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Re:Memories of summer
常夏の恋-Re:Memories of Summer-⑫
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「……あと少しで花火始まるのに」
そんな清宮の声は透也に届くことはなかった。
ーーそれから間もなくして最初の花火が打ち上がる。幾千の星が浮かぶ夜空に、とても大きく華がいくつも咲き誇った。刹那、様々な花火が打ち上げられている音がその場にとどまらず、町に響き渡る。
だが彼は決して振り返り花火を見ることはない。ましてや後戻りすることも無い。
それだけ彼女を必死に、探し続けているのだから。
花火大会のため静まった街を探しても、彼女の実家へと寄ってみるも、やはり彼女の姿はない。
しかしそれでもなお、彼は探し続けた。
気づけば三部編成になってる花火大会は、後半へとさしあたる。聞きなれた花火の音だからこそ、会場にいなくとも、花火大会が休む間もなく終わりに近づいていることを悟る。
「くそっ……どこにいるんだ……」
今戻れば花火は見れる。
和香羽はただの幼馴染。探す必要など普通はない。そもそも先程のが本当に和香羽だという根拠がない。
そんな邪念が、疲れ切った脳を支配し始める。しかしその邪念が頭に過ぎる度、不思議と胸が締め付けられていた。
だからこそ、邪念を振り払い再び歩みを進める。しかし街中を隈無く探しても、彼女の姿は一向に見えない。
一体どこに行ったのか、息を切らしつつそう思っていると、
「……そういえば昔もこんなことあったな……」
彼はふと、昔の出来事を思い出した。
ーー私達が大人になったら結婚しよ?約束だよトーヤ。
ーーうん。約束!街一番の叶木に誓って約束!
それは時が経ち忘れてしまった大切な記憶。
それは和香羽に伝えなくてはならない想い。
それはーー
たった一シーンでしかないが、“約束”した日を思い出した透也は、ゆっくりと息を整えると、ただひたすらにある場所へと走り出した。
ーーーーーー
ーーーー
ーーもうすぐ花火が終わる。
いや、正確にはパン、パンパンっと鉄砲の銃声のようにも聞こえる締めの花火が三発打ち上げられた。
とうとう今年の花火大会が終わってしまったのだ。
だがそれと引き換えにあの場所ーーおおきな木がある、あの場所へとたどり着いた。
「はぁ……はぁ……」
花火の光は無くなり、暗闇の中頼りになる光はもはや月の光しかないが、淡く大地を照らす月明かりでもそこに望月和香葉がいるのは、確か。何せ会場で見た白い着物を着ているのだから、間違いはない。
しかし彼女は闇に溶け込むおおきな木を見上げており、彼が隣に並ぶまで気づくことはなかった。
「折角二人きりにしてあげたのに……馬鹿だな君は」
「嘘つきなんて言われて消えたら……探すだろ」
「ははっ……それもそうだね」
会話を交わしつつも和香羽の目は木の上。ただでさえも彼がこうして追いかけ、彼女の所にやってきた事に嬉しさを感じている。故に涙を流しそうになっているというのに、今彼を見てしまうと涙は滝のように溢れ出ると察しがついていたのだ。
だからこそ、見上げたまま、口を開く。
「私ね……言ってなかったことがあるんだ……いや、本当は怖くて言えなかった……それを言ったらきっと透也は凄く悲しい顔をするだろうから」
「言ってなかったこと?」
覚悟を決めたのか、見上げるのは止めて真っ直ぐ透也を見つめ始めた。
その時静かに流れる涙が、彼女の頬を伝い落ちていく瞬間を見て、一瞬心臓が高鳴る。いや、高鳴らずとも彼女に何か違和感を感じるのは確かだ。
今まで涙を見せたことの無い和香羽が、涙を流してるからこそ違和感や不安に駆られたのだ。
「私ね……」
そんな清宮の声は透也に届くことはなかった。
ーーそれから間もなくして最初の花火が打ち上がる。幾千の星が浮かぶ夜空に、とても大きく華がいくつも咲き誇った。刹那、様々な花火が打ち上げられている音がその場にとどまらず、町に響き渡る。
だが彼は決して振り返り花火を見ることはない。ましてや後戻りすることも無い。
それだけ彼女を必死に、探し続けているのだから。
花火大会のため静まった街を探しても、彼女の実家へと寄ってみるも、やはり彼女の姿はない。
しかしそれでもなお、彼は探し続けた。
気づけば三部編成になってる花火大会は、後半へとさしあたる。聞きなれた花火の音だからこそ、会場にいなくとも、花火大会が休む間もなく終わりに近づいていることを悟る。
「くそっ……どこにいるんだ……」
今戻れば花火は見れる。
和香羽はただの幼馴染。探す必要など普通はない。そもそも先程のが本当に和香羽だという根拠がない。
そんな邪念が、疲れ切った脳を支配し始める。しかしその邪念が頭に過ぎる度、不思議と胸が締め付けられていた。
だからこそ、邪念を振り払い再び歩みを進める。しかし街中を隈無く探しても、彼女の姿は一向に見えない。
一体どこに行ったのか、息を切らしつつそう思っていると、
「……そういえば昔もこんなことあったな……」
彼はふと、昔の出来事を思い出した。
ーー私達が大人になったら結婚しよ?約束だよトーヤ。
ーーうん。約束!街一番の叶木に誓って約束!
それは時が経ち忘れてしまった大切な記憶。
それは和香羽に伝えなくてはならない想い。
それはーー
たった一シーンでしかないが、“約束”した日を思い出した透也は、ゆっくりと息を整えると、ただひたすらにある場所へと走り出した。
ーーーーーー
ーーーー
ーーもうすぐ花火が終わる。
いや、正確にはパン、パンパンっと鉄砲の銃声のようにも聞こえる締めの花火が三発打ち上げられた。
とうとう今年の花火大会が終わってしまったのだ。
だがそれと引き換えにあの場所ーーおおきな木がある、あの場所へとたどり着いた。
「はぁ……はぁ……」
花火の光は無くなり、暗闇の中頼りになる光はもはや月の光しかないが、淡く大地を照らす月明かりでもそこに望月和香葉がいるのは、確か。何せ会場で見た白い着物を着ているのだから、間違いはない。
しかし彼女は闇に溶け込むおおきな木を見上げており、彼が隣に並ぶまで気づくことはなかった。
「折角二人きりにしてあげたのに……馬鹿だな君は」
「嘘つきなんて言われて消えたら……探すだろ」
「ははっ……それもそうだね」
会話を交わしつつも和香羽の目は木の上。ただでさえも彼がこうして追いかけ、彼女の所にやってきた事に嬉しさを感じている。故に涙を流しそうになっているというのに、今彼を見てしまうと涙は滝のように溢れ出ると察しがついていたのだ。
だからこそ、見上げたまま、口を開く。
「私ね……言ってなかったことがあるんだ……いや、本当は怖くて言えなかった……それを言ったらきっと透也は凄く悲しい顔をするだろうから」
「言ってなかったこと?」
覚悟を決めたのか、見上げるのは止めて真っ直ぐ透也を見つめ始めた。
その時静かに流れる涙が、彼女の頬を伝い落ちていく瞬間を見て、一瞬心臓が高鳴る。いや、高鳴らずとも彼女に何か違和感を感じるのは確かだ。
今まで涙を見せたことの無い和香羽が、涙を流してるからこそ違和感や不安に駆られたのだ。
「私ね……」
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