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149話

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「いや……なんでもない……」
「それなら良かったけど……」
「それよりも早く行こうぜ!!」
アリサはそう言うと、先を急いだ。
~~~~~~
それからしばらくして、ようやくゴブリンを見つけることが出来た。
「やっと見つけたぞ……」
「よし!やるぞ!!」
アリサがそう言って剣を構えると、ジャックは言った。
「いや……俺が一人でやるよ……」
「え?なんでだ!?」
アリサは不思議そうにする。それを見たジャックは理由を説明する。
「だって……俺はまだ初心者だからな……」
「それじゃあ仕方ないな……」
アリサは残念そうにしながらも了承してくれた。
「それじゃあ……行ってきます」
ジャックがそう言うと、アリサは笑顔で送り出す。
「おう!頑張れよ!!」
(本当に優しい人なんだな……)
ジャックはそう思いながら、ゴブリンに向かっていった。
「さてと……そろそろ終わらせるか……」
そう言ってジャックがゴブリンに近づくと、突然後ろから攻撃された。
「なっ……!!?」
ジャックは慌てて避けると、後ろにいるゴブリンを睨みつける。
「なんのつもりだ……?」
ゴブリンは、ジャックの問いには答えずに、ニヤリと笑った。そして、再びジャックに襲いかかってくる。
「くっ!!」
ジャックはなんとか避けながら、反撃の機会を伺う。
「そこだ!!」
ジャックは、隙を見つけてゴブリンを攻撃するが、ゴブリンはそれをあっさりとかわしてしまった。
「なんで……?」
困惑しているジャックを見て、ゴブリンは笑い出した。
「ギャハハ!!なんでだって?お前の攻撃なんて効かないんだよ!!」
「どういうことだ……?」
ジャックがさらに混乱していると、ゴブリンはさらに言葉を続ける。
「教えて欲しいか?」
「ああ……」
「それはなぁ……」
そこで言葉を区切ると、ゴブリンは一気に距離を詰めてきた。
「こう言うことなんだよ!!」
「なにを……ぐあっ!!」
ジャックは腹に蹴りを入れられてしまい、吹き飛ばされてしまう。
「がはっ!!」
地面を転がるジャックを見ながら、ゴブリンは言う。
「わかったか?お前じゃ俺に勝てねぇんだよ!!」
「ちくしょう……!!」
ジャックは悔しそうにして、何とか立ち上がろうとする。しかし、体に力が入らない。
「おいおい!!もう終わりかよ!!」
ゴブリンはそう言いながら近づいてくる。ジャックは必死に逃げようとするが、体が動かない。そして、ゴブリンはジャックの目の前まで来ると、足を振り上げた。
「じゃあな!!」
そう言うと、勢い良く振り下ろした。
「死ね!!」
ジャックは、目を瞑る。
……
いつになっても衝撃が来ないので、ジャックはゆっくりと目を開けると、そこには、アリサの姿があった。
「アリサさん!!」
ジャックが叫ぶと、アリサは振り返らずに答える。
「大丈夫か?」
「はい!!」
「そうか……」
アリサはそれだけ言うと、また前を向いてゴブリンと向き合った。そして、腰に掛けていた剣を抜き放つ。
「覚悟しろ……」
アリサがそう言うと、ゴブリンもそれに反応する。
「ああん!!テメェが相手してくれるのかよ!!」
「そうだ……」
「へぇ~……それじゃあ……」
すると、ゴブリンは手を前に突き出す。すると、そこから黒い球体が出てきた。
「喰らえ!!」
その瞬間、ジャック達に向けて放たれた。
「危ない!!」
ジャックはアリサを押し倒して、その場から離れる。すると、そこに黒い球が着弾し、爆発した。
ドォン!!!! 大きな音を立てて、辺りが煙に包まれる。
しばらく経って、ジャック達は立ち上がる。
「大丈夫ですか……?」
優斗がいう。アリサは何も言わずに立ち上がり、剣を構えた。すると、徐々に煙が晴れていき、中から無傷の二人が姿を現した。
