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3話
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「彼は僕と全く同じ姿形をしていたけど、性格は全然違っていた。でも、考え方なんかはよく似ていた。僕は彼と意気投合して、色んなことを話し合った。そのうち彼は自分の世界について色々教えてくれた。そこにはたくさんの人間が住んでいて魔法があるらしいんだ。それから彼は僕に対してこう言ってくれたんだ。
『君は、本当はとても頭がいい。だから、もっと自信を持っていいんだ』とね。でもその後、僕は事故にあって気を失ってしまったらしくて……。目を覚ました時は何も覚えていなかったんだ。ただ一つだけ言えることは、あの時の彼との出会いによって僕の人生が大きく変わったということだよ」
「ねぇ、ちょっと待って!」
ミリアは話の途中で遮るように言った。「それじゃあ貴方が見たもう一人の貴方っていう人は……、ひょっとして……、おとうさんの本にあった『異世界の人間達』の『一人』なの?」
「その通りだよ。あの時彼は『この世界を侵略しようとしている悪の組織を潰すためにやってきた』と語ってくれた」
「そう……だったの……、あの人達がおとうさんにあんな酷いことしたのも、そういうことだったのね」
ミリアはうつむきながら呟いた。
そして彼女は決心する。もう誰も犠牲にさせないと! 次の日の朝、学校に行く前に玄関を出たところで彼女は立ち止まり空を見上げた。彼女の表情はいつもとは違って決意に満ちたものだった。
「お嬢様」
後ろからメイドのマーガレットが話しかけてきた。
「私決めたの。これ以上誰かを死なせないようにしようと思って」
「一体どうなさるおつもりですか?」
「私も戦うわ」
ミリアは自分の右手を見つめながら答えた。すると彼女は、
「そんな無茶です!相手は軍隊なんですよ!?」
「いいえ。きっと大丈夫よ。だって私は……、私の能力は……」
とミリアが言いかけた瞬間、玄関から誰か出てきた。
「おっはようミリア!!」
現れたのはクレアであった。ミリアは彼女を見て
「おはようクレア。今日は早いのね」と言った。そして続けて、
「私、決めたの」
と言う。
「何を決めたの?」
クレアは興味津々という感じで訊いた。
「うん、今朝ね。今までの自分の能力について考え直してみたの。そしたら、あることに気づいたの。私が本当に使える力は、他人の精神に干渉できるものだっていうことに。私は、人の心を操れる力を持っている。だったら、戦争を止めることもできるはずだと思うの」
「ふーん。よくわからないけど凄いじゃん! 」
ミリアは苦笑いをしながら、
「まあとにかく、これから私は一人で戦うことになるかもしれない。だからあなたも危なくなったら逃げなさいよ」
と言ったが彼女は首を横に振った。
「ミリアを置いて逃げるなんてできないよ。もしそんなことしても絶対後で後悔しちゃうもん。だから一緒に戦う」
「ありがと。嬉しい」
二人は見合って微笑みあった。そこへ、
「あらあら。すっかり仲良しさんですわね」
二人の背後から声がした。見るとそこにはアルヴィン家の執事であるゴードンが立っていた。ミリアの母はミリアが十歳の時、流行り病にかかって亡くなった。そのため今は母に代わって彼女がこの屋敷を取り仕切っているのだ。
「二人とも、これからも仲良くやってくださいね」
と、ゴードンは優しく語りかけてくれた。彼女は少し涙ぐみながら「ありがとうございます」と答えた。
『君は、本当はとても頭がいい。だから、もっと自信を持っていいんだ』とね。でもその後、僕は事故にあって気を失ってしまったらしくて……。目を覚ました時は何も覚えていなかったんだ。ただ一つだけ言えることは、あの時の彼との出会いによって僕の人生が大きく変わったということだよ」
「ねぇ、ちょっと待って!」
ミリアは話の途中で遮るように言った。「それじゃあ貴方が見たもう一人の貴方っていう人は……、ひょっとして……、おとうさんの本にあった『異世界の人間達』の『一人』なの?」
「その通りだよ。あの時彼は『この世界を侵略しようとしている悪の組織を潰すためにやってきた』と語ってくれた」
「そう……だったの……、あの人達がおとうさんにあんな酷いことしたのも、そういうことだったのね」
ミリアはうつむきながら呟いた。
そして彼女は決心する。もう誰も犠牲にさせないと! 次の日の朝、学校に行く前に玄関を出たところで彼女は立ち止まり空を見上げた。彼女の表情はいつもとは違って決意に満ちたものだった。
「お嬢様」
後ろからメイドのマーガレットが話しかけてきた。
「私決めたの。これ以上誰かを死なせないようにしようと思って」
「一体どうなさるおつもりですか?」
「私も戦うわ」
ミリアは自分の右手を見つめながら答えた。すると彼女は、
「そんな無茶です!相手は軍隊なんですよ!?」
「いいえ。きっと大丈夫よ。だって私は……、私の能力は……」
とミリアが言いかけた瞬間、玄関から誰か出てきた。
「おっはようミリア!!」
現れたのはクレアであった。ミリアは彼女を見て
「おはようクレア。今日は早いのね」と言った。そして続けて、
「私、決めたの」
と言う。
「何を決めたの?」
クレアは興味津々という感じで訊いた。
「うん、今朝ね。今までの自分の能力について考え直してみたの。そしたら、あることに気づいたの。私が本当に使える力は、他人の精神に干渉できるものだっていうことに。私は、人の心を操れる力を持っている。だったら、戦争を止めることもできるはずだと思うの」
「ふーん。よくわからないけど凄いじゃん! 」
ミリアは苦笑いをしながら、
「まあとにかく、これから私は一人で戦うことになるかもしれない。だからあなたも危なくなったら逃げなさいよ」
と言ったが彼女は首を横に振った。
「ミリアを置いて逃げるなんてできないよ。もしそんなことしても絶対後で後悔しちゃうもん。だから一緒に戦う」
「ありがと。嬉しい」
二人は見合って微笑みあった。そこへ、
「あらあら。すっかり仲良しさんですわね」
二人の背後から声がした。見るとそこにはアルヴィン家の執事であるゴードンが立っていた。ミリアの母はミリアが十歳の時、流行り病にかかって亡くなった。そのため今は母に代わって彼女がこの屋敷を取り仕切っているのだ。
「二人とも、これからも仲良くやってくださいね」
と、ゴードンは優しく語りかけてくれた。彼女は少し涙ぐみながら「ありがとうございます」と答えた。
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