そう呟いた。
◇◇◇◇
「うわあああっ!!」
アイーダは、思い切り泣いた。
腕輪の力を使い、無我夢中でジュードヘイムへと帰ってきたものの、いっそあの場でファルの剣を身に受け、命を絶ってしまった方が楽だったのではないか。
どうして私は逃げたのだろう。
いいや、分かっている。
死ぬのが恐い訳ではなかった。
恋の絶望を目の当たりにしても尚、この先に起こりうるかも知れない、ほんの僅かな可能性を信じたかったのだ。
アイーダは悔やんだ。
自分の浅はかさを。
ファルへの恋心が自分を支配し、焦ってしまった結果、失敗したのだ。
アイーダは、愛する女が心にいる男がどんなものか、知らなかった。
男を誘惑する術があれば、ファルの心も手に入れられると思っていた。
けれどその考えが根元からグラリと傾いた。
愛しい相手に侮蔑と嫌悪感をあらわにされ、挙げ句に剣を向けられて、殺されそうになったのだ。
アイーダは、精神の愛を知らずにいた。
よく考えてみると、初めてファルを見た時も、その外見的な美しさ、強さに見惚れただけで、ファルの精神……内面にあるものを想像すらしなかった。
魅力的な顔と、逞しい身体、類い希な素質を持つ剣の腕。
アイーダの中のファルは、それが全てであったのだ。
『俺が愛してるのは、シオンただ一人だ。
シオンの心があればこそ。お前じゃ代わりになれない』
……シオンの心があればこそ。
ファルの、自分に向けられた蔑むような眼差しを思い出しては悲しみにうち震え、アイーダは突っ伏したまま泣き続けた。
◇◇◇
どれくらい泣いただろうか。
ジュードヘイムの陽は傾き、アヴィの花が閉じようとしていた頃、ようやくアイーダは顔を上げた。
考え、冷静になればなるほどアイーダは、もう自分の恋に見込みがないという事実が理解できた。
その時、ひとつの思いが浮かんだ。
諦めという感情とすれ違い、自分の心に滑り込んできた別の思いに、アイーダは息を飲んだ。
……そうだ、そうしよう。
私にはもう何もない。
もう、何もないのだ。
ファルを手にいれる事も、『魔性』という永遠の命も。
だとしたらもう、恐れるものなど何もないではないか。
『七色の瞳の乙女』など、いなくなればいい。
シオンを殺してやる。
自分に、汚いものでも見るような眼差しを向けたファルなど、苦しめばいい。
守護するものに息の根を止められるなら、それもよかろう。
自分には何もないのだから。
アイーダは、涙を拭うとゆっくりと立ち上がった。
冷ややかな風が彼女の長い髪を乱暴に乱したが、それも心地好かった。
誰にも優しくなどされないと思う方が、楽に思えた。
そう、風にさえも。
「……殺す」
枯れた声で小さく呟くと、アイーダは唇を引き上げた。
男らしく凛々しい声でファルにそう言われ、アイーダは息を飲んだ。
場所はアイーダにあてがわれた狭い部屋である。
「アイーダ、シオンをどこで見た?!あいつはどうしている?!」
アイーダは眼を伏せ、眉を寄せると苦しげな表情で俯いた。
「私はケシアの都で、捕らえられた七色の瞳の乙女を見ました。彼女はそこで……白金族人間の王と恋に落ち、王に肌を許しました」
な、に……?!
ファルは、眼を見開いて息を飲んだ。
シオンが、シリウスと恋に落ちた?!
シリウスと、肌を重ねただと?!
