上 下
19 / 98

19話

しおりを挟む
陳宮はこの期に及んでもまだ徹底抗戦するべきだと主張しているらしく、呂布としてもそれが妥当だと思う。
そこでふと思い出したように、張遼は尋ねる。
「ところで将軍、徐州の太守の曹嵩殿ですが、どうなったのですか?」
張遼の言葉は呂布にとっては意外だった。
呂布が曹操と戦っている最中に、徐州城が曹操軍に襲われたのであれば当然その防衛に当たったはずである。もしそうなっていた場合、いくら曹操軍が強かったとは言え徐州軍だけで持ちこたえる事も出来なかっただろうし、下手をしたら城が落ちている可能性もあったからだ。しかし、曹操軍が攻めてくる事は無かったため、曹操軍が攻める前か後かも分からないが呂布軍が防いだと思っていた。
「あぁ、父上なら俺といっしょにいるよ」
劉備が何でも無い事のように言う。
劉備は戦場に現れた時から身なりや振る舞いにどこかおかしなところがあったし、何より徐州城陥落の一報を受けても取り乱したりせず落ち着いていたが、それは曹家の一族として劉備が特殊な存在である事に他ならない。
張遼は以前、徐州城内で見た劉備の姿を思い出していた。それはあの時、丁原軍の武将として参戦していた李粛を相手に剣を振るった姿である。
あの時は、突然乱入してきた劉備はただ無茶苦茶なヤツだと思い、張遼は深く考える事はしなかった。だが、張遼は今になって思えば、あれこそが本来あるべき劉備の形なのではないだろうか。
あの時の劉備は呂布軍を圧倒しており、呂布はその光景を見て恐怖すら覚えていた。だが、劉備は本来呂布軍の武将では無く、呂布はただその戦いぶりに恐れ慄いていただけなのだ。
呂布にしてみれば自分が率いる軍は精強だと自負していたし、だからこそその実力差を埋める事は出来ずとも互角の戦いに持ち込めていたのでは無いのか。だが、その呂布とて張遼と互角であっただけであり、他の者では勝負にならない程の圧倒的な強さを見せつけてくれたのが、劉備なのだ。
あの頃の自分はまだ若く未熟であったが、それでも劉備は今の自分の足元にも及ばないであろう事は分かった。そんな相手に刃を向ける事になったのだから、あの時に斬られて死んでいてもおかしくなかったのかもしれない。そうならなかったのは、やはり劉備の持つ何か特別な力だったのだろう。その正体は未だに分からないままだが、少なくとも呂布が知る限りで言えば、劉備は曹操にさえ匹敵しうる人物と言えるのだ。
その劉備は、張遼にこう告げた。
「曹操と戦う事になっても、私と呂布将軍なら曹操を撃退出来るはずだ」
自信満々と言うわけではなく、あくまで客観的かつ淡々としている口調ではあったが、それは劉備の真実であり本心でもある事は分かる。
だが、曹操の恐ろしさを実際に見てきた呂布としては、それさえも疑ってしまうのだ。
それは曹操の怖さを知らない劉備の方が異常なのではないかと思うほどに。
徐州城の異変を聞いた陳宮は慌てて徐州城に駆けつけたが、そこにはもう何も残っていなかった。
徐州城は全焼してしまい、曹操軍は既に引き上げてしまった後だった。
曹操軍は徐州の攻略は成功させたものの、曹操自身が求めるものは手に入らず、そのまま撤退したという事になる。これは曹操にとって想定外の事でもあったらしい。
おそらく曹操としてはこの段階で呂布に対する備えを優先し、まずはそちらを片付けるつもりだったのだが、予想以上に徐州軍の抵抗が激しく、徐州城を攻め落とす前に撤退を余儀なくされたと言ったところだろう。
陳宮はこの予想外の出来事について曹操から直接聞きたかったが、肝心の曹操とは連絡が取れなくなっていた。そしてこの報告を受け、真っ先に反応したのは呂布である。
