のほほん異世界暮らし

お布団と二匹と温もり

夜の静けさが家全体を包み込み、外では風が木々を揺らす音がかすかに聞こえていた。暖かな夕食を終えた僕たちは、眠る準備を整え、寝室へ向かっていた。布団を敷きながら、ストーブの心地よい熱がまだ部屋に残っているのを感じる。シャズナとルシファンも、僕の動きを見守るように部屋の中をそわそわと歩き回っていた。

「ほら、お前たちも早く落ち着いて」と声をかけると、シャズナはスッと布団の上に飛び乗り、自分の寝場所を確保するかのように、真ん中あたりで丸くなった。一方でルシファンはというと、僕の隣を狙っているのか、布団の端っこで「ち！ち！」と短く鳴いて僕の注意を引こうとしている。

「ルシファン、そんな端っこじゃ寒いだろう？」
僕がそう言って布団の中に招き入れると、嬉しそうにくるっと回り、僕の足元にちょこんと座り込んだ。彼の小さな身体が僕の脚にぴたりと寄り添い、その温かさが布団越しに伝わってくる。

シャズナはというと、すでに目を半分閉じていて、僕の方をちらっと見るだけで、何か言いたげな雰囲気を醸し出している。「今日は寒いんだから、もう少し近くに来てもいいんだぞ？」と声をかけると、彼女は仕方なさそうに「ふん」と鼻を鳴らしながらゆっくりと僕の横へ移動してきた。そして、僕の腕に顔を押し付けるようにして、そのまま静かに眠り始める。

布団の中は、僕とシャズナ、ルシファンの温もりで満たされていく。外の冷たい風がどうであれ、この瞬間だけは三人の世界で、何の不自由もない心地よい空間が広がっている。

「お前たち、あったかいな」
僕がそう呟くと、ルシファンは小さく「ちち！」と返事をするように鳴き、シャズナはそのまま優しく喉を鳴らした。彼女のゴロゴロという音が心地よい子守唄のように耳に響き、僕の目蓋も自然と重たくなっていく。

布団の中で寄り添う二匹と、僕。特に何か大きな出来事があったわけでもないが、この温もりに包まれた時間が、日々の忙しさや寒さを忘れさせてくれる。一緒に過ごす時間の中で、彼らは僕にとって家族以上の存在だと、改めて感じた。

「おやすみ、シャズナ。おやすみ、ルシファン」
静かな部屋の中で、僕の言葉に応えるようにシャズナは軽く鼻を鳴らし、ルシファンは布団の中で小さく動いた。そして僕たちは、冬の夜の静けさと共にゆっくりと夢の世界へと引き込まれていった。