ファルは、小刻みに首を振りながらアイーダを見つめた。
……嘘だ。
言葉で確かめた訳じゃないが、俺には分かる。
互いの想いは同じだった筈だ。口付けた時に分かったんだ。
ファルは唇を引き結んだまま、アイーダを凝視した。
…………。
アイーダは、そっと視線を上げてファルを見た。
男らしい眉の下の黄金色の瞳が、真っ直ぐに自分に向かっていて思わず鼓動が跳ねる。
ドキドキとうるさい心臓に困り、アイーダは胸の前で両手を組んだ。
男らしく逞しいファル。彼を自分のものにしたい。……今しか、ない。
アイーダは意を決すると、寝台に腰かけていたファルにそっと近づき、彼の首にフワリと両手を絡めた。
「……私がお慰めします」
「アイーダ……」
艶やかで低いファルの声が自分の胸元で響き、その息の熱さにアイーダの体も熱くなる。
その時である。
眼にも止まらぬ早さで、アイーダの体はファルによって抱きすくめられ、寝台に押し倒された。
その荒々しさに、この後に待っているであろう甘美な世界を想像し、アイーダの体が疼いた。
「ファル様…!」
甘くファルの名を呼び、首を捻って鎖骨を浮き出し、アイーダは目一杯ファルを煽った。
「アイーダ」
「ファル様……私を……七色の瞳の乙女と思い、お抱きくださいませ」
アイーダは囁くようにそう言うと、唇をファルの口元に寄せた。
「フッ」
………?
アイーダはそっとファルの瞳を見上げた。
自分と同じくファルもまた、熱情をはらんだ眼をしているとばかり思っていたのに、彼の眼は冷えきった冬の荒野のように冷たかった。
アイーダは体が急激に冷えるのを感じた。
「俺が愛してるのは、シオンただ一人。
シオンの心があればこそだ。お前じゃ代わりになれない」
「…………!」
「確か、エリルの森で俺とシオンを見たと言ったな」
アイーダは息を飲んだ。
「そして、白金族人間の王とシオンが愛し合っていると」
ファルは、至近距離からアイーダを射抜くように睨んだ。
「なぜお前は今、王都リアラにいる」
アイーダは、コクンと喉を鳴らした。
「お前は馬よりも早いのか?」
ガクガクと小刻みに体が震え出すのを、アイーダは止めることが出来なかった。
「エリルの森に血痕が残されていた。……あそこにいたなら、俺とシオンを見たのなら、誰がシオンを襲ったのか目撃したんじゃないのか!?答えろっ!!」
ファルは、怯えながら震えるアイーダを刺すように見つめた。
……ここにくる前、巫女長レイアに会っていて良かった。
◇◇◇◇
一時間前。
「何が変なんだ」
ファルは恭しく頭を垂れる巫女長レイアを見つめた。
「アイーダには、なにか不穏な気配がいたします」
「その根拠は」
「門兵隊長に聞きますと、馬にも乗らず徒歩で城門前をうろつき、全身は傷にまみれていたとか。
エリルの森で王子と七色の瞳の乙女を見ていたなら、なぜシオンが襲われた時にすぐ王子にご報告しなかったのでしょう。
なぜそこから姿を消し、ケシアの都へ行ったのでしょう?
そして今度はケシアから、このリアラへ馬にも乗らずにどうやってこんな短時間で来られたのでしょうか」
ファルは押し黙った。
……確かにそうだ。
ケシアはリーリアス帝国最北の都で、王都リアラからはエリルの森を突っ切っても早馬で三日は十分にかかる。
エリルの森はリアラとケシアの間にある深い森であるが、ケシア側へ向かうには獣道ばかりで馬では進み辛く、人の足ではとてもじゃないがそう簡単に辿り着けない。
土地勘があってはじめて、エリルの森を突っ切る事が出来るのだ。
それだけエリルの森は過酷で複雑なのだ。
最低でも地図を持たねば、森は越えられない。
ましてや傷だらけで、地図も持たないか弱い女の足で、この過酷な長距離を馬よりも早く移動するなど不可能である。
また、エリルの森を迂回したとして、最北の都ケシアから王都リアラまでは、馬で進んでも一週間はかかるのだ。
ファルはレイアを見つめながら低い声で尋ねた。
「アイーダはどうやってエリルの森からケシアまで、またケシアからこのリアラまで来れたと言うんだ」
レイアもまた低い声で答えた。
「アイーダは、ユグドラシルの樹の根で作られた腕輪をしています」
ユグドラシルの樹の根?
