異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?

みなと劉

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120話

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道中は何もなく無事に過ごすことができ、ついに目的の場所まで辿り着いた。そこは街だった。ティグリス達は商人に別れの挨拶をした。そして、この街で泊まる予定の宿に向かって歩いていく。その途中で、ティグリスは気になっていたことを口にする。
「カレンは、この街に着いてから何をしたい?」
と聞かれたカレンは答える。
「ん~とねぇ。とりあえずご飯食べたいな」
「そうだな。もうすぐ昼だしな。俺は、先にギルドに行きたいんだが」
と聞いたカレンも
「いいよ」と返事をする。
そして二人は目的通りギルドへと向かったのだった。
---二人が到着してからすぐにギルドマスターと会うことになったティグリス達は、事情を説明した。そしてこれからの予定を話し合う。その途中、ギルマスに今回の件に関して何か情報はあるかと質問されたティグリスは答えた。
「今のところ、襲撃犯の情報は一切入ってきていないですね」
とティグリスは嘘を吐いた。そして続けて言う。
「でもまぁ、きっとそいつらはどこかに身を潜めて準備していると思います」
それを聞いたギルマは「うむ」と言って話を続ける。
「確かに、そういう可能性もありえるかもしれないな。君たちの方からも注意しておくようにしよう」
と納得したようだったのでティグリスはホッとした。
その後すぐに話し合いは終わった。
そして部屋から出て行く時に、ティグリスはカレンにある頼みごとをしていた。
それは情報収集をしてほしいということであった。その頼まれた内容について、特に何も聞かず了承していた。そして彼女は今、食事処に来ていた。
そこでカレンは店員に聞く。
「すみません、最近何かあったりしましたか?」
「そういえば先日、街の近くにある森でモンスターが暴れていたという報告がありました。幸い被害はなかったので良かったのですが、それぐらいしか思い浮かびませんでした」
それを聞いてカレンはすぐにお礼を言い、その場を離れた。
だがその時はまだ知らなかった。この事件の裏に何があるのかということを……。
一方その頃ティグリスは、とある男達と話をしていた。その者達は冒険者だと名乗ると、ティグリス達のことを知っていたようで、歓迎されていた。
「お前たちって確か有名な姉弟だったな。なるほど……ならさっき言っていた森の異変とかいうやつの調査をしてみるのもいいかもしれねえぜ」
と言われたティグリスは、
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
とお礼を言った。
だがここで疑問が生じたので聞いてみた。
「ところでどうして知っているんですか?」
すると、一人が口を開いた。
「実は、俺たちもその依頼があって来たんだよ」
そう言われてティグリスは「えっ!」
と言っていた。
なぜなら、自分たちと同じ依頼を受けている人達がいたとは思っていなかったからだ。だがよく考えてみると、こういう偶然も起こるものなんだと思い、気持ちを改めることにした。それからティグリスは、他の人にも同じことを聞くために席を離れようとしたのだが、それを遮るように一人の男がこう言った。
「それじゃあ俺たちと行動しないか?もちろん報酬は等分するし」
それを聞いてティグリスは嬉しかったが同時に困ったことがあった。なぜなら、自分は男で彼は女だったからだ。それにこの人はかなり強いとティグリスは思っていた。なので断ろうと思った。だけどそんなティグリスの考えは無駄だった。
「いや、僕は……」
と言う前にもう承諾されていたのだ。
「んじゃ決まりな」
と言われて強引に決めさせられたティグリスは、諦めたような表情になりながら小さくため息をついた。
それからしばらく経ったあと、ティグリスは街を見て回っていた。カレンと合流するためにである。しかし、一向に見つからずどうしようか迷っていると突然後ろから肩を掴まれた。
そして、そのまま振り向くとそこには知らない人が立っており 、いきなり手を引かれて路地裏に連れてかれた。
「なんですか?俺に用でもあるんですか?」
ティグリスが問いかけると男はニヤッとして答える。
「そうだ。ちょっと付き合ってもらうぞ」
と言ったのと同時に、彼はナイフを取り出してきた。
だが、ティグリスは動じることなく対処していく。
「残念だけど、あなたみたいな奴は俺の姉貴よりも弱いですよ」
と言い放ち、そしてすぐに決着はついた。
ティグリスは相手を殴って気絶させた後、すぐにカレンを探し始めた。
一方カレンの方では、街外れの森にいた。
そして周りにはたくさんの敵がいたが、それら全てを一人で倒し続けていた。
彼女はティグリスから、何かあればここにいる敵を倒すようにと言われていたからである。
それから少し時間が経つと、敵がいなくなった。
そして、カレンも森の中を歩き始める。
だがその瞬間だった。
カレンが一瞬にして動けなくなってしまったのは。まるで金縛りにあったかのように体が固まってしまった。
そして声が出なくなっていた。
さらに呼吸までもままならない状況になっていたのだった。
--なぜこのようなことになっているのか。その理由は、敵の能力だった。
