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夢の中

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『夢の中』
これは私が体験したことなのだが、ある日、私は友人達とハイキングに出かけたのだ。その帰り道……私は友人の運転する車に乗って、そのまま眠ってしまったらしい。すると私は『夢の中で目を覚ました』。そして周りを見渡してみる。しかし周囲には私以外に誰もいない。どうしたものかと迷っているうちに目が冴えてきてしまった。だが……いくら考え込んでみても、この場所から抜け出す方法など思いつかない。そうやって頭を悩ませていると、しばらくして誰かが近づいてくる足音がした。そして……私は気がつく……
『あれ? おかしいな。今、目が醒めたはずなのに……また眠くなっているぞ?』と。しかし、それに気づいた時には既に遅かった。なぜなら私は深い眠りに落ちてしまっていたからだ。
「ん。うーん……はっ! いけない。僕も少しだけ眠るつもりだったんだけど……なんだ?もう朝なのか……えっと……そうだ!みんな、もう起きろ!起きるんだ!今日から僕達は『学校』に通うんだから遅刻してしまうぞ!さぁ、早く起きてくれ!」と少年は言った。
しかし……他の三人は何も答えない。
不思議に思ったので少年は、もう一度、声をかけた。
「おい。起きろよ。ほら、早く!起きろってば!起きろ!起きろ!起きろ!」すると今度は……三人の体は少しずつ動き始めた。そして彼らはゆっくりと起き上がると『おはよう』と声をかけてきた。それから彼らは口々に言う。
「ごめんね。実は、ずっと前から、もう起きてるんだよ。だから君の大声で起きたふりをしてたんだ。でも、そしたら、あまりにも必死に呼びかけるもん……つい……ね。あははは」と笑う少女もいた。だが残りの二人は黙り込んだままだ。その態度から何かを感じ取ったのか……少年は再び問いかける。
「お前たち。どうかしたのか?顔色が悪いけど……」すると……一番年上であるはずの男性が「いや、なんでもないさ」と答えた。
「ふぅ……なら良いけど」
すると女性は……こんな事を言ってきた。
「それより君。ちょっと聞いても良いかい?」
「えっ?ああ。何ですか?」
「君は『自分の記憶の中に空白の時間が存在している』という感覚を抱いたことはあるか?」と女性が尋ねてきた。なので僕は「無いですけど……急に、どうして、そんな質問を?」と聞き返したのだが……なぜか彼女は「何でもないよ」とだけ言った。その表情からは『何を考えているのか』読み取ることは出来なかった。
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