「なんだそれは」
ファルは眉を寄せた。
「ユグドラシルとは、世界樹です。
世界樹ユグドラシルの根の下には、過去、現在、未来、そして神々の世界に人間界、それ以外のあらゆる世界が広がっています。
その世界樹ユグドラシルの根で作られた装飾品を身に着けた者は、その全ての世界を自由に行き来する事が出来ると言われています」
「確かか?」
レイアは首を左右に振った。
「分かりません。未来や過去を行き来するのは不可能かもしれません。
なれど、現在を行き来するのは恐らく可能かと」
「アイーダはそれをどうやって手に入れたんだ」
レイアは記憶をたどるように一度眼を閉じ、ゆっくりと開いた。
「ユグドラシルの樹の根で作られた装飾品を身に付けているのは、主に神々です。指輪であったり腕輪、首飾り、杖など……。
それを使い神々はあらゆる世界を見たり、行き来すると聞いたことがあります。
恐らくアイーダは何らかの形で神と接触し、腕輪を譲り受けたのではないかと」
そこで一旦言葉を切ってから、レイアは再びファルを見つめた。
「……ファル様、どうぞお気をつけなさいませ」
ファルは唇を真一文字に結び、レイアを見つめていたが、やがてしっかりと頷いた。
「分かった。レイア、御苦労だった」
……まずは聞かなければならない。
シオンの事を。それから、確かめてやる。アイーダの思惑を。
ファルは身を翻した。
空に向かってそびえ立つ、何本もの列柱の間を闊歩しながらそう思った。
◇◇◇◇
現在。
「お前は、何者なんだ」
寝台に押し倒したアイーダの首を片手でぐっと掴み、ファルは至近距離からその美しい顔を睨み付けた。
やがてひとつの疑念が胸の中に生まれる。
「……エリルの森でシオンを襲ったのは、お前じゃないのか?!」
シオンは七色の瞳の乙女だ。誰に狙われてもおかしくない。
何か願いを叶えるために、アイーダがシオンを襲ったのだとしたら。
ファルは川辺の岩に残されたおびただしい血痕を思い出して、全身の血が逆流するような気がした。
素早く利き手で腰の長剣を抜き放ち、アイーダの白い首にその刃をピタリと押し付けると、絞り出したような声で再び尋ねた。
「答えろっ?!殺したのかっ?!」
アイーダは必死で首を横に振った。
「殺してなど……!私はただ………!」
「ただ、なんだっ?!」
刃がアイーダの喉に食い込み、うっすらと赤い線が浮かぶ。
「答えるんだ!!」
アイーダは、もう隠せないと悟り顔を歪めた。
「ただ、人間になりたかった……!」
……な、んだと……!?
ファルは、息を飲んでアイーダを凝視した。
アイーダは震えながら泣いた。
瞬く間にファルの心にアイーダへの憎しみが生まれ、それが竜のように暴れ出し、彼の全身を支配した。
「人間になるためにシオンを襲ったのか!!殺してやる!!」
ああ!!
どうして、こんな……!!
こんなにも愛しいファルに、こんなにも憎まれるなんて!
人間になり、ファルに愛されたかった。
ファルだけに、愛されたかった!!
ファルはアイーダの首を掴んでいた腕に力を込めると、彼女の体をその腕一本で持ち上げ、壁に叩き付けた。
「ああっ!!」
ガツンと石壁に頭をぶつけ、アイーダは気を失いそうになった。
「俺のシオンに手をかけた罰だ。地獄で後悔するんだな」
ファルはアイーダに、吐き捨てるようにそう言うと、長剣を構えた。
殺されるっ!
アイーダは、咄嗟にユグドラシルの腕輪に触れた。
な、に?!
ファルは眼を見開き、透明になったアイーダを凝視した。
振り下ろした長剣が、透けたアイーダへと吸い込まれる。
「待てっ!!」
叫んだ時、既にアイーダは消え、跡形もなかった。
これがユグドラシルの腕輪の力か……!!
