三国志~呂布奉先~異世界三国志は今宵もまかり通る

みなと劉

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56話

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「なぁ、どうする?」
黄忠の提案に対して呂布は少し考えていたのだが、小さく笑みを含んで首を横に振ると魏続に向かって答える。
「いや、ここは孫策さんと手合わせをする事にしよう」
その言葉に魏続は笑みを浮かべて更に喜んだのである。
呂布軍の天幕の中で二人の人物が真剣な表情で向き合っていた。
その二人とは黄忠と孫策の二人で、その場には呂布も同席していた。
「気持ちはありがたいのですが……」
と、恐縮した様子で孫策が申し出を断ろうとしたのだが、その言葉を途中で遮る様に黄忠はキッパリと断る。
「問題ありません。我が主は負けませんから」
そんな黄忠の態度に苦笑いを浮かべる孫堅だったが、ここまで言われたらと言う気持ちもあった為、二人の提案を受け入れ、一騎打ちが行われる事になったのである。
「何故、主を説得出来なかったんだ?」
そんな魏続の疑問に対して黄忠は微笑んで答える。
「それは簡単な事です」
「簡単な事?」
その言葉に眉を寄せる魏続だったが、そんな魏続を横目で見つつ黄忠は少し呆れた顔を見せた。
「この私が孫堅様に勝てる訳ないじゃない?私の性格からしてそんな事を提案なんて出来ないわよ」
確かに……と、頷く魏続の横で呂布は頭を掻いていた。
「あ、あの~?勝つ自信が無かったから手合わせを断りたかったって事でいいのかな?」
そう言って黄忠に問い掛けるが、黄忠はそれに答える事無く笑みを浮かべていた。
(負けられない戦いの前にこの余裕……勝てないな)
そんな黄忠の様子をジッと見ていた孫策がボソッと呟く。
「こんなに楽しそうな黄忠殿を見るのは初めてだね……」
その呟きを聞いた呂布と魏続は驚きの表情を見せて孫策を見つめた。
「ほ、本当なんですか?」
そう聞き返した呂布だったが孫策は小さく首を左右に振った。
「そこまで親しい訳ではないのですけどね……」
そんな会話をしていると外から黄忠の声が聞こえた。
「それでは行きますよ?」
その声に三人は緊張した表情を浮かべる。
(さて、どうしたものか……)
そんな考えを抱いていた呂布の横で魏続が立ち上がると一気に緊張が高まる中で幕舎を出る。
そんな魏続の目の前には仁王立ちする黄忠の姿があった。
「じゃ、私が先に行ってるわ」
そう言うと緊張の欠片も無く呉蘭は黄忠に向かって行ったのである。
(確かに……大した人物だな)
そんな呂布の横で孫策が少し呆れ気味で魏続の事を眺めていた。
「なんで魏続殿はいつもあんなに余裕があるのかな?」
そう言われた呂布は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「呉蘭の言葉を借りる様でアレなんですが、それは恐らく戦以外ではいつものんびりとした性格だからではないでしょうか?」
「なるほど……戦場では天才肌って訳か」
そう言ってクスリと笑う孫策を見た呂布は何故か安堵を覚えるのであった。
(黄忠殿といい、呉蘭といい、俺の周りにはいい武将が多くいるな……)
そんな事を考えつつ、今度はその横で笑みを浮かべる魏続に視線を向ける。
(この人とは一度手合わせをしたい気もするけど……流石にそれは無理だろうな)
魏続の鎧に描かれた鷹の絵を見た呂布はそう思っていた。
魏続はチラリと呂布を見ると軽く笑みを浮かべると黄忠に向かって問い掛ける。
「そろそろ、始めてもいいかな?」
そんな魏続に黄忠は少し首を傾げて見せる。
「一人でいる私を狙いに来たという事ですか?その様な事はしなくて良いんですよ?」
すると魏続はニッコリと笑って首を横に振ったのである。
「別にそのような下衆な真似はしないさ」
そう言うと魏続は腰に差していた剣を引き抜く。
「先日、呂布殿と戦った時から思っていたのだ。私は呂布殿の背中ではなく横に並び戦いたいと……だが、自分一人の力ではこの願いは叶えられそうに無い……だからお願いしに来た」
その言葉の意味が分からずに黄忠も首を傾げたのだが、魏続の背後に控えていた兵が持っていたモノを見て表情を変える。
それは斬山刀と呼ばれる剣であった。
「まさか……」
そんな黄忠の呟きに答える様に魏続は言葉を続ける。
「私達の実力が何処まで届くのか試させてもらおう!あ、そういえば名乗っていなかったね。私は魏伯陽(ぎはくよう)だ」
「呂布、奉先様!?」
黄忠の言葉に魏続は小さく頷いた。
「我が主は呂布殿の腹心と手合わせしたと聞いた。ならば、私も呂布殿とは縁があるという事になるだろう?」
そんな会話を横目に呂布は呆れてしまう。
「魏続殿は俺にただ勝負を挑みに来られたのか……やはり孫策様といい、黄忠殿といい凄い人達だな」
それには孫策も笑みを浮かべて頷いていた。
「まだ天下を望む実力はありませんが、是非にも手合わせさせて頂きたい!飛将軍呂布奉先!!」
そう言うと魏続は斬山刀を構えて呂布に向かって行く。
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