のほほん異世界暮らし

農場からの帰宅と夕飯の準備

午後の作業を終え、夕方になるころには三匹も疲れたのか、トラックの荷台に戻ると静かに座り込んだ。リッキーは丸くなり、シャズナは優雅に尻尾を巻き、ルシファンは僕の膝の上で「ちち！」と鳴きながらうとうとと船を漕いでいる。

農場からの帰路、道端の木々が赤みを帯びた夕陽を浴び、どこか神秘的な景色が広がっていた。窓を少し開けると、風がそっと頬を撫でる。三匹もその風を感じているのか、時折鼻をひくひくさせていた。

家に到着すると、三匹は急に元気を取り戻し、トラックを降りるや否や庭を駆け回る。
「ただいま！」と声をかけると、リッキーが「ぴっ！」と鼻を鳴らして答え、シャズナが静かに足元に寄り添う。そしてルシファンは再び僕の膝に飛び乗り、「ちち！」と得意げに鳴いた。

中に入ると、三匹のために水を用意し、僕は夕飯の支度を始めた。

キッチンで鍋を火にかけながら、今日収穫したばかりの野菜を次々に切り分けていく。キャベツ、人参、玉ねぎをたっぷり使ったスープがメインだ。横にはチーズをのせてこんがり焼いたパンも用意。

三匹の夕飯も特別だ。リッキーにはささみをほぐしたものを、シャズナには牛乳で煮込んだ魚を、そしてルシファンには小さな穀物を混ぜたチーズボールをそれぞれ用意した。

「さあ、みんな、いただきます。」
僕が声をかけると、三匹は自分の器に飛びついて食べ始めた。リッキーは勢いよくかき込むように食べ、シャズナは相変わらず優雅に一口ずつ、ルシファンは器用に前足でボールを転がしながら食べる。

その光景を眺めながら、自分のスープをひと口。畑から直送の野菜の甘みが口の中に広がり、心まで温かくなる。

夕飯を終え、少し休憩を挟んだ後はお風呂の時間だ。僕が浴室の準備をしていると、三匹はその様子を興味津々に見つめている。リッキーはお風呂が好きで、準備が整うと真っ先に浴室へ駆け込んでいく。

「リッキー、待て待て、まだだよ。」
そう声をかけると、リッキーはおとなしく座って待つ。シャズナは少し控えめで、僕が抱き上げて浴室へ運ぶと静かに湯船の縁に座る。ルシファンは浴室の入口で「ちち！」と不安そうに鳴くが、お湯を見せると意を決したように足をちょこんと入れる。

湯船に浸かると、一日の疲れが一気に解けていく。三匹もそれぞれ湯船の中でリラックス。リッキーは泡を楽しそうに鼻でつつき、シャズナは気品ある表情でじっとしている。ルシファンは僕の膝の上で「ちち！」と鳴きながら、気持ちよさそうに目を閉じていた。

「今日はたくさん頑張ったから、みんなご褒美だね。」
そう呟きながら、三匹を順番に撫でる。ふわふわとした毛並みが湯気の中でさらに柔らかくなり、心が温かくなる。

お風呂から上がり、三匹をタオルで優しく拭いてあげる。リッキーは少し暴れながらも乾かされるのを楽しんでいる様子で、シャズナはじっとしており、ルシファンは最後にタオルの中でくるまれて動かなくなってしまった。

部屋に戻ると、三匹はそれぞれのお気に入りの場所で丸くなる。リッキーは窓際、シャズナはソファ、ルシファンは僕の枕元。

「おやすみ、みんな。」
部屋の明かりを消すと、かすかな寝息が聞こえてくる。今日も穏やかで幸せな一日だった。明日もまた三匹と一緒に過ごすことを思うと、自然と微笑みがこぼれた。