「クソッ!!」
ファルは悔しさのあまり拳で壁を殴った。
それから素早く踵を返すと部屋から飛び出して叫んだ。
「誰か、レイアを呼べ!」
慌ただしく駆けていく使用人の足音を聞きながら、ファルは思った。
シオン、どうか無事でいてくれ!
◇◇◇
「なんだと、もう一回言ってみろっ!!」
「何度でも言ってやるわよっ!バカなんじゃないのっ?!」
ファルと香は、互いにバリバリと睨み合った。
二人の声が石壁へ跳ね返って響き、空気を震わせるのか、柔らかな灯りも小刻みに揺れた。
「ほらね!?女だとすぐに油断するのよ、男は!どーして簡単に城に入れるのよ!?
あなた、殺されてたかも知れないわよ」
ファルはグッと言葉に詰まり、香を睨んだ。
「まあまあ、もうその辺にしといてやれよ、香。ファルは好きな女の事で冷静な判断が出来なかったんだよ。な、ファル」
アルゴは二人の間に割って入り、大きな体で香をファルから隠した。
「香だって帰ったばかりで疲れてるんだ。
そこへその、アイーダとかいう女の話は神経を逆撫でするようなものだぜ」
ファルは冷めた眼でアルゴを見上げた。
……なんだ、コイツは。
幼馴染みの俺より、出会ったばかりの香の肩を持つのか。
さては。
「とにかく」
香は憤懣やる方ないといったように頭をブンブンと振ると、ハーッと溜め息をついてから再び口を開いた。
「さっきも言ったけど、シオンは生きてる。ただ……」
ファルが眉を寄せる。
「ただ、なんだ」
香は眉を寄せてファルを見つめた。
「怪我がひどくて助けられなかった」
「なんだと!?」
「シオンが言うには、アイーダに首を咬まれたらしいの。で、ケシアに運ばれた。そこで今度は、逃げないようにシリウスに足を刺された」
ファルは、アイーダとシリウスに強い憎しみを覚えた。
シリウスの顔を思い出し、斬り結んだ時の感覚が甦った。
「怪我の具合はどうなんだ」
「見たところ、首も足も手当てがされてたわ。ただ怪我の場所が場所だけに、歩けない」
シオン……!
香は続けた。
「悪いことにシオンはカイルっていう剣の達人と同室で、彼に四六時中見張られてるみたい。……カイルはシリウスの側近らしいわ」
「…カイル…男と同じ部屋にいるのか!?」
ファルは舌打ちして眼を細めた。
……シリウスをピッタリと援護していた、あの冷たい海のような眼の男……多分あの男が、カイルだ。
「今すぐ助けにいく!」
「落ち着いて、ファル」
「落ち着けるかっ!」
シオンが……怪我を負ったシオンが、男と同じ部屋で監視されてるだと?!
香はファルのマントを掴んだ。
「ここで安易に動くと、あなたは死ぬ。そうなったらシオンはどうするのよ!?」
ファルは黄金色の瞳に拭うことの出来ない焦りの色を浮かべたまま、香を見つめた。
「このまま、このリアラで手を子招いていろと言うのか!?」
「今は動く時じゃないと言ってるだけよ。策を練らなきゃ負ける」
アルゴが一歩進み出て、ファルを見つめた。
「ファル、せめてロイザとジュードの回復を待とう。でないと、シオンの救出は難しい」
ファルも頭では分かっていた。
だが!
香は静かな声で言った。
「シオンは言ったわ。白金族人間を欺くって。
彼らを騙して仲間になったように見せかけて、怪我を治し逃げる時に備えると」
「欺く……」
ファルは思わず呟いた。
「彼女を信じましょう。月が二度巡る頃には助けに行きましょう。何とかそれまでには、足も回復してると思うから」
ファルは苦しげに唇を噛んだが、掠れた声で呟いた。
「……わかった」
「その間に策を練るのよ」
「ああ」
「そうだ!イイコト聞きたい?!」
香がファルを見上げて、意味ありげに微笑んだ。
「なんだ」
「あなたに、シオンから伝言があるの」
俺に?!シオンから?!
