のほほん異世界暮らし

朝食と市場への道

朝食の支度を終え、テーブルにパンとスープ、サラダを並べる。香ばしい香りが部屋に広がると、三匹は嬉しそうに鼻をひくつかせながら、自分たちの朝ごはんの前でお座りしていた。

「よし、いただきます」

僕の言葉を合図に、三匹は勢いよく食事を始めた。リッキーは相変わらず食べるのが早く、シャズナはゆっくりと味わいながら、ルシファンは慎重に一口ずつ食べている。僕もスープをすすりながら、今日の市場の準備について考えを巡らせた。

「今日は忙しくなりそうだな……」

市場へ持っていく野菜の梱包は昨夜のうちに済ませてあるし、魔力式トラックの点検も問題なし。あとは僕らが準備を整えればいいだけだ。

朝食を終えた後、僕はさっそく準備に取り掛かることにした。三匹もそれぞれの役割を察しているのか、リッキーは僕の横で足取りを揃え、シャズナは荷物の点検をするかのように周りを歩き回る。ルシファンは玄関の近くに座り、まるで出発の準備が整うのを待っているかのようだった。

「よし、行くぞ」

掛け声とともに、僕らは魔力式トラックへ向かった。三匹は嬉しそうに後ろのスペースに飛び乗り、それぞれの定位置につく。エンジンを入れると、静かに唸る音が響き、トラックはゆっくりと動き出した。

市場への道のりはいつもと変わらないけれど、今日は朝日がやけに眩しく、道端の草花も活き活きとして見えた。途中、小さな丘の上に桜の木が一本咲いているのを見つけると、僕は少しの間トラックを停めた。

「見てみろ、綺麗だな」

三匹も桜の木に興味津々で、リッキーは軽く鼻を鳴らしながら外を眺め、シャズナは風に乗る花びらをじっと見つめていた。ルシファンは静かに座り、目を細めながら桜の木を眺めていた。

「もう少ししたら満開になるかな」

そう呟きながら、僕は再びトラックを走らせ、市場へ向かう道を進んでいった。