異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?

みなと劉

文字の大きさ
3 / 161

3話

しおりを挟む
「彼は僕と全く同じ姿形をしていたけど、性格は全然違っていた。でも、考え方なんかはよく似ていた。僕は彼と意気投合して、色んなことを話し合った。そのうち彼は自分の世界について色々教えてくれた。そこにはたくさんの人間が住んでいて魔法があるらしいんだ。それから彼は僕に対してこう言ってくれたんだ。
『君は、本当はとても頭がいい。だから、もっと自信を持っていいんだ』とね。でもその後、僕は事故にあって気を失ってしまったらしくて……。目を覚ました時は何も覚えていなかったんだ。ただ一つだけ言えることは、あの時の彼との出会いによって僕の人生が大きく変わったということだよ」
「ねぇ、ちょっと待って!」
ミリアは話の途中で遮るように言った。「それじゃあ貴方が見たもう一人の貴方っていう人は……、ひょっとして……、おとうさんの本にあった『異世界の人間達』の『一人』なの?」
「その通りだよ。あの時彼は『この世界を侵略しようとしている悪の組織を潰すためにやってきた』と語ってくれた」
「そう……だったの……、あの人達がおとうさんにあんな酷いことしたのも、そういうことだったのね」
ミリアはうつむきながら呟いた。
そして彼女は決心する。もう誰も犠牲にさせないと! 次の日の朝、学校に行く前に玄関を出たところで彼女は立ち止まり空を見上げた。彼女の表情はいつもとは違って決意に満ちたものだった。
「お嬢様」
後ろからメイドのマーガレットが話しかけてきた。
「私決めたの。これ以上誰かを死なせないようにしようと思って」
「一体どうなさるおつもりですか?」
「私も戦うわ」
ミリアは自分の右手を見つめながら答えた。すると彼女は、
「そんな無茶です!相手は軍隊なんですよ!?」
「いいえ。きっと大丈夫よ。だって私は……、私の能力は……」
とミリアが言いかけた瞬間、玄関から誰か出てきた。
「おっはようミリア!!」
現れたのはクレアであった。ミリアは彼女を見て
「おはようクレア。今日は早いのね」と言った。そして続けて、
「私、決めたの」
と言う。
「何を決めたの?」
クレアは興味津々という感じで訊いた。
「うん、今朝ね。今までの自分の能力について考え直してみたの。そしたら、あることに気づいたの。私が本当に使える力は、他人の精神に干渉できるものだっていうことに。私は、人の心を操れる力を持っている。だったら、戦争を止めることもできるはずだと思うの」
「ふーん。よくわからないけど凄いじゃん! 」
ミリアは苦笑いをしながら、
「まあとにかく、これから私は一人で戦うことになるかもしれない。だからあなたも危なくなったら逃げなさいよ」
と言ったが彼女は首を横に振った。
「ミリアを置いて逃げるなんてできないよ。もしそんなことしても絶対後で後悔しちゃうもん。だから一緒に戦う」
「ありがと。嬉しい」
二人は見合って微笑みあった。そこへ、
「あらあら。すっかり仲良しさんですわね」
二人の背後から声がした。見るとそこにはアルヴィン家の執事であるゴードンが立っていた。ミリアの母はミリアが十歳の時、流行り病にかかって亡くなった。そのため今は母に代わって彼女がこの屋敷を取り仕切っているのだ。
「二人とも、これからも仲良くやってくださいね」
と、ゴードンは優しく語りかけてくれた。彼女は少し涙ぐみながら「ありがとうございます」と答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...