彼女の能力は『呪縛』と呼ばれるものであり、その名の通り、相手の動きを止めたりすることができるものである。しかもかなり強力であり、ティグリスであっても止められてしまう程であった。
(うぅ……)
このままだと確実に死ぬという恐怖心に襲われている中で、彼女は必死にもがいていた。
するとそこにティグリスと同じような格好をした女性が助けに来てくれた。カレンはその人のことを信用して助けを求めた。
そのおかげでなんとか助かった。
そしてその後すぐにティグリスとも合流することが出来た。
その後二人は、急いでその場から離れた。
その最中、二人の間に会話はなくただ黙々と歩いていた。だがティグリスはカレンのことを心配していた。
それは、自分の不甲斐なさのせいで危険な目に合わせてしまっているのが申し訳ないと思っているからであった。
そしてティグリスは決心した。
必ず彼女を護ってみせると。
それからすぐにティグリスは宿へと戻っていった。
それからしばらくしてようやく落ち着きを取り戻した二人は話をしていた。
そして話が終わったあとすぐにティグリスは部屋を出て行きどこかに行ってしまった。
それを見たカレンは不思議に思いながらも、ベッドの上に倒れ込んですぐに眠ってしまった。
そして夢を見るのだった。
その頃、ティグリスはというと、 ある場所に訪れていた。
そこはこの街の教会である。
そして、中に入るとすぐに祈りを始めた。
すると彼の体に何か不思議な力のようなものが流れてくる。そしてそれが全身に行き渡った時、ティグリスは教会から出ていったのであった。
そして外にあるベンチで腰を下ろしていた。
そして空を見上げていると、
「よぉ、こんなところで何をしているんだ?」
と言われたのでその方向を見ると、そこにはギルドマスターが立っていた。
「あぁ、お久しぶりです」
とティグリスは挨拶をしてから言う。
「実は今日ここに来た理由はお聞きしたいことがありましてね」
それを聞いたギルマスは、興味津々な様子で話を聞く。
「なんでもいい、言ってみろ」
そう言われたティグリスは質問をする。
「最近、街の近くに森があるじゃないですか。あそこでなんか事件があったとか聞いてます?」
そう聞くと、ギルマは答えてくれた。
「そうだな。確かにモンスターが現れたりとかはあったが、そこまで大きなものではなかった。でも確かその時に冒険者の中で行方不明になっているやつが数人いることについては噂で聞いたぞ」
「本当ですか!?それでその人たちの特徴とか分かりませんか!?」
ティグリスは思わず前のめりになりながらそう言った。
「ま、待て!まだそうと決まったわけじゃねぇだろ。それにもしお前の弟が関わっているとしても証拠がない以上動くことはできねえぞ」
「それなら大丈夫です。だって俺はあいつのことなら何が何でも信じるって決めてるんで」
と言ってティグリスは立ち上がってからもう一度頭を下げて感謝の言葉を述べた。
「本当にありがとうございました!」
そう言い残してから、彼は走って街に戻って行った。
それを見てギルマスは呆れながら呟く。
「あの野郎はいつも急に現れては消えていくからほんっと困るぜ」
それからティグリスはカレンのいる宿に戻るとすぐに彼女の部屋に行こうとしたが、なぜか受付のお姉さんに止められた。
そして、彼はカレンの部屋の前に来るとドア越しに声をかけた。
「カレン、起きてるか?」
「……うん」
ティグリスが呼びかけると返事が返ってきた。
なので彼は扉を開けてから部屋に入った。
そして椅子に座ってから口を開く。
「単刀直入に聞くけど、何か隠していることないか?俺が寝ている間に街を出ようとしなかったか?そして今もここに来ていることがバレないようにするために、変装をしていないのかとかな」
そう聞かれたカレンは黙っていた。
なのでティグリスは続けて言う。
「さっき街に出てたらたまたまお前と似たような人がいてな。そいつがカレンの名前を言っていたんだよ」
それを聞いていたカレンは焦っていた。
なぜなら自分と同じ人がいるなんて思ってもいなかったからだ。
「だからもう嘘はつくな」
と言われてしまったカレンは仕方なく全てを話すことにした。自分が魔王の娘であること、それと今まであった出来事を全て包み隠さず話していった。するとティグリスは納得したような表情を浮かべた後すぐにカレンを抱き寄せた。いきなりの出来事だったので彼女は戸惑っていた。しかしそんなこと気にせず彼は話を続ける。
「お前は俺にとって大切な家族なんだ。そして、この世界でたった一人のかけがえのない妹なんだ。だからこそ一人で抱え込むんじゃないぞ。これからは自分の身だけじゃなく自分の周りの人も大切にしていくように心掛けろよ。そしていつかまた平和に暮らせるようになった時は、二人で世界を回っていこうな。そしてその時までずっと一緒だ。わかったな」
その話を聞いたカレンはとても嬉しかったようで涙が出そうになったのだがなんとか堪えて笑顔になった。
それからティグリスはすぐに部屋を出ていきギルドに向かったのだった。
その頃、ギルマスはというと とある場所で酒を飲んでいた。
そしてその隣にはティグリスの姿があった。
「まさか、あんたが俺を呼んでいたとは驚きですよ。でもこれで、ようやく全ての謎が解けたんです。だから俺はあなたについていくことにしました。これからよろしくお願いします」
そう言いながらティグリスは彼のことを見つめていた。
「ああ、こちらこそ頼むぞ。ティグリス」
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