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一章・追放編
攻撃魔法『火弾』
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八話
「ーーーーろ!おっきろー陸斗!このねぼすけさーん!」
「ふぁ!?」
突如耳元で大声で叫ばれ、彼は夢から覚醒し、起き上がる拍子でベッドから転がり落ちてしまいます。ふと窓を見ればもう日は上がっており、日差しと彼女のーーシェラの声で朝だと知らされることとなります。
「いてて……」
「まあ、ベッドの端で寝てたらそうなるよねぇ」
「起こすなら、身体揺らすなりして起こしてくれ……」
と、呆れ声で言いつつ立ち上がった瞬間、不意にも素っ頓狂な声を上げ倒れてしまいます。恐らく寝起き直後だからか足に上手く力が入らなかったのでしょう。
ただ床にぶつかったにも関わらず、不思議と陸斗にはダメージがありませんでした……いや、正確にはーー
「あっ……ちょ、陸斗?退けてくれないかな?」
正確には、彼女を下敷きにするようにして倒れたため、傷すら作らなかったのです。勿論彼女にも傷はありませんが、何故か顔がみるみるうちに赤く、まるで紅葉の椛を見ているかのように赤く染めあがっていきます。
余りにも近い顔で、恥じらいのような表情でそう言われ一瞬ドキッと心臓が跳ねた瞬間、ふと右手に何か違和感を感じ、恐る恐る目を手の方へ向けると彼女のマシュマロのように柔らかい部位ーーようするに胸部を幸か不幸か掴んでいました。
そこで離せば言いものの、何故か無意識にふにゅふにゅと彼女の胸を揉み、ようやく事態を把握して手を離しました。
「……はっ!ご、ごめん!!」
「ううう……誰にも触られたことないのに……最低ッ!」
そう強くシェラが陸斗を睨み言った放った瞬間でした。ガチャッという音と共に一人の人物。鈴が運悪くシェラ宅の彼らが居る部屋にやってきたのです。
「……さよなら」
「いやいや、待って!話を聞いて!?いや、聞いてください!?」
手は離したものの、未だにまるで押し倒したかのようにシェラの上にいるため、それを目撃した鈴はそっとそう言ってその場を離れようとします。
しかしそれは誤解。故に彼は即座に立ち上がり、その場から離れようとした鈴の手を掴み、少しばかり強引に部屋へと引きずり込みます。
「……話、聞く気、ない」
「いやせめても話を聞いてくれよ……てかこれは不可抗力だ!俺が倒れて下敷きになっただけだ!」
「……ほんと?」
陸斗が避けたことで、体制を整えちょこんと座るシェラは違うと伝えるように、ふるふると首を横に振ります。勿論彼の言うとおり不可抗力の出来事のため、彼女の行動は嘘に過ぎませんが、それによって鈴は不可抗力ではないと判断することになり、また話す気がなさそうにし始めます。
「……不可抗力じゃない、つまり、話す気、ない」
「え、ちょっ!?誤解だから!シェラも嘘はつくなよ!?」
「はぁ……まあ、うん、不可抗力なのはわかったけど、私は許してないの最低陸斗」
「確かにすまないとは思ってるけどーー」
「すまないと思ってるなら、許す条件一つ出すけど、その条件……呑んでくれるよね?」
「うっ……わかった」
実は彼女はこうなることを見込んで、わざと嘘をついていたのです。しかし、それは先の不可抗力あっての事……いや、不可抗力でなくても適当にこじつけて条件、つまりは依頼を受けさせる方向へと誘導させていたでしょう。
簡単な話、仕事手伝えってことのようです。
「……相棒、連帯責任、受ける」
「ご、ごめんな、でどんな条件なんだ?」
「私の依頼を受けること!で、依頼っていうのはバンファって魔物の翼を何枚かってところかな? 加工したら色々使えるし。あ、バンファは最近繁殖期だから凶暴化してるかもね?」
と依頼用らしき紙にさらっと依頼内容を書き、陸斗に手渡します。
そのついでなのか、その魔物が現れる場所を的確に教えてくれ、更にその紙にも書いていました。
