のほほん素材日和 ~草原と森のんびり生活~

みなと劉

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第一章: 「エルム村へようこそ」

第三十二話: 村のパン職人との出会い

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 市場が終わり、一息ついたフィオは、村のパン屋「フローレンベーカリー」を訪れることにした。市場で売られていた香ばしいパンの香りに心を惹かれたからだ。店の木製ドアを開けると、店内には焼きたてのパンの香りが漂い、思わず深呼吸したくなるような心地よさが広がっていた。

 「いらっしゃい!」陽気な声が響く。振り返ると、エプロンをつけた壮年の男性が笑顔で迎えてくれた。「ああ、君がフィオさんだね。市場でジャムを売ってたのを見たよ。」

 「はい、そうです!パンの香りに誘われて来ちゃいました。」フィオも笑顔で応える。

 「そうかそうか、俺はこの店のパン職人、ラルフだ。まあ、ゆっくり見ていきなよ。」

 ラルフの言葉に甘えて、フィオは棚に並んだパンを一つずつ眺めた。ふっくらとしたバゲット、もちもちの食感が想像できる丸パン、そして甘い香りのする菓子パンまで、どれも美味しそうだ。

 「おすすめはどれですか?」フィオが尋ねると、ラルフは奥の棚から一つのパンを手に取った。「これだな。ハーブを練り込んだ田舎風パンだ。焼きたてだから、まだ温かいよ。」

 フィオはそのパンを受け取ると、早速少しちぎって口に運んだ。ハーブの香りが口いっぱいに広がり、噛むほどに小麦の甘みを感じる。「美味しい…!」

 「気に入ってもらえて何よりだ。」ラルフは嬉しそうに頷いた。「ところで、君のジャム、噂になってるよ。俺も買おうと思ったんだけど、すぐに売り切れちまったからな。」

 「そうだったんですか。次はぜひ持ってきます!」フィオは照れくさそうに答えた。

 「じゃあ、今度は君のジャムを使ったパンを作らせてもらおうか。ジャムとパンは最高の組み合わせだからな。」

 その提案にフィオは驚き、同時に嬉しさが込み上げてきた。「ぜひお願いします!私のジャムでよければ!」

 「決まりだな。今度の市場で一緒に出そう!」ラルフは力強く頷いた。

 その日の帰り道、フィオは自分の作ったものが誰かの手によって新しい形になる喜びを初めて感じた。エルム村での生活は、まだまだ新しい発見に満ちている。次の市場が待ち遠しくてたまらなかった。

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