三国志~呂布奉先~異世界三国志は今宵もまかり通る

みなと劉

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79話

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夏候惇達の予想では曹操は本気で孫乾と会いたいのだと思った。だが、どうやらそれは見当違いであったらしい。
しかも呂布の様子からするとその事を呂布も知っていたのだろう。
その時である、呂布の後ろからか細い声が聞こえた。
「あ……あのー」
その言葉に皆の視線が向くと、そこには虎の様な耳と尻尾が生えた少女がいた。
少女の格好は庶民的な物だったのでこの場にいるにしては異質だった。
そんな少女の姿を見ていた孫乾は思わず言う。
「あっ!」
その短い声を聞いて曹操は孫乾を見て尋ねる。
「お知り合いですか?」
「……い、いえ、初対面だと思いますが……」
そんな曹操の質問に孫乾は答えかねていると呂布は笑った。
「どうやら当家の虎児がお帰りの様だな」
そう言われると後ろから肉の塊を抱えた少女が入って来た。
少女は呂布の隣に座ると、気まずそうにするのだが……先程の名乗りを思い出すと孫乾はハッとした。
「ひょっとして……魏越様?」
そう問われて少女は頷いた。
呂布や董卓が劉備軍に行くようになり、そして曹操軍の呂布に弓を引きそのまま投降した新参者は一人だけいる。その者こそ、魏越であったのだ。
「あら、やはりお知り合いでしたのね」
曹操が微笑みながら言うと孫乾は慌てて答える。
「違います!違いますよ、曹操殿!」
だが、そんな否定を曹操は鼻で笑う。
「呂布将軍に謁見を求めてきたのに知り合いでは無いというのは無理があるのではなくて?」
確かにその通りだった。
しかし孫乾にとってはそう答えるしかなかったのだ。
その孫乾の姿に夏候惇達は首を傾げてしまうが関羽も何となく納得した様な顔をしていると、今度は曹操と呂布の方から溜息が聞こえて来た。
そんな二人に視線を向けると何か困ったような顔をしていたので劉備と関羽は首を傾げて二人を見ていると、関羽は突然椅子を倒して立ち上がると皆を見回して叫ぶのであった。
「ここにいたか、鈴々!」
夏候惇と丁原が思わず立ち上がるのだが、孫乾はその背中を擦って宥める。
そんな関羽から逃げるように曹操も椅子を立ち夏侯淵の腕を引っ張ると出口に向かうのであった。
「さあ、春蘭(しゅんらん)。帰るわよ」
「あ……いや……」
腕を掴まれている夏侯淵も混乱してしまうが、劉備達を残して逃げる訳にも行かず……複雑な表情を浮かべながら曹操と共に部屋を出て行くのであった。
曹豹(そうひょう)は皇叔(こうし)として兄の曹嵩から秋蘭の字(あざな)を貰い、曹子廉(そうしれん)と名乗っていた。
ある日、皇叔の曹豹に叔孫武恵(しゅくそんぶけい)という人物が近づき、叔孫武恵の持つ能力は正に皇叔にふさわしい物であると言い、皇叔の力を持って曹豹は世に出た方が良いと告げた。
自分の真の実力も知らずに力有る者を妬み讒言(ざんげん)するなど曹豹は怒りを覚えたが、何よりも年下の者から指示を受ける事は断じて我慢出来ないと思い叔父である曹騰を訪ねた。
だが話を聞いた曹騰は思い直す様に言った。
「それは子英(しえい)の事だろう、子英は養子に入った家ですっかり堕落した。他人の足を引っ張り、それを楽しむ様な人間になってしまった」
自分の叔父でもある曹騰がそう言う事には驚きもしたが、それでも叔孫武恵の讒言(ざんげん)に我慢出来ない曹豹はその様に答える。
そんな甥に対して曹騰は言う。
「このままではお前のためにならないだろう……確かにお前は正当に評価されるべきだ……」
だがしかしと続けると……
「だが、今動くのは時期が悪い」
曹騰の言葉に曹豹が不思議に思っていると。
「どうやら皇叔たる私の評価を下げようとしている者がいるようだ……」
その答えに更に疑問を持つ曹豹ではあったが、これ以上しつこく食い下がる訳にも行かず黙って父の言葉に従った。
そんな或る日の出来事であった。
曹豹が街で買い求めた食事を口にしていると不意に物陰で言い争う声が聞こえたのだが……その声の主が曹豹には良く聞き慣れた声で有った事に驚きつつも、建物の物陰に視線を向けるとやはり予想通りの人物が言い争う様子が窺えた。
それは呂布だった。
相手が誰かは分からなかったが、曹豹が気配を殺した事で二人は気が付かず話を続けていた。
「貴方の意見に賛同する者は多いのではなくて?」
そう聞かれた呂布は首を横に振り言う。
「反対の声もあるからな」
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