「あ、その前に剣!陸斗が寝てる間に仕上げたから持って行って!」
「もうできたのか!?」
何の装備もせずに魔物退治に行こうとした陸斗を直ぐに引き止め、壁に立て掛けていた剣を渡します。
勿論その剣は見ればわかる程重そうで、かつ長い長剣。受け取れば直ぐにそのずしっとした重さが手に伝わり彼は一瞬驚きます。
なんたって先日使った店の長剣よりも重いのですから。
しかしそんなことでへばっていては魔物なんて到底倒せません。丁度、剣用のバックルも彼女からもらい受けたため腰に取り付けようやく彼は一歩踏み出します。
ーーそれからシェラの家から王都外に向かって数分歩くと緑豊かで周りの木々や草が風によって靡いている場所、すなわち草原にたどり着きます。
更に目的の魔物を見つけるべく歩き続けること数分後。先程は爽やかな草原だったのに少しばかり荒れた地にたどり着き、その遥か上空にはバサバサという音を立て何かが飛んでいました。
「なにあれ?」
「……あれがバンファ、鳥がカエルを、大量に食べて、あんな姿に進化したって、噂」
「なにそれ誰得!?てかなんでそんなこと知ってんだ!?」
「……適当に作った、生態、だけど」
「いや、信じまったじゃねぇか……」
とそんな話をしてると上空にいたそれは陸斗達に気づくと地上に降りてきます。
よく見れば上空にいた時よりも予想以上に大きく、また緑と黒、そして腹部に白の蛙柄。背中にはカラスを想像させるように漆黒で、されども小鳥のようにふわっとしたそんな翼も生えている中々に気持ちの悪い魔物でした。
「ゲコッ」
「鳴き声はカエルなのか」
「ゲコォー!!」
陸斗の言葉を聞いた途端なのか、はたまたテリトリーに入られたからなのかバンファ、怒りの声を上げ、緑の皮膚がうっすら赤色に変えました。
その刹那カエル独特の長い舌を吐き出したかと思うと、一瞬にして陸斗に絡ませ身動きを封じさせてしまいます。
その舌に絡まった唾液でねとねとと、ネバネバと、ぬるぬると、最早そんな表現で表現できないのではと思うほどに感触が気持ち悪く、そんな唾液が体全体に付着しました。更には生臭い匂いも付きかなり悲惨なことになってしまいます。
「ってキモイわ!」
どうにかこうにか抜け出せないかと藻掻きますが、どうやっても抜け出せる気配がありません。舌というのは筋肉で出来ているものですが、男一人の力を打ち消してしまうこの舌の力はどれだけの力があるのか考えただけでも恐ろしく感じます。
「くっそ!これどうやって抜け出すんだぁ!?」
陸斗が藻掻き続けていたその刹那、まとわりついていた長い舌が、その舌を伸ばしていたバンファが半透明の鋭い刃を持ったような何かで二つに裂かれ、その切り口からバンファの赤い鮮血が大量に溢れ出ました。
そのおかげか陸斗は無事にぬめぬめ地獄から脱出できましたが、付着した唾液と匂いからは勿論脱出できません。
「うぇぇ……ベトベトする……っていまのは攻撃魔法か?」
「……そう、魔法、切断……上の仕留める、下の倒して?」
「了解」
頷くと、シェラから受け取った剣を構え、降りてきたバンファに向け剣を一振り、また一振りと振り続け、舌に絡まれる前に仕留め続けます。
先程のことがあったのにも関わらず彼は冷静で、まるで手練かのように確実に仕留めるだけに専念します。しかしさすがは初心者、急所には全く当たらずバンファの返り血を浴びつつも何度も切り刻み仕留めていました。
「ゲココッ!」
しかしながらシェラが凶暴化しているから気をつけてと言っていましたが、どうも様子がおかしいようです。というのも、凶暴化していればこんなに簡単に倒せるわけはなく、ただ威嚇しただけだから……いや、それは“彼限定”の仕草でした。
「……油断」
上空で羽ばたき、滞空していたバンファを魔法で撃ち落としていた彼女でしたが、上にだけ集中していたからか、のしりと後ろから近づいてくる影に目もくれずあっさりと舌で絡められ捕まっていました。
すぐに彼女が脱出しようと詠唱すべく口を動かそうとしたその刹那、バンファはそれを察知したのかのように長い舌で口元を抑え、更には腕も使えないようにと何体ものバンファが群がり、長い舌を絡めます。
