いきなり異世界転生!?~目覚めて始まる異世界生活~

夜色シアン

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二章・魔界ファーステリア編

魔城リンドヴルム

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 十四話

「確か城の名前は……なんでしたっけ?」

「なるほどな、“なんでしたっけ”っていう名前の城なのか。城の主はネーミングセンスってのはないんだな」

「違いますよ!?」

 それからというもの結局城の名前は思い出せず、城の名前のことを後にして歩くこと数十分。ようやく遠目に見えていた大きな城にたどり着きます。

 その城はレンガなどの素材が全て暗い赤や、塗装をしたのか黒など、暗色のため忌々しい雰囲気が感じ取れますが、それは素材や塗装のせい。実際は普通の城なのです。

「遠くから見えてたけど本当にデカイな」

「……でかい城……デカ城」

「そんな名前だったかなこの城?」

 見上げれるほどに大きな城を眺めているとそこに誰か近づいているのかザクザクっと土を踏んだ音が聞こえます。

 その音は複数聞こえるため一人では無いことは確かです。

「お早いお帰りで」

「戻ってくるの早かったな。それとこの城は魔城リンドヴルムだ」

 足音の主は乃亜が知っている人で、龍の姿をしたドラグニルことドラン、そしてガタイが良いスクルドでした。

 また、スクルドが覚えろと言わないばかりにこの城の名を乃亜に言っています。

「リンドヴルム……?そんな名前だっけ?」

「そうでございますよ。ところでそこのお二人は乃亜殿のお知り合いで?見たところ乃亜殿と同じ人の子の様ですが」

「んー……知り合いと言うより幼なじみと友達って関係だよ。この人は陸斗君、隣にいる女の子は鈴ちゃんだよ」

「左様でございますか、乃亜殿の幼なじみ、ご友人となればもてなしをしなくてはなりませんね。私目は賢者、魔王秘書を努めさせて頂いております、ドラグニル・エンヴァルティと申します。ドランとお呼びください。そしてこの大男はスクルド・ハウンド。情報屋でございます」

「ドランとスクルドか……って話がスムーズに進んでるところ悪いんだけどさ、なんで乃亜がここにいるのかとか俺らにわかるように説明してくれないか?」

「左様でございますね。では乃亜殿をここに連れてきた経路からおって説明致しましょう。しかしながらここではなんですから応接間に案内致しますのでそこで説明致しましょう」

 そう言うとゆっくりと、されども早めに歩き城内の応接間へと彼らを案内します。城の中はやはり薄暗め、しかし乃亜が来た時とは違い周りはしっかり見えるほどなのでさほど気にはしません。

 暫く案内に従い歩いていくと椅子や机しかないシンプルな応接間へとたどり着きます。

「さて本題に入りましょう。まず乃亜殿をここに連れてきた経路でございますが、乃亜殿がここファーステリアの魔王に相応しい能力の持ち主だと、私ドラグニル・エンヴァルティ……ドランが判断し、この大男スクルド・ハウンドが連れてきた次第でございます。そして御本人の受諾の元、乃亜殿は魔王となりイデロードの様子を見てきてもらったのです。最近あの王都から兵を派遣され攻め込まれたので」

「そうだったのか……てことはやっぱりこことあそこは敵対してるんだな……ってちょっと待て。スクルドは俺らがいた場所に行くことができるのか!?」

「何となくお前の考えてることわかるが、俺が連れてきた奴じゃないと元の世界に返すことはできない。それに返す場合だとーー」

「スクルド。それ以上は」

「あ、あぁそうだったな」

 何かを隠すかのようにスクルドの言葉を止める為ドランが短な言葉を放ちます。

 途中で止められた為かなり気になりますがそれ以上は何も言うことなく、話題を逸らすかのように話を続け始めました。

「……ちなみにでございますが、ここファーステリアと王都は敵対はしておりません。昔からのしきたりでファーステリアの者は人に対して害をなさないのです。ですがそのしきたりに反するものもでて今では魔界は二つに別れてしまったのです」

「二つか……」

 その刹那、先日の疲れと長めの説明を聞いたからか陸斗達は不意に欠伸をしてしまいます。

「眠そうでございますね」

「まぁ一日ずっと起きてたようなものだしな……」

「……昨日、色々あった」

「まぁ私も一日中起きてたんですけどね……」

「左様でございますか。……では城の各客室へ案内致しますのでもう少々我慢致してください」

 世の中一日二日起きていても平気な人もいますが、彼等は普通の人。一日中起きていれば絶対に睡魔が襲ってきますし、思考も低下してしまいます。

 ましてや陸斗と乃亜はこの世界にまだ馴染めていません。故に自身が思っている以上に疲れが体に溜まってしまっているのです。

 それにしても優しい上に丁寧な口調と対応をするドランは賢者兼秘書と言うより召使いの方がよっぽど似合っているような気がします。

「さてたどり着きましたよ。左から順番に使ってくださいませ」

 応接間を後にし歩くこと数分。客室が並んだ場所へとたどり着き、左から順番に使っていいとドランは言います。

 というのも、この城には多くの部屋が存在するもドランとスクルドしか居なく空き部屋が手に余るほど存在するのです。故に一人一人の部屋が割り当てられるのです。

「今日はお疲れでしょうから各部屋にておくつろぎ下さいませ。それと明日乃亜殿とそのご友人に会ってもらいたい方がいます。その方はーー」
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