のほほん異世界暮らし

みなと劉

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お茶の苗を植える

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お茶用の畑が整い、ひと息ついた僕はシャズナとルシファンを見下ろしながら「さあ、次は苗を植える作業だ」と声をかけた。ルシファンは再び「ちち!」と元気よく鳴き、シャズナは「ええ、わかってるわよ」と言いたげな表情を浮かべながら軽く尻尾を揺らして応えた。

倉庫から昨日購入したお茶の苗を取り出し、慎重に持ち運ぶ。小さな緑の葉が可愛らしく揺れ、その存在だけでどこか生命の息吹を感じさせる。ルシファンが「それなあに?」と言わんばかりに苗に顔を近づけるものだから、「折れるから気をつけろよ」と軽く叱ったが、彼は全く気にする様子もなく、相変わらず好奇心旺盛だ。

一方、シャズナは僕の後ろからついてきながら、「その苗、本当に育てられるの?」というような冷静な視線を投げかけてくる。「大丈夫、ちゃんと市場の行商人から育て方も聞いてきたんだ」と答えると、彼女は「なら、まあいいわ」とでも言いたげにそっぽを向く。この微妙な距離感もまた彼女らしい。

苗を畑に並べ、植える位置を決める。畝ごとに一定間隔を保つように気をつけながら、シャズナが側で監督するかのように座っている。ルシファンはというと、僕が掘り返した土を手伝うつもりなのか、前足で器用にかき分けているのだが、時々掘りすぎて小さな穴を作ってしまう。そのたびに「ルシファン、そこは掘りすぎだって」と声をかけると、彼は「ちち!」と軽く鳴いてしっぽを振り、まるで「ごめんね」のような仕草を見せる。

苗をひとつずつ慎重に植え、土を優しくかぶせる作業は丁寧さを求められる。僕が一つの苗を植えるたびに、シャズナが興味深そうに覗き込み、「ちゃんとやってるのね」とでも言いたげな視線を送ってくる。そんな彼女の視線に見守られるのも悪くない。

すべての苗を植え終わり、最後に水やりをする段階になった。僕は井戸からバケツに水を汲み、慎重に畑へ運ぶ。その間、ルシファンが僕の行動を真似して、空っぽの小さな容器をくわえながら僕の後ろをついてくる姿に思わず笑みがこぼれた。「ルシファン、お前も手伝ってるつもりなのか?」と声をかけると、彼は「ちち!」といつも以上に嬉しそうな声を上げた。

水をたっぷりと与えた苗たちが、これからどんな風に成長していくのか考えると、少しワクワクしてくる。小さな芽が太陽に向かって伸び、緑の葉を増やしていく様子を想像するだけで、この作業が報われる気がした。

作業を終えて日が高く昇る頃、僕はシャズナとルシファンと一緒に木陰で一休みすることにした。シャズナは僕の横に堂々と腰を下ろし、涼しげな表情で目を閉じる。一方、ルシファンは僕の膝の上に飛び乗り、「ちち!」と元気よく一声鳴くと、満足げに丸まった。

「さあ、これで一段落だな」と呟きながら二匹を撫でると、シャズナが「これからもちゃんと面倒を見るのよ」と言いたげな目で僕を見上げた。その視線に応えるように、「もちろん、任せとけ」と笑いかけた。

風に乗って、かすかに土の匂いと新しく植えられた苗の香りが漂う。シャズナとルシファン、そして僕の三人で迎える新しい挑戦。この畑がお茶の葉でいっぱいになる日が待ち遠しい。

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