というふうに、バンファが凶暴化し危険だというのは女性に対してのことで、凶暴化しているとバンファは女性を襲う、という謎の生態を持っているのです。
「……ーー、ーーー」
彼女は「陸斗、助けてー」と言いたかったようですが完璧に口を塞がれ言葉が出ません。しかしそれが不思議と伝わったのか、彼は突然に振り返り捉えられている鈴を目撃してしまいます。
「てあ!ってあれ?鈴の攻撃が……って、え?」
どうやら振り返ったのは鈴の声が陸斗に聞こえたわけではなく、鈴の魔法を喰らい上から落ちてくるバンファがいなくなったため、どうしたのかと振り返ったのです。
「な、なな、何でそんなことになってんだ!?」
彼はすぐさま鈴に長い舌を絡ませてるバンファの舌をバッサリと切り捨て鈴を助けました……が何故か彼はそっぽを向き彼女のことを見ようとはしません。
「……助けてくれた、ありがとう」
「あ、あぁ……」
「……どうしたの?」
「いや、その、なんというか……目のやり場に困るというか……」
「……え?」
あちらこちらと服が溶けていて白い素肌が顔を出していたため、目を背けていたようですが、その原因はバンファの唾液の酵素。凶暴化している時にのみ分泌される酵素で、何故か女性の服だけを溶かしてしまうのです。
いや、正確には男性の服も溶けてしまいますが、バンファのオスにのみ、その酵素を作ることができるのです。
そしてその状況を把握してしまった彼女は一気に顔を赤く染め震えてました。
「……火弾」
「え、ちょ、鈴!?」
突如として彼女は唱え始め、至るところに火の魔法を撃ち始め、バンファ、そして陸斗に向かって飛んでいきます。辺りは燃えるものも少ないため被害はさほどありません。とはいえ当たれば確実に燃やし尽くされてしまうほどの高熱の火、彼は流石に必死に逃げることに。
「って鈴!?それ当たったら物理的に燃えるから、上手に焼けちゃうから!?」
「……知らない」
「えええええ!」
ーーその後しばらくして、鈴の魔力切れにより攻撃は止み、今の攻撃をくらい翼諸共燃えてしまったバンファ以外から依頼品の翼をようやく回収することができました。
「ーーーーろ!おっきろー陸斗!このねぼすけさーん!」
「ふぁ!?」
突如耳元で大声で叫ばれ、彼は夢から覚醒し、起き上がる拍子でベッドから転がり落ちてしまいます。ふと窓を見ればもう日は上がっており、日差しと彼女のーーシェラの声で朝だと知らされることとなります。
「いてて……」
「まあ、ベッドの端で寝てたらそうなるよねぇ」
「起こすなら、身体揺らすなりして起こしてくれ……」
と、呆れ声で言いつつ立ち上がった瞬間、不意にも素っ頓狂な声を上げ倒れてしまいます。恐らく寝起き直後だからか足に上手く力が入らなかったのでしょう。
ただ床にぶつかったにも関わらず、不思議と陸斗にはダメージがありませんでした……いや、正確にはーー
「あっ……ちょ、陸斗?退けてくれないかな?」
正確には、彼女を下敷きにするようにして倒れたため、傷すら作らなかったのです。勿論彼女にも傷はありませんが、何故か顔がみるみるうちに赤く、まるで紅葉の椛を見ているかのように赤く染めあがっていきます。
余りにも近い顔で、恥じらいのような表情でそう言われ一瞬ドキッと心臓が跳ねた瞬間、ふと右手に何か違和感を感じ、恐る恐る目を手の方へ向けると彼女のマシュマロのように柔らかい部位ーーようするに胸部を幸か不幸か掴んでいました。
そこで離せば言いものの、何故か無意識にふにゅふにゅと彼女の胸を揉み、ようやく事態を把握して手を離しました。
「……はっ!ご、ごめん!!」
「ううう……誰にも触られたことないのに……最低ッ!」
そう強くシェラが陸斗を睨み言った放った瞬間でした。ガチャッという音と共に一人の人物。鈴が運悪くシェラ宅の彼らが居る部屋にやってきたのです。
「……さよなら」
「いやいや、待って!話を聞いて!?いや、聞いてください!?」