徐州を攻められた事は確かに許せない事ではあるが、それでもまだ劉備がいる限り、そう簡単に負けるとは考えられない事でもある。それでも曹操軍の攻勢が思ったよりも激しい事から考えて、これ以上曹操軍の攻撃に耐えられないと判断した呂布はすぐに曹操へ使者を送る。
呂布が出した条件としては、一兵たりとも徐州に残す事無く引き揚げる事。また徐州太守である曹嵩の首を差し出す事を条件とした。
これに激怒した曹操は、曹操からの使者を呂布軍の兵士が斬り殺してしまう。これによって両軍の間には決定的な亀裂が生じ、後に引けない状態になってしまった。
「……曹操からの返事が来るまで時間がかかるだろうから、その間ゆっくり休むと良い」
呂布の言葉に対し、陳宮も劉備も答えない。いや、呂布としても無理に答える必要も無いと思った。呂布にしても曹操軍の勢いを見るに楽観出来ないと考えているからこその提案だったが、二人にはどう受け取られたかなど分かりようもない。
陳宮にしろ劉備にしろ、曹操軍と正面から戦うと言う事を現実的に考えているかどうかは疑わしい。しかし、戦わずして逃げる事が選択肢にあるかどうかと言われればそれも怪しいものである。何よりあの関羽であれば、『逃げる』なんて言葉を選ぶはずが無いだろうとも思う。それは呂布自身もそうなのではないかと思い始めているし、何より天下無双の豪傑として名を馳せている劉備が逃げ出すとは思えない。それに何より劉備自身逃げたくないと思っているのだろう。
そんな雰囲気の中、呂布は劉備に目を向ける。
先程、徐州城での劉備には驚かされたものだが、今目の前にいる劉備はいつも通りだった。ただ一つ違うところと言えば、劉備が戟を持っている事だ。
その劉備は呂布に対して、軽く頭を下げる。
「呂布将軍は本当にすごい人です。私の考えを遥かに越えて行かれる方です」
劉備の言葉に、呂布だけでなく陳宮や張遼までもが驚いた。
普段あまり自己主張する事のない劉備が、自分を認めてくれるような発言をするなど、今までに無い事だったからだ。
その事に驚いている三人の反応に気付いたのか、劉備も少し困った様な笑顔を浮かべる。
「正直なところ、今回の事は自分の未熟さを痛感させられました」
劉備が言っているのは、曹操軍による徐州攻めの時の戦いの事である。
張飛、関羽、張繍らの武勇は凄まじく、特に張飛はその小柄な体躯からは想像もつかないほどの巨大な大刀を振るう。だが、その張飛をもってしても、劉備を守る事は出来なかったのである。
劉備軍は徐州城で防衛に当たっていた。だが、張遼はその光景を見たわけではない。ただ伝令としてやって来た兵士の報告を受けただけだ。その時の張遼も、劉備軍が苦戦している事は分かったものの、それが具体的にどんな戦いであったかまでは知らなかった。
その後、陳宮が徐州城に戻ってきた時、その戦況を聞かされた。
呂布は劉備に兵を預けて張遼と陳宮を呼び、徐州城内の様子を聞いてみるが二人は首を傾げるばかりである。それは徐州城の現状を見て来たのであろうはずの張勲も同様であり、彼は言う。
「城門付近は完全に破壊されていましたけど、それ以外に関しては綺麗なものですよ。むしろ呂布将軍の指示なのか、かなり気を使っている様子もありました。呂布将軍の奥さんが怪我をされていたみたいだったので治療の為に薬とか持って行ったんですけど、それくらいしか仕事がありませんでしたよ?」
とぼけているのか、それとも嘘をつくつもりがないのか、判断に迷う口調だった。
その張勲でさえ、実際にその目で見たわけでもない状況である。それでもここまで言い切る事が出来るのだ。
あの時は確かに張遼が聞いた情報だけで見ても異常な事であると言う印象を受けたが、こうして改めて聞くとやはり異常と言う他に無かった。