ファルは食い入るように香を見つめた。
「なんだ?!言え」
「聞きたい?!」
なんなんだ!
ファルは苛ついて香を睨んだ。
「早く言え」
香はニヤニヤしながらファルを見つめた。
「シオンが、ファルに伝えて欲しいって。
『愛してる』って」
愛してる……。
ファルは、胸の中に吹き抜ける、暖かい風のような何かを感じた。
シオンが俺を愛していると……。
ファルはシオンの顔を思い出しながら、シオンとの間に起きたいくつかの事を思い返した。
シオンが俺を愛してる……。
ファルはしばらくの間、香の言葉を噛み締めていたが、やがて視線を感じて我に返った。
たちまち、ニヤニヤと笑うアルゴと眼が合う。
「手が早い王子様だぜ、全く」
「ほんとよねー、あっという間に」
「うるさいっ!!!」
真っ赤になったファルが叫び、香とアルゴは慌ててファルの部屋を飛び出した。
シオンが俺を。
「俺も愛してる」
ファルは独りになった部屋で、そう呟いた。
◇◇◇◇
「うわあああっ!!」
アイーダは、思い切り泣いた。
腕輪の力を使い、無我夢中でジュードヘイムへと帰ってきたものの、いっそあの場でファルの剣を身に受け、命を絶ってしまった方が楽だったのではないか。
どうして私は逃げたのだろう。
いいや、分かっている。
死ぬのが恐い訳ではなかった。
恋の絶望を目の当たりにしても尚、この先に起こりうるかも知れない、ほんの僅かな可能性を信じたかったのだ。
アイーダは悔やんだ。
自分の浅はかさを。
ファルへの恋心が自分を支配し、焦ってしまった結果、失敗したのだ。
アイーダは、愛する女が心にいる男がどんなものか、知らなかった。
男を誘惑する術があれば、ファルの心も手に入れられると思っていた。
けれどその考えが根元からグラリと傾いた。
愛しい相手に侮蔑と嫌悪感をあらわにされ、挙げ句に剣を向けられて、殺されそうになったのだ。
アイーダは、精神の愛を知らずにいた。
よく考えてみると、初めてファルを見た時も、その外見的な美しさ、強さに見惚れただけで、ファルの精神……内面にあるものを想像すらしなかった。
魅力的な顔と、逞しい身体、類い希な素質を持つ剣の腕。
アイーダの中のファルは、それが全てであったのだ。
『俺が愛してるのは、シオンただ一人だ。
シオンの心があればこそ。お前じゃ代わりになれない』
……シオンの心があればこそ。
ファルの、自分に向けられた蔑むような眼差しを思い出しては悲しみにうち震え、アイーダは突っ伏したまま泣き続けた。
◇◇◇
どれくらい泣いただろうか。
ジュードヘイムの陽は傾き、アヴィの花が閉じようとしていた頃、ようやくアイーダは顔を上げた。
考え、冷静になればなるほどアイーダは、もう自分の恋に見込みがないという事実が理解できた。
その時、ひとつの思いが浮かんだ。
諦めという感情とすれ違い、自分の心に滑り込んできた別の思いに、アイーダは息を飲んだ。
……そうだ、そうしよう。
私にはもう何もない。
もう、何もないのだ。
ファルを手にいれる事も、『魔性』という永遠の命も。
だとしたらもう、恐れるものなど何もないではないか。
『七色の瞳の乙女』など、いなくなればいい。
シオンを殺してやる。
自分に、汚いものでも見るような眼差しを向けたファルなど、苦しめばいい。
守護するものに息の根を止められるなら、それもよかろう。
自分には何もないのだから。
アイーダは、涙を拭うとゆっくりと立ち上がった。
冷ややかな風が彼女の長い髪を乱暴に乱したが、それも心地好かった。
誰にも優しくなどされないと思う方が、楽に思えた。
そう、風にさえも。
「……殺す」
枯れた声で小さく呟くと、アイーダは唇を引き上げた。
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