手は離したものの、未だにまるで押し倒したかのようにシェラの上にいるため、それを目撃した鈴はそっとそう言ってその場を離れようとします。
しかしそれは誤解。故に彼は即座に立ち上がり、その場から離れようとした鈴の手を掴み、少しばかり強引に部屋へと引きずり込みます。
「……話、聞く気、ない」
「いやせめても話を聞いてくれよ……てかこれは不可抗力だ!俺が倒れて下敷きになっただけだ!」
「……ほんと?」
陸斗が避けたことで、体制を整えちょこんと座るシェラは違うと伝えるように、ふるふると首を横に振ります。勿論彼の言うとおり不可抗力の出来事のため、彼女の行動は嘘に過ぎませんが、それによって鈴は不可抗力ではないと判断することになり、また話す気がなさそうにし始めます。
「……不可抗力じゃない、つまり、話す気、ない」
「え、ちょっ!?誤解だから!シェラも嘘はつくなよ!?」
「はぁ……まあ、うん、不可抗力なのはわかったけど、私は許してないの最低陸斗」
「確かにすまないとは思ってるけどーー」
「すまないと思ってるなら、許す条件一つ出すけど、その条件……呑んでくれるよね?」
「うっ……わかった」
実は彼女はこうなることを見込んで、わざと嘘をついていたのです。しかし、それは先の不可抗力あっての事……いや、不可抗力でなくても適当にこじつけて条件、つまりは依頼を受けさせる方向へと誘導させていたでしょう。
簡単な話、仕事手伝えってことのようです。
「……相棒、連帯責任、受ける」
「ご、ごめんな、でどんな条件なんだ?」
「私の依頼を受けること!で、依頼っていうのはバンファって魔物の翼を何枚かってところかな? 加工したら色々使えるし。あ、バンファは最近繁殖期だから凶暴化してるかもね?」
と依頼用らしき紙にさらっと依頼内容を書き、陸斗に手渡します。
そのついでなのか、その魔物が現れる場所を的確に教えてくれ、更にその紙にも書いていました。
「あ、その前に剣!陸斗が寝てる間に仕上げたから持って行って!」
「もうできたのか!?」
何の装備もせずに魔物退治に行こうとした陸斗を直ぐに引き止め、壁に立て掛けていた剣を渡します。
勿論その剣は見ればわかる程重そうで、かつ長い長剣。受け取れば直ぐにそのずしっとした重さが手に伝わり彼は一瞬驚きます。
なんたって先日使った店の長剣よりも重いのですから。
しかしそんなことでへばっていては魔物なんて到底倒せません。丁度、剣用のバックルも彼女からもらい受けたため腰に取り付けようやく彼は一歩踏み出します。
ーーそれからシェラの家から王都外に向かって数分歩くと緑豊かで周りの木々や草が風によって靡いている場所、すなわち草原にたどり着きます。
更に目的の魔物を見つけるべく歩き続けること数分後。先程は爽やかな草原だったのに少しばかり荒れた地にたどり着き、その遥か上空にはバサバサという音を立て何かが飛んでいました。
「なにあれ?」
「……あれがバンファ、鳥がカエルを、大量に食べて、あんな姿に進化したって、噂」
「なにそれ誰得!?てかなんでそんなこと知ってんだ!?」
「……適当に作った、生態、だけど」
「いや、信じまったじゃねぇか……」
とそんな話をしてると上空にいたそれは陸斗達に気づくと地上に降りてきます。
よく見れば上空にいた時よりも予想以上に大きく、また緑と黒、そして腹部に白の蛙柄。背中にはカラスを想像させるように漆黒で、されども小鳥のようにふわっとしたそんな翼も生えている中々に気持ちの悪い魔物でした。
「ゲコッ」
「鳴き声はカエルなのか」
「ゲコォー!!」
陸斗の言葉を聞いた途端なのか、はたまたテリトリーに入られたからなのかバンファ、怒りの声を上げ、緑の皮膚がうっすら赤色に変えました。
その刹那カエル独特の長い舌を吐き出したかと思うと、一瞬にして陸斗に絡ませ身動きを封じさせてしまいます。
その舌に絡まった唾液でねとねとと、ネバネバと、ぬるぬると、最早そんな表現で表現できないのではと思うほどに感触が気持ち悪く、そんな唾液が体全体に付着しました。更には生臭い匂いも付きかなり悲惨なことになってしまいます。