城壁の破壊された部分にさえ手を触れておらず、またそれに限らず攻撃の跡と言うのが全く見当たらないと言うのである。しかも、呂布が奥方を大事にしている事も知られているのだから、この状況下で呂布の妻を傷つけるような行動は考えられないと言う事にもなる。
「でも、確かにおかしな点は多いよね」
呂布が考えている横から、劉備がそう言って来る。
相変わらず劉備は呂布に対して丁寧な態度を見せるが、そこには以前の劉備とは違う何かがある気がする。
劉備の人柄を考えると、本来ならこちらの方が良いのかもしれない。それはそれで、劉備は他人に対して優しく接する人物であると言う事になるのだろうが、呂布としては違和感を禁じ得ない。
陳宮もそう感じたらしく、呂布をチラリと見る。
「……呂布将軍のお考えではいかがですか? 例えば、陳登辺りが裏切ったのではないか、などと考えていますか?」
陳宮は呂布の考えを聞くのではなく、まるで陳宮自身の中で答えが出ているかのように切り出す。
実際、陳宮には答えが見えているはずだ。そして呂布にも見えていたのだが、あえて言葉に出したのはおそらく呂布の方から聞きたかったからだと思われる。陳宮は曹操への報告の為ではなく、おそらく今後の方針を決める為にこの場に居座っているのではないか。呂布はなんとなくそんな風に思えた。
しかし劉備はそんな事を聞かれるとは思ってもいなかったようで、驚きながらも呂布に答える。
「陳宮さんの言われる通りです。あの時の徐州軍の動きは明らかに変だった。もしあれが敵の策略であるとするならば、陳宮さん達には徐州軍を信用してもらう必要があります」
劉備の言葉に対し、陳宮は何も言わない。
劉備が何を根拠に言っているのか分からない以上、下手に口を挟まない方が賢明だと判断した為だろう。呂布にしても同意見なので、黙って話の行方を見守る。
劉備の話はまだ終わっていないようだ。
「私達は今、呂布将軍という旗の下に集まっています。ですが、私は天下泰平を望む者で、曹操軍と敵対しようとは考えていません。曹操軍に勝てると言う保証も無いし、勝っても被害が大きくては後々立ち行かなくなるでしょう。今はとにかく曹操軍の矛先を収めてもらうのが一番良いはずです」
その通りだと呂布は思う。曹操軍とは出来る限り戦わないに越したことはない。だが、それをどうやって行うか。その方策を劉備も陳宮も語ろうとしない。
そもそも今回の曹操軍の攻撃自体不可解極まりないが、それは徐州軍と曹操軍の力の差によるところが大きい。劉備の兵力が呂布軍とほぼ同数程度だと考えれば、まともにぶつかれば勝ち目など無いのが分かるはずなのだが、曹操軍の狙いはあくまでも呂布の命であるらしい。もちろん劉備にはそんな事は分からないし、そんな事が分からなくても劉備のやる事は変わらないのだと思う。
「そこで提案なんだけど、徐州城を捨ててはどうかと思うんだ」
劉備は唐突に言う。
劉備の提案はあまりにも予想外だったせいもあって、陳宮も呂布も何も言えない。そんな二人に対して、劉備は説明する。
劉備によると、徐州城は堅牢な守りで、そこを放棄して逃げるとなると危険も伴うので、まずはその準備を始めて欲しい、と言うのである。
正直なところ、それは有り難い。
いくら劉備軍が精鋭揃いであっても、城一つ分の戦力が丸ごと抜け落ちるのであれば、曹操軍にしてみれば大打撃であろう。
さらに言えば、曹操軍は袁術討伐の兵を起こしているが、その兵達が戻ってくる前に徐州城の攻略を行う事は難しくなり、結果として時間稼ぎにもなると言う事である。
「で、では劉備殿の言われる通りに……」
呂布が言いかけた時、それまで静かに話を聞いていた陳宮が口を開く。
