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奥様と私
しおりを挟む学園入学が決まった坊ちゃん。
とりあえずは時期が中途半端な為、長期休み明けに編入することが決まった。
それまでは一般教育と、魔物討伐へついて行かせることでガス抜きさせるということで御館様との話はついている。
魔法があるので魔物も当たり前に出る。
この世界では魔力が留まって悪さする吹き溜まりがあり、そこは動物を変貌させて凶暴化させる魔力スポットなる場所や、魔力が溜まり過ぎた摩訶不思議なダンジョンもある。
私も昔はダンジョンに潜りたかったんだけど、年齢が満たないので却下されまくり、1度も潜ったことはない。
ダンジョンは14歳から。私が侯爵家に来たのは10歳。細々と依頼をこなしていた時に比べたら大金持ち並の生活になって大変満足している。
主人公の家じゃなければもっと将来安泰だったんだけど。それは仕方ない。
「レナ。集中して頂戴」
「申し訳ございません、奥様」
しまった、カトリーヌ様の前だというのについつい将来について思い悩んでしまった。
今は刺繍の時間。
こうちまちました作業は頭がぼんやりしてしまう。
「ぼーっとしてたと思ったら、手先は器用なのよねぇ。それはカサブランカかしら?」
私の手元にはもうじき完成する大輪の花の画が。
嫌いじゃないけど、昔から体を動かした方が好きなんだよねぇ。
「さようでござます。これは奥様へ。獅子の画は御館様へ。桜の画はエイル様。チューリップは坊ちゃんへお渡しする予定です」
「いつの間にそんなに……貴女はてっきり売りに出すかと思ったわ。それぐらい上手だもの」
「お褒め頂きありがとうございます。しかし奥様。いくらなんでもご用意下さったハンカチと刺繍糸で私服を肥やすつもりはございません」
それより坊ちゃんが何かしらやらかした時の方がお小遣いが増えて最良ですし。
「変なところで律儀なのよねぇ」
「恐れ入ります」
「うーん」
納得いってない感じもお美しいです。
侯爵家に入って早5年。お茶に刺繍、ダンスにお花。習えるものは全て吸収したので、刺繍の腕だって上がるもの。
「テオンが学園に行く前に、エイルの誕生パーティーを成功させないとね。貴女もパーティーの手順など覚えて欲しいから、今回は手伝って頂戴」
「かしこまりました」
「それで、うちのエイルと婚約して婚約発表なんて……」
「奥様。それは恐れ多いことでございます」
「年頃といい、丁度良いと思うんだけど」
いやいや、しがない侍女を侯爵家の嫁にしようとしないで下さい!もっと政治的に有力な姫君を嫁に貰う方が良いに決まってるでしょう??大らか過ぎて心配だわ……
「じゃあテオンと……」
「謹んで辞退致します」
主人公ハーレムに埋もれる人生などごめん被る。
ハーレムにならないよう目を光らせてはいるけど、どこまで防げるか……
「いつでも立候補してくれていいからね?」
「そのような時は来ないかと思いますが、そうしたらよろしくお願いしいたします」
微笑むカトリーヌ様。
何か含みがあるようなないような。まあ、いつも通りの会話だから、一種のお決まりなおふざけでしょうけど。
「無事成功すると良いんですけど……」
「あら、大丈夫よ。エイルの誕生日は比較的落ち着いてる季節だもの」
果たしてそうでしょうか?
今から心配ですよ、私めは。
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