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35話

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しかし彼は、「気にしないで」と言うだけです。
それでもやはり何かしたいと思う私は、彼に感謝の言葉を伝えつつ自分も出来る事をしようと心に誓ったのでした。
こうして、私達は初めての旅行に出かける事になったのでした。
私はわくわくしながら荷物をまとめていた。
すると突然カイルさんが部屋にやって来て私に声をかけてきたのでした。
「おはよう」
「おはようございます」
「早いね」「はい」
「そう言えばさっき」
とそこまで言った時に
「あ」
「あ」
「あ」
三人同時に声を上げたのでした。
カイルさんが何を言いかけたのか気になったのですが、私はその続きを聞くことはなかったのです。何故ならカイルくんは突然
「ごめんね。なんでもなかったんだ」と言ったからなのです。
それからカイルさんは何事も無かったかのように話し始めました。
私とカイルさんのやりとりを見ていて気まずくなったと感じたリリィさんとカイルさんとの間で話し合いが行われ、今回の件については触れない事になったようです。こうして私達の間に微妙な空気が流れ始めたのですがそれはそれで仕方が無いですね。
そしてついに、私達が出発する日が来たのです。そして、その時になり私はあることに気づいたのです。それは、
「そういえばどこに泊まるんでしょう?」
という疑問だったのですが、それについてもすでに手配済みとのことです。なので私は考えることをすぐにやめました。
そして馬車に乗り込んだのです。
私は、窓の外に流れる景色を見ながら旅を楽しむことにしたのだった。
しばらくして目的地に着いた私達は早速温泉に入る事にしたのです。
そしてその帰り道に、
「楽しかったです」
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