「待って下さい。劉備将軍、貴女は本当にそうお考えですか?」
陳宮の問いに、劉備は大きく首を横に振る。
「いえ、呂布将軍の言われる事も分かります。私だって城を捨てるのは嫌だし、出来れば徐州城の民を守りたいと思います。けれど、この策を思いついた時、呂布将軍と陳宮さんに相談するべきだと思いました。だからこうして相談を持ちかけているのです」
劉備のその言葉で、陳宮と呂布は何を言い争っていたかを悟る。
いかにも人の良さそうな表情をしているものの、実はかなりの食わせ者ではないかと呂布は思いながら、陳宮を見る。
陳宮は腕を組んで目を閉じている。
おそらく頭の中では様々な思考が飛び交っているだろう。
陳宮は元々荊州で荊南の名士と付き合いがある事から人脈の広さが尋常ではないのだが、その陳宮をもってしても徐州城に出入りする商人や旅人などの数は把握出来ないほどである。当然、中には曹操側に内通している者もいるだろう。
陳宮はそれらを全て把握していたとして、その上で劉備の意見を聞き入れる事の是非を問うているのである。
その結論がどうなるのか、呂布は陳宮の判断に任せる事にした。
この手の議論に関して、呂布は経験不足もいいところで、下手な発言は混乱を招くだけだからである。
陳宮が出した答えは、現状維持であった。
劉備の案は、あくまで劉備が勝手に考えている案であり、実際にそれが有効かどうかまでは確証がない事と、劉備自身が曹操に狙われている事によって他の者達にも影響が出る恐れから反対であると言う事だった。
劉備の言い分では、徐州城を囮にして、徐州城を攻める曹操軍を引きつけ、その間に劉備が呂布と合流する為に行動する。そして呂布が曹操軍と戦っている間に、徐州軍全軍でもって徐州城内の裏切り者を探し出し排除する事が出来れば、それで問題は全て解決するという。
理屈としてはもっともらしいが、やはり呂布にとっては承服しかねるところが多い。
徐州城に残るという事は、そこにいるだけで常に命の危険にさらされるという事に他ならない。しかも劉備は呂布が守るとは言ってくれないのだ。
また、劉備と合流して曹操軍と戦うと言っても、呂布は大軍を相手に戦った事はあるし、少数相手の戦いも幾度となく経験があるが、それでも曹操軍一万数千とも言われる数と戦った事はない。
呂布の率いる兵は二千ほど。
まともにぶつかりあえば、十倍の敵でも打ち破ってみせるが、今回は曹操軍の方が数が多い上、その中には袁紹の残党軍もいるはずだ。曹操軍が呂布軍を殲滅した後に徐州へ攻め込めば、それこそ徐州城は孤立無援となってしまう。
しかし、それを劉備が口にしなかったのは、陳宮が気づいているはずだからだ。
陳宮は先程までの考えを全て切り捨てて、劉備の提案を受け入れた方が良いと考えているのだろう。
しかし、曹操軍に狙われているという情報を知っているのは呂布達だけなので、ここで下手に話せば話がこじれる。そこで劉備に話したと言うよりは、あえて劉備の方からの発案という形で伝えたのは、そう言う理由もあったに違いない。
つまりこれは劉備なりの譲歩なのだ。もし徐州城に留まるという選択をした場合、呂布達は間違いなく曹操軍の攻撃を受ける事になる。だが、城を捨てて曹操軍と距離を取っておく場合、こちらには打つ手が無くなりかねない。劉備の言うように、徐州城内に曹操軍の間者が紛れ込んでいるとしても城にいる限り危険であるなら、城から出て行く方が安全かもしれない。もちろん、城を出た後がどうなるかは分からないし、出た途端曹操軍に捕まる可能性だって無いわけではない。むしろ城から出た後で捕らえられた方が、まだ希望が持てるのかも知れない。
呂布は陳宮を見た。
