歴史の裏側の人達

みなと劉

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33話

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「さてそろそろ結論に参りましょう。私の見立てではすでに長州藩は倒幕へと動き出しているとそう判断しました!よって私もまた藩を脱してその先を見てみたいと思います」
そう言って俺に向かって深々と頭を下げる。
そして下げられた頭を上げると彼はこう言ったのだ!!
「私を長州藩に連れて行ってくれませんか?」と・・・。
(おおぉぉう・・・マジかよ~?そんな誘い受けちゃう奴なんて普通いないってのに・・・。さてどうしたもんかね?)
そう悩んだ挙句、とりあえず時間を稼ぐことを選択することにした!
そんな思いを込めて俺は彼の胸に手を当ててこう言ったんだ。
「せっかくのご提案ですが、今の長州藩は貴方から見たら敵でしかないかと思いますよ?」
そんな俺の言葉の意味するところに気が付いたのだろう、清水寺次郎兵衛はその眼を鋭くしてこう呟く。
「確かにそれはそうかもしれませんが?もしやすでに勝敗は決しているとでもお考えですか?」と・・・。
(そんなん聞かれても答えようがないんだが・・・)
としか考えられなかったのだが・・・。
それを口にする間もなく彼は続きの言葉を語り出す。
「なるほどなるほど、あくまでも貴方の考えは変わらずそのような結果を迎えているという事ですね?良いでしょう!ならば大阪へと参りましょう!!」
そう言うと彼は再び頭を下げたのだが・・・勿論そのまま終わる気は無いわけで・・・。
(参ったねこりゃ~)
と思いつつもこう口を開いたのだ!!
「いやいやいや!自分はそこに関わるつもりなんて全く御座いませんので・・・」と。
そんな俺の言葉を聞くとまたしてもとんでもない発言をした清水寺次郎兵衛・・・。
「それはどういうことでしょうか?そこに関わるつもりは無いと?」
と言いながらも口元に手を当ててクツクツと笑ってみせたのである。
そんな彼の態度にイライラし始める俺であったが、そんな事には一切お構いなしの彼は再び話し始めたのだ!!
「貴方は自分の命が惜しいということですか?それならば尚更私と共に行くべきでしょう。それで死に目に会う事などありませんよ」
(いやいやちょっと待てよっ!)
と思うも彼の言葉は止まらない!
「まさかと思いますが、たかが京都に居て禁令を犯した程度とでも思っているのですか?」
そんな清水寺次郎兵衛の言葉を聞いて俺は思わず目を見開いてしまう。
(うん??何を言ってるんだこの男は?)
と思いながらも続けてこう聞いていたのだ・・・
『ならば聞くが・・・一体お前は俺に何を求めてるんだ!』
と・・・。
その言葉を聞いた清水寺太郎兵衛は一瞬目を丸くした後で再び言葉を紡いだのである。
彼は俺に向かって『貴方の秘密を教えてください』と・・・。
(俺の秘密だとっ!?何を言っているんだこの男は。そんなものがあるならすでにとっくに明るみになってる筈だ!
絶対に出さん。)
そんな事を心の中で考えていた俺だったのだが・・・ふと脳裏に過るものがあったのだ!!
(ちょっと待てよ?俺が覚えている記憶だって実は穴だらけのものかもしれないじゃないか・・・・)
そんな俺の気持ちを察したのだろう清水寺太郎兵衛は更にこう話しを続けていく・・・。

「これだけは言わせていただきますが、今貴方が必死になって思い出そうとしているそれは全てが正しい記憶であるとは限らないのですよ?」
そんな清水寺次郎兵衛の言葉に俺は即座にこう切り返す!!
『悪いがそんなことを言う者の提案に乗るなど有り得んな』と。
勿論その後に続いた言葉も俺の口から出たものだ・・・。
(今まで一度だって俺はそんな事思ったことすらないぞ?)
「当たり前です!私が欲しいのはこの先訪れるであろう波乱に対する情報ですから。違いますか?」
(こ、こいつ何を言ってるんだ?)
と思ったのだがそんな俺の思いに呼応するかのように目の前の人物も口を開く・・・。
「これから先起こるであろう波乱・・・・そう貴方のこの先についてです!」
とね。
(何を言っているんだこいつは??全く意味わからんぞ!!俺が何を知っていると言うんだよ??)
そんな風に動揺が顔に出てしまっているのを自覚しながらも必死に取り繕う俺だったのだがね・・・。
そんな俺にはお構いなしで清水寺次郎兵衛は話を続けて行ったのだ!!
「例え話をさせていただきましょう!」そう言って彼が語った話はまるで劇のような内容だった。
なんでも俺の知って史実通りに物事が進むのならこの後明治維新が起こるらしいのだが
(まあ史実のままならな)
そこに至る過程に大きな変化が起こり得る!
ということを伝えてきたのである。
具体的にはアメリカが日本に対して参戦してくること・・・。
そんな行動を取るのも時間の問題だと力説してくれた上に・・・。
(ここまで史実を知ってるこの『清水寺次郎兵衛』とは一体)
「で、そこまで話が進めばどうなりますかね?」
と聞いてきたわけだ!!
(いやいやちょっと待ってくれよ!考える時間をくれ!!)
そんなことを思ってはいたのだけれど・・・そんな言葉も彼の耳に入った風はない・・・。
その眼には
『さっさと応えろよ!!』
と言わんばかりの剣幕が見て取れた。
(こっちゃ色々と混乱しきっているんだっつうのに・・・この野郎めっ!!)
そんな俺は彼に対しこう話す。
「開国へと繋がり他文化交流が始まりそして多文化のいい所を日本が吸収して日本をより善い道へと進ませることが可能となりますね」
(俺の精一杯のいい文句だ)
勿論それを聞いた清水寺次郎兵衛は笑顔を浮かべながらこう返してくる!
「そうですね・・・これは貴方が生きてきた歴史と同じです」と。
(なんで知ってやがるのか言えよお前)と思いながらも俺も口を開く!
「ええ、確かにその通りです。ではこの先に待ってるのは?」
それに対し彼は・・・。
(そら来た)と。
そう内心で思っていた俺だったのだが・・・。その次の瞬間彼が放った言葉は俺にとってあまりにも意外なものであったのだ!!
「さてさてどうなることでしょうね~?少なくとも二度目の大戦に日本が参戦するのは確定していると言ってもいいでしょう」
(どういう事だ!?なんでその歴史までを知っているんだ!!?こいつは)
彼『清水寺次郎兵衛』が言っていて『松本良順』が驚いているのは
『第二次世界大戦』のことである。
『第二次世界大戦』とは第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん)もしくは大東亜戦争
(だいとうあせんそう、だいとうあせんそう)とは、1937年から1945年までの日本とアジア各国との戦争状態の総称である。
なお『日中戦争』や『太平洋戦争』のように開戦原因による呼称もある。
なぜこうもこの日本の歴史に詳しいのかというと俺が以前まで生きてきた現代と大きく違ったところがあるとすれば・・・それは医学を発達させてきたことに他ならない!! と言ってもこの部分に関してそれほど重要ではない。
大事なのは・・・その情報を利用して医学を発達させてゆくという動きが出たのだ。
その結果生まれたのが・・・。
(1928年にアメリカが行ったオゾンホールによる太陽黒点の活動低下により起こる世界的な気象状況悪化現象や自然冷熱災害などが起きかねない時期にあると判断する)
日本医学研究協議会と呼ばれる機関だ。
だが
こっちでは
まだ
その大戦は起こりうるはずがないのだが
彼は参加がほぼ確定していると発している。
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