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Re:Memories of summer
常夏の恋-Re:Memories of Summer-⑩
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『あぁー。水道屋さんってそういうことか、ごめんねおばあちゃん耳遠くてね……で、どうしたの?』
「いや、お前の服をだな?」
「あっ!ごめん忘れてた!」
「おい、忘れんな。……てか来るなら気をつけてこいよ」
「うん!じゃあ今から向かうね!」
肝心のことは忘れてしまっていた様子だが、服の話題を振ると直ぐに思い出し、今から向かうと電話越しで言い放ち一方的に電話を切られた。
これで取りに来るのは間違いないことだが、やはり外の天気が荒れており透也は心配になる。しかし心配しても和香羽に連絡はできず、ただ待つしかない。それまでの時間は少しでも無駄にしないよう、清宮に勉強を教えることにした。
数分後。
家の中に再びチャイムが鳴り響いた。
「はぁ……はぁ……」
「和香羽……お前」
「ごめんね……折角貸してもらった服もびしょ濡れになっちゃったよ……」
「いや、それはいいんだが何回濡れれば気が済むんだよ!?ほらさっさと風呂入れ!」
「ふぇ!?二、二度も!?」
急いでドアを開ければ、和香羽が立っていたが、またも全身びしょ濡れになっている。手には市販の安いビニール傘があったが、見るからに骨組みが折れ使い物になっていない。
ここに来るまで強風に煽られ、骨組みが折れたのは間違いないだろう。
しかしながら何度びしょ濡れになれば気が済むのかと、彼はため息と文句を言いつつ綺麗に畳んだワンピースを彼女に渡し再び風呂へ入れさせる。
「ま、またあの女を風呂に入れたんですか先輩!!」
「よく考えろ清宮。びしょ濡れで放ったらかしたら風邪ひくだろ」
「えぇ……そんなの屁理屈です……」
再び風呂へ入れたことに何故か清宮は不機嫌そうな顔を浮かべるが、彼は何故そんな顔を浮かべているのか不思議でしかない。否、彼女の乙女心など知るはずもない彼にとって、その表情は興味無いのだ。
「むう……まぁいいです。今日が生憎の雨だったから仕方ないことですし。それよりもわからない所出てきたのでまた教えてください!」
「あ、あぁ、良いけどお前本当に学習しねぇな」
「悪かったですね!」
その後清宮に勉強を教える。いつの間にか風呂から上がった和香羽も雨風が弱くなるまで彼の家に滞在し、三人で勉強することとなった。
ーー数日後、気づけば花火大会の日にさしあたっていた。
ここ数日間大雨に強風はたった一度きり。流石は常夏の季節だろう。それに花火大会のこの日は毎年変わらずとても暑い日となる。
そんな中ピンポンと昼間からあなたの家のチャイムが鳴らされる。
宅配などは頼んでもいないし来る宛もない。だからとてこんな日に家賃集金などは来るはずもない。ならば一体誰なのか。
気になった彼はドアの覗き窓を覗き込んだ。
するとそこには、やはり白いワンピースをきた望月和香羽が立っていた。が、何やらトイレでも我慢しているのかと疑いたくなるほど、もじもじしている。
「あ、透也」
「おう、トイレならすぐに貸すぞ」
「……え?」
「え?」
トイレを貸そうと気遣った透也だが、彼女は別にトイレに行きたくてもじもじしていたわけではない。その証拠に驚きの表情と同時にもじもじしてたのが綺麗さっぱり治まっていた。
「えっとトイレは……別にいいんだけどね?今日の約束忘れてないかなって……」
「あ」
直後彼の思考は“今まで忘れていた”事を何とか誤魔化す言い訳を考え始め、顔に焦りが見えた。もはや忘れていたことは隠せていない。
「え、忘れてたの……」
「いや、忘れてないぞ?うん、忘れてない。今思い出したから大丈夫だ」
「そ、それを忘れてるって言うんだよ!?もう最低!」