「ってキモイわ!」
どうにかこうにか抜け出せないかと藻掻きますが、どうやっても抜け出せる気配がありません。舌というのは筋肉で出来ているものですが、男一人の力を打ち消してしまうこの舌の力はどれだけの力があるのか考えただけでも恐ろしく感じます。
「くっそ!これどうやって抜け出すんだぁ!?」
陸斗が藻掻き続けていたその刹那、まとわりついていた長い舌が、その舌を伸ばしていたバンファが半透明の鋭い刃を持ったような何かで二つに裂かれ、その切り口からバンファの赤い鮮血が大量に溢れ出ました。
そのおかげか陸斗は無事にぬめぬめ地獄から脱出できましたが、付着した唾液と匂いからは勿論脱出できません。
「うぇぇ……ベトベトする……っていまのは攻撃魔法か?」
「……そう、魔法、切断……上の仕留める、下の倒して?」
「了解」
頷くと、シェラから受け取った剣を構え、降りてきたバンファに向け剣を一振り、また一振りと振り続け、舌に絡まれる前に仕留め続けます。
先程のことがあったのにも関わらず彼は冷静で、まるで手練かのように確実に仕留めるだけに専念します。しかしさすがは初心者、急所には全く当たらずバンファの返り血を浴びつつも何度も切り刻み仕留めていました。
「ゲココッ!」
しかしながらシェラが凶暴化しているから気をつけてと言っていましたが、どうも様子がおかしいようです。というのも、凶暴化していればこんなに簡単に倒せるわけはなく、ただ威嚇しただけだから……いや、それは“彼限定”の仕草でした。
「……油断」
上空で羽ばたき、滞空していたバンファを魔法で撃ち落としていた彼女でしたが、上にだけ集中していたからか、のしりと後ろから近づいてくる影に目もくれずあっさりと舌で絡められ捕まっていました。
すぐに彼女が脱出しようと詠唱すべく口を動かそうとしたその刹那、バンファはそれを察知したのかのように長い舌で口元を抑え、更には腕も使えないようにと何体ものバンファが群がり、長い舌を絡めます。
というふうに、バンファが凶暴化し危険だというのは女性に対してのことで、凶暴化しているとバンファは女性を襲う、という謎の生態を持っているのです。
「……ーー、ーーー」
彼女は「陸斗、助けてー」と言いたかったようですが完璧に口を塞がれ言葉が出ません。しかしそれが不思議と伝わったのか、彼は突然に振り返り捉えられている鈴を目撃してしまいます。
「てあ!ってあれ?鈴の攻撃が……って、え?」
どうやら振り返ったのは鈴の声が陸斗に聞こえたわけではなく、鈴の魔法を喰らい上から落ちてくるバンファがいなくなったため、どうしたのかと振り返ったのです。
「な、なな、何でそんなことになってんだ!?」
彼はすぐさま鈴に長い舌を絡ませてるバンファの舌をバッサリと切り捨て鈴を助けました……が何故か彼はそっぽを向き彼女のことを見ようとはしません。
「……助けてくれた、ありがとう」
「あ、あぁ……」
「……どうしたの?」
「いや、その、なんというか……目のやり場に困るというか……」
「……え?」
あちらこちらと服が溶けていて白い素肌が顔を出していたため、目を背けていたようですが、その原因はバンファの唾液の酵素。凶暴化している時にのみ分泌される酵素で、何故か女性の服だけを溶かしてしまうのです。
いや、正確には男性の服も溶けてしまいますが、バンファのオスにのみ、その酵素を作ることができるのです。
そしてその状況を把握してしまった彼女は一気に顔を赤く染め震えてました。
「……火弾」
「え、ちょ、鈴!?」
突如として彼女は唱え始め、至るところに火の魔法を撃ち始め、バンファ、そして陸斗に向かって飛んでいきます。辺りは燃えるものも少ないため被害はさほどありません。とはいえ当たれば確実に燃やし尽くされてしまうほどの高熱の火、彼は流石に必死に逃げることに。
「って鈴!?それ当たったら物理的に燃えるから、上手に焼けちゃうから!?」
「……知らない」
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