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ⅴ,霊とか雷とか
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これでよかったのか―よくなかったのか。
メリアがいるということはこの町について右も左もわからない俺にとってはとても大きなプラスになるだろう。
しかし、道がわかるという反面、本来自分に課せられていた任務がバレる、つまり彼女を殺さなくてはならなくなる可能性が高まるということになるのだ。
しかも俺からはどこにいるか見えないが、一応監視役がいるのだ。
本当に連れてきてよかったのか、考えさせられる。
しかし、背に腹は代えられない。というよりかはもう過去(発言)を変えることはできない。
これで何かあったらその時に考えよう。
翌朝、まだ日は出ていない。
霧が濃く、寒さが肌を刺激する。
動いてなければ凍え死んでしまうのではないだろうか。
俺はメリアが持ってきた(というよりは盗ってきた)少しばかりの調理器具やテントを持ち、メリアは地図を持ち、少しの時間世話になったどこかの誰かさんの家を出発した。
しばらくして日が出てきた。
この日、初めて俺は壁以外から出てきた日を見た。
海というものはたぶんまだ見れていない。ただ、「壁」ではなく「山」から出てきた日は感動とは無縁の俺の瞳から少しの雫をこぼしたのだった。
その日の昼、メリアの作るサンドウィッチを口にしながらも俺の心は今朝の日の出に奪われていた。
メリアは「不思議な人」と笑っていたが、仕方ないだろう。見たことないのだから。まあ、それを知られてはいけないのだけれども。
昼を終え、片づけをしている時だった。
メリアの手伝いをしていてザックに荷物を入れていると、ふとザックの中にあった銀色のペンダントに目が行った。
(なんだろう)
そのペンダントを取りふたを開けてみるとそこには幼少期のメリアだろう。かわいらしい少女が父親と思われる男性に抱きかかえられている写真が入っていた。
「...」
本当に彼女を連れてきてしまってよかったのだろうか。
家族のもとへ帰れと無理やりにでも彼女を返すべきだったのではないだろうか。
一度は吹っ切れた気持ちがまた湧いてきて、昼飯を食べてできた満足感がどこか遠くへ行ってしまった。
空気が重くなってきた。
何か出るのだろうか。霊的な何かなのだろうか。本当勘弁してほしい。
そんなことを考えると今歩いているこの森がどんどん不気味なものに見えてきた。
あの木々の間とか...あああもうやめてくれ勘弁してくれ。
「な、なぁメリァ―」
ピカッッッ!!!
空が一瞬青白く光り、間髪入れずにものすごい音が耳を刺激した。
おお、雷だったのか。
びっくりはしたけれどもよかった。霊的なものでなくて。
「今の雷すごかったなメリア。大丈夫かー...ん?」
そこには普段の姿からは想像もできない縮こまって頭を抱えているメリアがいた。
「お、おーいメリアさん?大丈夫ですか?」
「か、雷だけわぁ」
こんだけ強い彼女にも弱点というものが存在するのか。
当たり前ではあったのだろうけどその事実に衝撃を受けた。
そして、それと同時に頭に小悪魔が現れる。
おびえて縮こまっている彼女の後ろから...
「わ!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」
やりすぎてしまっただろうか。
「わ、悪かった。そこまで驚くとは...」
「...」
「メ、メリアさん...?」
振り向いた彼女の顔は普段の彼女から連想できるものではなかった。
きっと俺は彼女の逆鱗に触れたのだろう。
明日の朝生きてるかな...俺。
自分の身が不安に思えてきた。
そして、それと同時に
「俺、なんか柔らかくなった?」
とも思えた。
これも彼女の力なのだろうか。
彼女はすごい人なんだと感心する俺であったが、まだその中に別の感情が芽生えていることに気づかないのであった。
メリアがいるということはこの町について右も左もわからない俺にとってはとても大きなプラスになるだろう。
しかし、道がわかるという反面、本来自分に課せられていた任務がバレる、つまり彼女を殺さなくてはならなくなる可能性が高まるということになるのだ。
しかも俺からはどこにいるか見えないが、一応監視役がいるのだ。
本当に連れてきてよかったのか、考えさせられる。
しかし、背に腹は代えられない。というよりかはもう過去(発言)を変えることはできない。
これで何かあったらその時に考えよう。
翌朝、まだ日は出ていない。
霧が濃く、寒さが肌を刺激する。
動いてなければ凍え死んでしまうのではないだろうか。
俺はメリアが持ってきた(というよりは盗ってきた)少しばかりの調理器具やテントを持ち、メリアは地図を持ち、少しの時間世話になったどこかの誰かさんの家を出発した。
しばらくして日が出てきた。
この日、初めて俺は壁以外から出てきた日を見た。
海というものはたぶんまだ見れていない。ただ、「壁」ではなく「山」から出てきた日は感動とは無縁の俺の瞳から少しの雫をこぼしたのだった。
その日の昼、メリアの作るサンドウィッチを口にしながらも俺の心は今朝の日の出に奪われていた。
メリアは「不思議な人」と笑っていたが、仕方ないだろう。見たことないのだから。まあ、それを知られてはいけないのだけれども。
昼を終え、片づけをしている時だった。
メリアの手伝いをしていてザックに荷物を入れていると、ふとザックの中にあった銀色のペンダントに目が行った。
(なんだろう)
そのペンダントを取りふたを開けてみるとそこには幼少期のメリアだろう。かわいらしい少女が父親と思われる男性に抱きかかえられている写真が入っていた。
「...」
本当に彼女を連れてきてしまってよかったのだろうか。
家族のもとへ帰れと無理やりにでも彼女を返すべきだったのではないだろうか。
一度は吹っ切れた気持ちがまた湧いてきて、昼飯を食べてできた満足感がどこか遠くへ行ってしまった。
空気が重くなってきた。
何か出るのだろうか。霊的な何かなのだろうか。本当勘弁してほしい。
そんなことを考えると今歩いているこの森がどんどん不気味なものに見えてきた。
あの木々の間とか...あああもうやめてくれ勘弁してくれ。
「な、なぁメリァ―」
ピカッッッ!!!
空が一瞬青白く光り、間髪入れずにものすごい音が耳を刺激した。
おお、雷だったのか。
びっくりはしたけれどもよかった。霊的なものでなくて。
「今の雷すごかったなメリア。大丈夫かー...ん?」
そこには普段の姿からは想像もできない縮こまって頭を抱えているメリアがいた。
「お、おーいメリアさん?大丈夫ですか?」
「か、雷だけわぁ」
こんだけ強い彼女にも弱点というものが存在するのか。
当たり前ではあったのだろうけどその事実に衝撃を受けた。
そして、それと同時に頭に小悪魔が現れる。
おびえて縮こまっている彼女の後ろから...
「わ!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」
やりすぎてしまっただろうか。
「わ、悪かった。そこまで驚くとは...」
「...」
「メ、メリアさん...?」
振り向いた彼女の顔は普段の彼女から連想できるものではなかった。
きっと俺は彼女の逆鱗に触れたのだろう。
明日の朝生きてるかな...俺。
自分の身が不安に思えてきた。
そして、それと同時に
「俺、なんか柔らかくなった?」
とも思えた。
これも彼女の力なのだろうか。
彼女はすごい人なんだと感心する俺であったが、まだその中に別の感情が芽生えていることに気づかないのであった。
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