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2話

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困ったことになったぞ……。
言葉が通じないとは思わなかったから全く考えてもなかったわ。
『何とかしてくれ出来ることなら話だけでも通じて欲しい』
と願った
『その願い聞き届けましたよ。では、授けます』
という声が聞こえた気がした。
その瞬間3人の会話が理解できるようになったのだ。
『でな、これが要するに今度の課題って訳だ』
『そうなのでしょうか?』
『水の元素は何かってこと?』
(ん?水?H2Oの事か?化学方程式では)
『そうなんだが実は俺もよくわからんくてさ、お前らはどう思う?水属性とか聞いたことあるか?』
『いや無いんじゃないか?』
『私も無いと思いますよ~』
3人とも知らないらしいな。
よし、聞いてみるとするかな。
「すみません」
「はい、どうかされましたでしょうか?」
「いえ、ただ質問したいことがありまして……」
「わかりました。何でしょう?」
「さきほど水の元素って言ってましたよね」
「はい、理科化学という勉強で今元素構築における化学式と言うものを習っているのですがその中の水の元素について勉強していまして」
(やっぱ水の元素記号式だな)
「『水=水素であるH2つと酸素であるOを化学結合式を用いて算用した元素記号式』」
「「「!!!」」」
俺が答えると
パラパラと教科書を開く生徒。
「「「合ってる!?」」」
(やっぱな)
「あの失礼ですが、貴方様のお名前は?」
「えっと、俺はアベルと言います。ところであなた方は?」
「申し遅れました。私はこの学校の理事長をしております。ミレーユ・フォンティーヌと申すものでございます。そしてこちらにいるのは、私の執事兼護衛を務めていますロダン、最後に生徒会のメンバーの1人で書記を務めているカエデさんといいます。」
丁寧な挨拶をカエデさんがしてくれたので3人の名前が明らかになった。
それから、この世界についてのことや魔法などについて教えてもらったりした。
それによるとこの学園には全寮制らしく入学するには入学試験というものに合格しなければならないとのことなのだ。
それで、今は筆記試験の結果発表待ちの状態だ。
(ん?あれ?そういえばここの人たちみんな日本語喋れてないか?)
気になったから聞いてみたのだがどうやらそれは、スキルによる恩恵だということだった。
ちなみに言語習得系の能力もあるみたいだ。
そんなこんなで待っているうちについに結果が出たようだ。
結果はというと、合格だった! どうやら筆記も満点だったようだ。
まぁ、当然といえば当然だろう。
なぜなら、中学受験の時にも似たようなことがあったからだ。
その時も国語だけは100点を取れていた記憶がある。
今回は英語も結構いけたしね。
この調子だと高校入試の方も大丈夫そうだな。
まぁ、そんなことは置いておいてこれからどうするかを考えないといけないな。
まぁ、行く当てもないわけだし取り敢えずここの学校に通うのが一番良いのかもしれないな。
それにこの世界のことについてもっと知っておきたいこともあるしね。
ということで、今日からはここの生徒として通うことになりそうだ。
まぁ、まだ制服の採寸などをしなければいけないみたいなのだけど……
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