「はぁ!?なんで生きてんだよ!?」
「そんなことはどうでもいい……」
アリサの言葉にゴブリンはイラつきながら言った。
「どうでもよくねぇよ!!」
すると、アリサは静かに言った。
「どうでも良いんだ……ただ、貴様を殺すだけだ」
「なんだと!?」
「行くぞ……」
アリサはそう言うと、一瞬でゴブリンに近づき、斬りかかった。
「は、速え……」
アリサの速さに驚いていると、ゴブリンが反撃してくる。
「オラァ!!」
「ふんっ……」
アリサは、それを難なく受け止めると、そのまま押し返した。
「どうした……?こんなものなのか?」
「うるせぇ……」
アリサの挑発に対して、ゴブリンは顔を歪める。
「この野郎がぁ!!!」
ゴブリンはそう叫びながら、連続で攻撃を繰り出してくる。しかし、アリサは全てを弾き返す。
「クソが!!」
「まだだ……」
アリサはそう言って、一歩踏み込むと、渾身の一撃を放った。
「これで終いだ……」
「うおぉぉぉ!!」
ズバッ!! 次の瞬間、ゴブリンの首が飛んだ。
~~~~~~
それからしばらくして、ゴブリンの死体を回収した後、ジャック達のところに戻ってきた。ジャックが心配そうな表情をして話しかける。
「大丈夫だったんですか?」
「ああ……問題ない」
アリサがそう言うと、ジャックは安心したように言った。
「良かったです……」
「それより、お前の方こそ大丈夫か?」
「はい……なんとか……」
アリサがそう聞くと、ジャックは苦笑いをしながら答えた。アリサはそれを聞いて満足そうに笑う。
「そうか……」
「それで……これからどうしますか……?」
ジャックがそう言うと、アリサは真剣な顔で答える。
「とりあえず、王都に戻る」
「わかりました」
「よし!それじゃあ出発だ!」
こうして、三人は王都に向かうことになった。
(それにしても……なんであんなところにいたんだろう……?)
ジャックは疑問に思いながらも、今は気にしないことにした。
~~~~~~
その頃、とある場所では……
「あれ?もうやられちゃったの?」
「はい……申し訳ありません……」
一人の男が、誰かと話している。
「まあいいか……他にも色々いるしね……」
「次はもっと頑張りますので……」
「うん……期待しているよ……」
「ありがとうございます……」
「それじゃあ……行ってらっしゃい……」
「はっ!!」
男はそう言うと、その場から姿を消した。
「さてと……そろそろ僕も行こうかな……」
そう言うと、男もいなくなった。
王城に戻った俺たちは、すぐに国王に報告をした。そして、今回の件を詳しく説明して欲しいと言われたので、俺は正直に話すことにした。
「実は……俺が異世界人だってことは言いましたよね?」
「ああ……聞いたが……」
「それならわかると思いますけど……俺って強いんですよね……」
「確かに……あのゴブリンを簡単に倒すくらいだからな……だがそれとこれとは話が別だろう?」
「そうですね……でも、俺が本気出せば多分あなたも殺せると思いますよ?」
俺がそう言うと、王様は目を丸くして驚いた。そして、少し考え込んだ後に、俺に質問してきた。
「それは……本気で言っているのか?」
「はい」
俺がそう言うと、王様は再び黙り込んでしまった。そして、しばらくすると、ゆっくりと口を開いた。
「わかった……お前の話を聞こう」
王様がそういうと、後ろの騎士たちが騒ついた。そして、騎士団長らしき人が王様に問いかける。
「陛下……よろしいのですか?」
「ああ……良いのだ……」
「しかし……」
「いいから!!」
「は、はい!!」
王様に怒鳴られた騎士は、急いで後ろに下がった。
「すまない……それでは話してくれないか……?」
「分かりました……」
そして、俺は今までのことを全て話した。
そして、一通り話し終えた後、王様はしばらく考えた末に言った。
「なるほど……事情はよく分かった」
「信じてくれるんですか……?」
「信じるしかないだろう……」