確かに、約束を“二度”も忘れるなど以ての外。最低と言われても仕方ないことではある。だが、最低と強く言い放った彼女は次の瞬間、盛大に笑い始めた。
「いや、お前の服をだな?」
「あっ!ごめん忘れてた!」
「おい、忘れんな。……てか来るなら気をつけてこいよ」
「うん!じゃあ今から向かうね!」
肝心のことは忘れてしまっていた様子だが、服の話題を振ると直ぐに思い出し、今から向かうと電話越しで言い放ち一方的に電話を切られた。
これで取りに来るのは間違いないことだが、やはり外の天気が荒れており透也は心配になる。しかし心配しても和香羽に連絡はできず、ただ待つしかない。それまでの時間は少しでも無駄にしないよう、清宮に勉強を教えることにした。
数分後。
家の中に再びチャイムが鳴り響いた。
「はぁ……はぁ……」
「和香羽……お前」
「ごめんね……折角貸してもらった服もびしょ濡れになっちゃったよ……」
「いや、それはいいんだが何回濡れれば気が済むんだよ!?ほらさっさと風呂入れ!」
「ふぇ!?二、二度も!?」
急いでドアを開ければ、和香羽が立っていたが、またも全身びしょ濡れになっている。手には市販の安いビニール傘があったが、見るからに骨組みが折れ使い物になっていない。
ここに来るまで強風に煽られ、骨組みが折れたのは間違いないだろう。
しかしながら何度びしょ濡れになれば気が済むのかと、彼はため息と文句を言いつつ綺麗に畳んだワンピースを彼女に渡し再び風呂へ入れさせる。
「ま、またあの女を風呂に入れたんですか先輩!!」
「よく考えろ清宮。びしょ濡れで放ったらかしたら風邪ひくだろ」
「えぇ……そんなの屁理屈です……」
再び風呂へ入れたことに何故か清宮は不機嫌そうな顔を浮かべるが、彼は何故そんな顔を浮かべているのか不思議でしかない。否、彼女の乙女心など知るはずもない彼にとって、その表情は興味無いのだ。
「むう……まぁいいです。今日が生憎の雨だったから仕方ないことですし。それよりもわからない所出てきたのでまた教えてください!」
「あ、あぁ、良いけどお前本当に学習しねぇな」
「悪かったですね!」
その後清宮に勉強を教える。いつの間にか風呂から上がった和香羽も雨風が弱くなるまで彼の家に滞在し、三人で勉強することとなった。
ーー数日後、気づけば花火大会の日にさしあたっていた。
ここ数日間大雨に強風はたった一度きり。流石は常夏の季節だろう。それに花火大会のこの日は毎年変わらずとても暑い日となる。
そんな中ピンポンと昼間からあなたの家のチャイムが鳴らされる。
宅配などは頼んでもいないし来る宛もない。だからとてこんな日に家賃集金などは来るはずもない。ならば一体誰なのか。
気になった彼はドアの覗き窓を覗き込んだ。
するとそこには、やはり白いワンピースをきた望月和香羽が立っていた。が、何やらトイレでも我慢しているのかと疑いたくなるほど、もじもじしている。
「あ、透也」
「おう、トイレならすぐに貸すぞ」
「……え?」
「え?」
トイレを貸そうと気遣った透也だが、彼女は別にトイレに行きたくてもじもじしていたわけではない。その証拠に驚きの表情と同時にもじもじしてたのが綺麗さっぱり治まっていた。
「えっとトイレは……別にいいんだけどね?今日の約束忘れてないかなって……」
「あ」
直後彼の思考は“今まで忘れていた”事を何とか誤魔化す言い訳を考え始め、顔に焦りが見えた。もはや忘れていたことは隠せていない。
「え、忘れてたの……」
「いや、忘れてないぞ?うん、忘れてない。今思い出したから大丈夫だ」
「そ、それを忘れてるって言うんだよ!?もう最低!」
確かに、約束を“二度”も忘れるなど以ての外。最低と言われても仕方ないことではある。だが、最低と強く言い放った彼女は次の瞬間、盛大に笑い始めた。
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