のほほん異世界暮らし

みなと劉

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初夏の訪れと小旅行

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夏の気配が色濃くなり、日差しがじりじりと肌を焼くようになってきた。農場では朝早くから作業をして、昼間の暑い時間はなるべく避けるようにしている。それでも、汗は滲み、喉が渇く。

「ほら、冷たいの持ってきたぞ」

カイルが氷を浮かべた果実水を差し出してくれた。僕はありがたく受け取り、一口飲むと、ほのかな甘みと冷たさが身体に染み渡る。三匹もそれにあやかるように、冷えた果実を夢中で舐めている。

「はぁ……生き返る」

「だろ?」

カイルは得意げに笑い、僕の隣に腰を下ろした。三匹がじゃれつくのを見ながら、しばし静かに涼む。こういう時間があるから、暑い中でも頑張れるのかもしれない。

そんなある日、僕たちは市場の帰りに少し遠出をすることにした。

「たまにはどこか行ってみるのもいいだろう?」

カイルの提案で、三匹も連れての小旅行だ。目的地は、農場から少し離れた湖のほとり。木陰も多く、水辺の風が涼しい場所だと聞いていた。

「シャズナ、ルシファン、リッキー、準備はいいか?」

「にゃ!」

「チチッ!」

「ぷるる!」

それぞれ元気よく返事をする。三匹も、このお出かけを楽しみにしていたようだ。

道中、カイルと並んで歩きながら、ふと彼が僕の方を見て言った。

「お前さ、最近ちょっと柔らかくなったよな」

「え? なんの話?」

「最初はもっと距離をとってたっていうか、カタブツっぽかったけど、今はちゃんと俺たちのこと、家族だって思ってるだろ」

「……まあ、そうかもな」

正直、最初はどう接していいかわからなかった。でも、カイルや三匹と一緒に過ごすうちに、この関係が心地よくなっていた。

「最初から俺はお前のこと、そういう風に思ってたけどな」

「……なんだそれ」

「まあ、これからもよろしくなってこと」

カイルは軽く肩を叩いて、にっと笑う。僕は苦笑しつつも、その言葉を素直に受け取ることにした。

――そして、ようやく湖に到着する頃、三匹はすでに大はしゃぎしていた。楽しい一日になりそうだ。

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