のほほん異世界暮らし

暖かな朝と新たな決意

翌朝、僕が目を覚ますと、窓の外には薄い朝霧がかかり、地面から立ち上る蒸気が幻想的な景色を作り出していた。冬の名残を感じさせる冷たい空気が漂う中、空は徐々に明るさを増している。

布団の上には、シャズナが丸まっている。白い毛が朝日の淡い光を浴びて輝いていた。すぐ隣には、リッキーがぴょこんと耳を立て、眠そうな顔でこちらを見上げている。ルシファンは枕元でじっと僕を見つめていて、その黒い瞳が「早く起きて」と言わんばかりに輝いていた。

「おはよう、みんな。」

僕がそう声をかけると、シャズナがゆっくりと伸びをし、「にゃん」と一声鳴く。リッキーは「ぴっ」と応じ、ルシファンも「ちっ！」と短く鳴いた。

朝の支度と準備

寝ぼけ眼をこすりながら台所へ向かうと、三匹が一斉に僕の後をついてくる。まるで僕の一挙手一投足を見逃すまいとするかのようだ。シャズナは流し台の近くに座り込み、リッキーはカウンターの上に飛び乗って、興味津々にこちらを見ている。ルシファンはテーブルの上に乗り、前足を揃えて待機していた。

今日は、しっかりとした朝食を作ることにした。冷蔵庫から取り出した卵とベーコン、そして昨日市場で買った新鮮な野菜を使って、オムレツを作る。フライパンにバターを溶かし、ジュワッと音を立ててベーコンを焼くと、部屋中に香ばしい香りが広がった。

シャズナが「にゃーん」と鳴いて香りを嗅ぎ、リッキーが「ぴぴっ！」と興奮気味に耳を動かす。ルシファンも「ち、ちっ！」と小さく鳴きながら、鼻をひくひくさせている。

「はいはい、もう少しでできるからな。」

僕は笑いながら、フライパンの中身を器用にひっくり返し、ふんわりとしたオムレツを仕上げた。焼きたてのトーストと一緒にテーブルに並べ、三匹のためにもそれぞれの好きなフードを用意する。

農場へ向かう準備

朝食を終えると、僕はいつもの作業着に着替え、ブーツを履いた。新しく買ったばかりのブーツは、まだ革の香りが残っていて、足にしっかりと馴染む感じが気持ちいい。

「さあ、今日は農場に行くぞ。」

その言葉を聞いた瞬間、三匹の目が一斉に輝いた。シャズナが先頭に立ち、リッキーとルシファンが後を追う形で玄関へ向かう。

魔力式トラックで出発

外に停めてある魔力式トラックのエンジンをかけると、青白い魔力の光がフロント部分に灯った。シャズナは助手席に飛び乗り、リッキーとルシファンは荷台に乗り込む。

「出発するぞ。」

トラックは軽やかに動き出し、田園風景の中を進んでいく。まだ朝の冷たい空気が残る中、遠くの山々が朝日を受けて黄金色に輝いていた。鳥たちがさえずり、風が草原を揺らす音が心地よいBGMとなる。

農場での作業開始

農場に到着すると、僕はまず冬野菜の畝をチェックした。雪解け水がしっかりと染み込み、土は柔らかくなっている。春野菜のための準備も始めなければならない。

シャズナは畝の間を歩き回り、時折「にゃん」と鳴いて僕に報告するように見上げる。リッキーは跳び跳ねながら雑草を見つけると、器用にかじって抜いてくれる。ルシファンは小さな体を活かして、細かい作業を手伝ってくれる。

「お前たち、いつもありがとうな。」

三匹に感謝を伝えながら、僕は鍬を手に取り、春野菜のための土を耕し始めた。朝の光が少しずつ強くなり、作業に集中していると、時間が経つのも忘れてしまう。

今日はきっと、素晴らしい一日になる。そんな予感を胸に抱きながら、僕は三匹とともに農作業を続けていった。