「どうしてそこまでしてくれるんですか……?」
俺は疑問に思っていたことを尋ねた。すると、王様は真剣な眼差しで言う。
「お前には借りがあるからだ……」
「借りですか……?」
「そうだ……覚えていないかもしれないが、私は昔、君に助けられたことがあるんだよ……」
「そうなんですか……?」
「ああ……君は私がまだ若い頃、魔物に襲われているところを救ってくれたんだ……」
「へぇ~」
「その時、私は確信した。この人は勇者だと……」
「ゆ、勇者!?」
「そうだ……」
「そんなこと言われても……」
「まあ、今の君を見たら信じられないだろうな……」
「そりゃそうですよ……」
そんな会話をしていると、隣にいる優斗が話しかけてきた。
「真司……お前……そんなことしたのか……?」
「いやいや!!そんな記憶全くないんだけど!?」
「そうなの!?」
「当たり前だろ!?」
「うーん……」
すると、王様が優斗に話しかける。
「そこの少年は……?」
「あ、すいません!紹介が遅れました!こいつは『神原優斗』と言いまして……えっと……」
「あ、僕は『白木結衣』といいます……」
「そうか……よろしく頼む」
「はい……」
「それで、二人はどういう関係なんだ……?」
「え?同じ世界からやってきたと言うくらいで他は」
「ふむ……そうか……」
俺の言葉を聞いた王様が何かを考え込んでいると、後ろの方にいたメイドが慌ててこちらに向かってきた。
「し、失礼します!」
「どうした……?」
王様が聞くと、メイドは焦った様子で答える。
「お、お客様がお見えになっております!」
「客……?」
「はい……ですが……」
「何があった……?」
「その方は今、謁見の間にいらっしゃっておりますが……どうされますか……?」
「そうか……よし!通せ……」
「わかりました……」
そう言って、メイドは去っていった。
数分後、再び扉が開かれ、そこから一人の男が入ってきた。
「お久しぶりです……父上……」
「お前は……」
~~~~~~
真司達が王城に向かう少し前のこと……
ここはとある場所。そこにいる男は突然現れた人物を見て驚いていた。
「あれ……?もう来ちゃったの?」
「ああ……どうやらあいつらはここに来たみたいだな……」
「じゃあ……次は僕の番かな?」
「さあな……まあ、せいぜい頑張ってくれ」
「うん……ありがとう……」
そして、男は再び姿を消した。
残された人物は、不敵に笑うと、その場を後にするのであった。
「おい!お前は誰だ!!」
「父さん!危ないよ……」
「大丈夫だ……」
王様がそういうと、一人の男が近づいてくる。そして、王様の前に立つと、笑顔で自己紹介した。
「初めまして……俺は『シンジ・カンザキ』といいます」
「ほう……私の息子と同じ名前なのか……」
「息子……?それって……」
俺がそう言うと、王様は少し嬉しそうな表情をして言った。
「ああ、私の息子のことだ」
(そういえば……王様の名前聞いてなかったな……)
「それで……君はどうしてここに来たんだ?」
「はい……実は『神原優斗』がしばらくのうちにこの世界に来ます。来たら俺がこの世界にいることをアイツに伝えて欲しいのです。」
…………
「と、言うことがあった。そなたが『神原優斗』だったか」
「は、はい……(真司くんこっちに来てたんだ)」
「そうか」
「はい……」
「わかった。では、また会おう……」
そうして、王様との話は終わった。そして、優斗が帰ろうとした時、真司は声をかけた。
「ちょっと待てよ」
「真司くん……」
「悪いけど、まだ終わってないから……」
「それは……?」
「あんた、なんでここに来たんだよ?」
「それはさっきも説明しただろう?」
「本当にそれだけ?」
すると、真司の雰囲気が変わったのを感じたのか、優斗はすぐに答えた。
「違う……」
「やっぱりね……」
「なぜ分かった……?」
「俺の予想だけど、あなたは本当はここに来るつもりはなかったんじゃないですか?」
「っ!?」
「だから……本当の目的は別にあるはずだ……」