陳宮も迷っているようだったが、すでにその心は決まっているのだと分かった。だが、決断の前にもう一つ、どうしても聞いておかなければならない事がある。
「劉備殿、一つ聞かせて欲しい。俺に会った時の貴女の願いは天下泰平だと仰った。それは今でも変わらないと思って良いんだな?」
呂布の問いに劉備は笑顔で大きくうなずく。
「はい。私の想いは何も変わっていません」
迷いのない言葉は、真っ直ぐ呂布の心に届いた。
であれば、これ以上劉備に対して余計な疑惑を抱く必要は無い。そもそも、今回の一件において劉備の行動が一貫して善意のものであり続けたと言う事実は、疑いの余地も無いところである。
呂布がうなずき返すと、今度は陳宮が大きくため息をつく。
「では、呂布将軍。これからの事を話しましょう」
陳宮の言葉と共に、今後の動き方を決める会議となった。
呂布の率いていた呂布軍は劉備の申し出もあり、半数はそのまま徐州城の守備についてもらう事になった。残る半数は劉備の指揮下に入り、そのまま劉備が集めた義勇兵団に加わる事となった。
徐州城を守る為、呂布は五百を率いて守備に付く。陳宮や張遼、高順など古参の武将達が残り、劉備が率いていた者達と合流、呂布は彼らを連れて南進する事にする。
徐州城にはまだ多くの兵力が残っていたが、それらの多くは徐州城内にて呂布軍の本隊である三千と合流している。この場に留まっている者らは徐州城の守りを任された兵や、新たに集められた義勇軍であり、数は多くても連携が取れておらず実戦慣れしていない集団だった。また、この中には曹操側の内通者もいる可能性があるので、それらの排除も呂布が行う事にしている。
徐州城を出るに当たって最大の問題は、いかにして曹操軍に悟られずに移動するかという事だ。
このまま呂布達が動けば、すぐにでも見つかってしまう恐れがあるが、呂布はその前にやらねばならない事があった。
劉備が呂布に告げた、曹操の徐州城攻めである。劉備が呂布と陳宮に相談したのは、この曹操による徐州城攻めに関してであった。
既に袁紹の残党軍討伐の為に出陣している曹操軍であったが、曹操軍には袁紹の残した兵が少なからずおり、それらが袁紹の死に乗じて独立、あるいは袁紹が生きている頃から曹操に仕えていた将らが引き連れて反乱を起こしており、曹操としては徐州城を落とさなければ安心出来ない状況になっていた。呂布が曹操軍の動向を調べたところ、どうやら曹操軍の動きが活発になりつつある事から、おそらく劉備と呂布が徐州城を離れた事を知った曹操は、ただちに徐州攻めを開始したと見て間違いないと言う事だった。
劉備は徐州攻めが始まってしまった事を悔やんではいたが、それでもまだ呂布が徐州を離れる前であった事が救いではあったと言える。ただ、それが吉兆であるか凶兆であるのかは分からない。
呂布は劉備の話を聞きながら、ふとその劉備の隣に座っている少女を見て、思わず眉根を寄せてしまう。
そこには、あの日別れたはずの許緒が座っていた。
今から七日程前の事だった。
呂布の元に、曹操からの使番が訪れた。
内容は劉備が使者として呂布に会いに来たという事で、使者には呂布との会見に立ち会う権限を与えられていると言う。
呂布はすぐにでも会いたいと思ったのだが、それを伝えると曹操からの使いだけでなく、その場にいた文官からも反対されてしまった。今は呂布も負傷しているが、その状態ではまともに話が出来るかも怪しいというのだ。
それに怪我の治療もまだ済んでいないし、面会を求める相手が相手だけに身なりを整えるべきでもある。特に呂布の妻達は呂布が留守にしている間に徐州の政務を取り仕切ってくれていたので、その辺りはきちんとした格好をしてもらいたいというのが、文官達の意見だった。
しおりを挟む

処理中です...