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一話

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最近異世界に召喚されたお兄さんは魔法使いの適正があったが勇者として召喚されたしかし、この勇者様ときたら、とんでもないアホなのである!
「あの……勇者様? 俺達は魔王を倒す為に一緒に行動しているんですよね?」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、なんでそんなに呑気にしていられるんです!?」
「だって、もうすぐ魔王城に着くんじゃない?」
「そうですけど……」
「それに君となら大丈夫だよ。
ほら、僕達って強いし!」
「……はぁ」
そう、勇者はアホだが、めちゃくちゃ強かったのだ
「それじゃ、行こうか!」
こうして二人は魔王城に辿り着く そこには四天王が待っていた
「よくぞ来たな! 我が名は暗黒竜!」
「僕は光龍!」
「私は雷帝!」
「我は炎鬼!」
「我ら四人揃って、四天王だ!」
「うわー! なんか強そうな名前だね!」
「そういうお前はなんて言うんだ?」
「僕は勇者! よろしくね!」
「ふっ……ふざけるな! 貴様のような奴が勇者だと!? 我々を舐めているのか!?」
そして戦いが始まる
勇者は剣を構えて走り出す
その瞬間に相手も動き出した
しかし、そのスピードは明らかに遅く、簡単に避けられてしまう
しかも、避けた先には魔法陣が展開されていた
次の瞬間には大爆発が起こり、辺り一面に黒煙が立ち込めた
すると突然、空から声が聞こえてきた
「そこまでだ! この勝負、私の勝ちだ!」
それは先程まで戦っていたはずの敵の声だった
「……どういう事ですか?」
「お前達が今戦っているのは私が作り出した幻影だ 本当の私は既に安全な場所に移動し、この戦いを見届けさせて貰おう」
「えぇ~! ずるいよ! 僕達はまだ戦うつもりなのに!」
「黙れ! これは私なりのルールなのだ!」
「ぶぅ~」
「とにかくお前達の負けだ 大人しく降参しろ」
「わかったよ」
一話完
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