真司の言葉に涙が滲む
「真司のバカ!」
走って行ってしまう
「あ、おい!?」
「すまない……私はここで失礼させて貰うよ……」
「ちょ!?」
そして、王様もどこかへ行ってしまった。
~~~~~~
「くそ……見失ったか……」
俺はしばらく探したが、見つからなかった。
「仕方ない……一度戻るか……」
俺は一旦戻ることにした。
~真司Side~
俺は宿屋に戻ると優斗が部屋に入るのを目撃したので
走っておった。
「おい!優斗!?」
俺は急いで部屋に入ろうとするが、中から人の気配がしたので ドアの前で止まった。
「誰かいるのか?」
俺は恐る恐る聞くと、中からは意外な言葉が返ってきた。
「真司!?」
「え……?」
俺は予想外の返答に戸惑っていると、部屋の扉が開いた。
「真司!?どうして君がここに……」
「いや……優斗を追いかけてきたんだよ」
「そうか……ごめんな……」
「いやいいよ……それより聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「お前……何を隠してる?」
「何も隠していない……」
「嘘つけ!ならなんで泣いてるんだよ!?」
「これは……」
「言ってくれ……お前が何をしようと、俺は絶対にお前を守る」
顔を真っ赤にする優斗
服をつかみベッドに移動する。「え!?」
「ほら、話せよ……」
「うう……わかった……」
そして、優斗は泣きながら話し出した。
「僕は……異世界に召喚された勇者なんだ……」
「そうか……それで?」
「それで……僕には使命がある……」
「どんな?」
「魔王を倒して欲しいという……」
「それで?」
「僕は……その……怖い……!?……ちょ」
ベッドに押し倒される。
「大丈夫だ……俺がついてる……」
「うぅ……うん……んぅ……んちゅ……は……ひゃ」
乳首を服越しに触られる。
そして、俺は耳元で囁いた。
「俺に任せろ……」
「あぁ……ん……そこぉ……だめぇ……」
「可愛いぞ……」
「恥ずかしい……」
「大丈夫だ……俺にしか見せていない姿なんだから……」
「うん……」
そして、ズボンを脱がすとそこには勃起しているペニスがあった。
「もうこんなにして……そんなに気持ちよかったのか?」
「はいぃ……」
「素直になったな……」
頭を撫でると嬉しそうな表情をする。
俺はそのまま優斗のモノを口に含む。
「んやぁ……あん」
口を離し
優斗のアナルにローションを垂らす。
「冷たい……あ……ダメ……」
「安心しろ……すぐに暖めてやる……」
指を入れると、優斗はビクンと体を震わせる。
「あ……あ……あ……」
そして、前立腺を見つけると、集中的に責めた。
「あ!ああああああ!!」
優斗は勢いよく射精する。
「たくさん出たな……」
「はぁ……はぁ……」
息を整えている優斗の口に自分のアレを近づけた。
「優斗……舐めてくれ……」
「はい……」
優斗は躊躇なく口に入れると、舌を使って丁寧に奉仕する。
「ああ……いいぜ……次は……こっちだ……」
今度は四つん這いになり、尻をこちらに向けさせる。
「入れるぞ……」
ゆっくりと入れていく。
「ああ!!入って……くる……!」
全て入ったところで、腰を動かし始める。
パンッ!パァン! 肌と肌が激しくぶつかり合う音が部屋に響く。
「ああ!ああ!ああ!」
優斗は快感に耐えきれず、声を上げる。
「イクぞ……」
ドピュルルルーー!!! 俺は優斗の中に大量の精液を流し込んだ。
「熱い……いっぱい出てる……」
「はぁ……はぁ……」
俺達は繋がったまま、キスをした。
「ん……ぷはっ……これで、俺たちは恋人同士だよな……」
「そうだね……」
「これからよろしく頼むよ……」
「うん……こちらこそ……」
こうして、二人は結ばれたのであった。
~~~~~~
真司は優斗が寝た後、王様の部屋に向かった。
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