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狼と私(どうしてこうなった)
しおりを挟むフェンリルから契約を打診された私。
「謹んでお断り致します」
『ほう?こんな機会滅多にないというに』
「トラブル…もとい、人間同士の争いの種になりかねます」
ただでさえ子フェンリルを飼うというのに、そんなのは坊ちゃんに任せたら良いと思う。
『ふん。我が子の一大事に動けるよう、側にいる者と契約しておくと楽なんだが』
「人をなんだと思ってます?」
『そもそも、娘。お前はどうも受難の相が出ているのだ、我と契約すると後々楽だぞ?』
受難の相は坊ちゃんから離れれば、解消される気がする。
それに、契約したことで今後魔王が現れるとか、変な教団に追われるとか……
『若いのに心配症な…』
頭の中を読まないで下さい。
うーん、契約して坊ちゃんと世界を救う旅に出ないといけないとかだとちょっと……面倒って言うか……
『ここはな』
「はい?」
突然何?
『我が世界を行き来する為に利用する亜空間なんだがな』
へえ、亜空間。でも世界って?
『今は新月が近いせいで黒の森に入り口を作ったのだが、本来なら落ち着いた場所であればどこでも入り口を作ることが可能でな』
「どこでも」
『ここに一旦入って出れば移動時間なく様々な場所へ行けるという、とても便利な』
「します!契約!」
『……現金な娘よ』
「そんなこと仰らずに!是非!私そこそこ強いので亜空間移動以外はお手間を取らせません!」
制限はありそうだけど、これって殆ど瞬間移動じゃない?便利過ぎる。
『新月には思った場所に開けんし、何より人前で披露出来ないがそれでも良いのか?』
「そんなぽんぽん使おうなんて思いません。いざという時に逃げ込める場所があるって大事ですよ」
『そうか。使う時はこの魔石に願え。魔力が安定していれば、入り口が現れるだろう。これの代価はたまに我が子を連れてくることだ』
突然目の前に透明な結晶が現れた。儚く輝くそれを私はしっかりと両手で受け止る。まるで透明な水晶のよう。……フェンリルの額に付いてるものと同じものだろうか?
『受難の娘、レナリア。ここで契約を結ぼう。我の名は※※※※』
待って、言語化出来ない?それになんで私の名前を、それは捨てた名前で、私はレナよ!
『我が子を頼んだぞ……』
ちょっと、話を
「レナ!!」
一瞬目の前がぼやけて、気づいたのは声をかけられてからだった。
「……エイル様?」
あれ?私はどうしたんだったか。
フェンリルと話していた筈なのに……あっ!
「坊ちゃんは?!」
上半身を起こそうとして驚いた。エイル様に抱き抱えられてる?!
「テオンは寝ているよ。……もう、本当に1人で無茶はやめてくれ。どれだけ心配したか」
申し訳ございません!とりあえず下ろして下さい、気まずさで死にます!!
「申し訳ございません…何とかなると思いました」
「確かに何とかなったけど、君はもう少し思慮深いと思っていたのに」
「恐縮です」
「褒めてない。叱ってるんだ」
「申し訳ございません…」
いやほんと何とかなったからびっくりですよね。しかも瞬間移動ゲット出来たし。
肝心の坊ちゃんは呑気に子フェンリルと寝ているし、羨ましいったら。
起きたら説教なんだから!
「テオンが起きたら2人とも説教だからね」
「え?!万事解決したのに?!」
「いやいや、結局あの犬?狼も一緒だし、レナの危なっかしい行動も目に余るし?」
ああああ、エイル様の笑顔に凄みが……これ以上減給はしないで下さいね?!
~~~~~~~
『やれやれ、まだ理性がある内で良かったわ。新月まで我が子が戻らなかったら、気が狂うて我が子の周りの者は殺しかねなかったしな』
『……何とも不思議な縁よ』
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