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3.告白の理由
「そういえばさー、昨日の紅白戦で負けたヤツの罰ゲーム何にする?」
突然聞こえてきた賑やかな話し声。
それはおそらくこの特別棟の裏側にある部室棟の辺りから聞こえてきたものだろう。
この踊り場にある窓を開けていると、たまに外で話している声が聞こえてくることもある。
普段なら知らない人間がしている会話なんて大して気にもとめないが、この日ばかりは聞き流すことが出来なかった。
「負けたチームにいたの誰だっけ? 岡野と昴流?」
「この二人だったらやっぱ告白一択でしょ。今、昴流彼女いなかったよな?」
「……夏休みに別れた」
「ちょっと待て。俺はともかく昴流には罰にならないだろ。いっつもオッケーもらってるし。むしろ女子は大喜びだろ。っていうかターゲット誰よ? 余程の相手じゃなきゃ罰ゲームにはなんねぇだろ?」
「岡野はいっつもフラれてばっかだもんなー。大体お前無理なとこ狙い過ぎなんだよ」
「お前らがワンチャンあるかもってけしかけるから!」
「まあ、無理めなとこいかないと罰ゲームにはならないからな。それか別の意味で無理めなトコ」
「それなー」
「よし! じゃあ昴流は今回そっちのほういってみよう!」
「マジか……。まあべつにいいけど。基本女子なら誰とでもヤれる自信あるし」
「さっすがヤリチン。レベルが違う」
「ギャハハ、ホントに最低!」
この時点で既に俺はドン引きだった。
罰ゲームで告白するバカが本当にいるなんて思ってもいなかったし、更に自分の下半身が節操ないことを堂々と自慢している恥知らずがいるとは思わなかった。
この会話を聞くに、あそこにいる人数は四人。そのうちのひとりである恥知らずは、同じクラスの高崎昴流で間違いないようだ。
あー、やなもん聞いた。
アイツらが何しようと俺の知ったところではないが、偶然とはいえそういう話を耳にするのも不愉快だ。
元々最低だった気分が、そこはかとなく最悪になった感じ。
今日はさっさとここを引き上げたほうが俺の精神衛生上良さそうだ、なんて思っていると。
「やっぱり昴流は女子相手じゃ罰ゲームになんないなー。よし、オマエ新しい扉開いてみろよ」
「は? 何言っちゃってんの?」
「あ、それいいかも! 男に告白。ちゃんとした罰ゲームっぽい! 相手誰にする?」
「大抵のヤツならすぐに罰ゲームだって気付いて面白くなさそうだから、そこそこガチめな反応しそうなヤツがいいよなー」
「ちょっと待て。勝手に決めんな」
「いいじゃん、いいじゃん。いっとけー。新しい扉開いとけー」
「あ、アイツとかどう? ほら、同じクラスの高嶋」
──は?
「誰、それ?」
「マジで言ってんの!? 名簿オマエのすぐ後ろじゃん! しかも日直一緒じゃなかったっけ?」
「前だったらわかるけど、後ろは見てなかったからなー。俺、日直だったことあったっけ?」
……は?
「うわー。それはさすがに無いわー。いくらいっつも高嶋が存在感薄めのボッチだからってあんまりじゃね?」
「え? 友達いねぇの? よし! じゃあそいつでいってみよう!」
は!?
「はい、決定!」
「でもさー、案外昴流だったらオッケーもらえたりして」
絶対ェねぇよ。
「だよなー。たとえその場で断られたって押せばいけそう」
「いっちゃう? いってみちゃう?」
「昴流が1ヶ月以内に高嶋を口説き落とせるか?」
「いいねー。何賭ける?」
「焼き肉食べ放題!」
「よし、決まり。じゃあ昴流の罰ゲームはそれってことで」
「……それガチなやつじゃん」
「でもうまくいけば焼き肉ゲット!」
「無理だろ。お互いに」
「昴流はともかくあっちは悪い気しないんじゃね? 昴流みたいな有名人に構ってもらえるわけだし」
「ついでに一生そういう事に縁のなさそうなボッチ君に、手取り足取りヤリチンのテク実践してやったら?」
「それ絶対惚れるパターンじゃん」
当事者である俺に聞かれているなど露ほどにも思っていない連中の低レベルな会話は続いていく。
俺はもう聞くに耐えられず、静かにこの場を去ることにした。
偶然知ってしまった罰ゲームという名の残酷な『告白ごっこ』。
アイツらにしてみたら単なる暇潰し程度の余興でしかない。
でも今回勝手に選ばれてしまったターゲットは俺。
正直、それまで感じていたイラつきが一気に吹き飛ぶほど腹が立った。
だったら俺が取る行動は、アイツらの裏をかいてやった挙げ句に、すぐにこの不愉快極まりないゲームを終わらせること。
俺がアイツのこと好きになればゲームオーバーなんだよな?
ってことは、アイツが俺に告白する前に俺が先に告白すれば済む話なんじゃね?
冷静さに欠けた俺は そんな風に考えてしまったのだった。
突然聞こえてきた賑やかな話し声。
それはおそらくこの特別棟の裏側にある部室棟の辺りから聞こえてきたものだろう。
この踊り場にある窓を開けていると、たまに外で話している声が聞こえてくることもある。
普段なら知らない人間がしている会話なんて大して気にもとめないが、この日ばかりは聞き流すことが出来なかった。
「負けたチームにいたの誰だっけ? 岡野と昴流?」
「この二人だったらやっぱ告白一択でしょ。今、昴流彼女いなかったよな?」
「……夏休みに別れた」
「ちょっと待て。俺はともかく昴流には罰にならないだろ。いっつもオッケーもらってるし。むしろ女子は大喜びだろ。っていうかターゲット誰よ? 余程の相手じゃなきゃ罰ゲームにはなんねぇだろ?」
「岡野はいっつもフラれてばっかだもんなー。大体お前無理なとこ狙い過ぎなんだよ」
「お前らがワンチャンあるかもってけしかけるから!」
「まあ、無理めなとこいかないと罰ゲームにはならないからな。それか別の意味で無理めなトコ」
「それなー」
「よし! じゃあ昴流は今回そっちのほういってみよう!」
「マジか……。まあべつにいいけど。基本女子なら誰とでもヤれる自信あるし」
「さっすがヤリチン。レベルが違う」
「ギャハハ、ホントに最低!」
この時点で既に俺はドン引きだった。
罰ゲームで告白するバカが本当にいるなんて思ってもいなかったし、更に自分の下半身が節操ないことを堂々と自慢している恥知らずがいるとは思わなかった。
この会話を聞くに、あそこにいる人数は四人。そのうちのひとりである恥知らずは、同じクラスの高崎昴流で間違いないようだ。
あー、やなもん聞いた。
アイツらが何しようと俺の知ったところではないが、偶然とはいえそういう話を耳にするのも不愉快だ。
元々最低だった気分が、そこはかとなく最悪になった感じ。
今日はさっさとここを引き上げたほうが俺の精神衛生上良さそうだ、なんて思っていると。
「やっぱり昴流は女子相手じゃ罰ゲームになんないなー。よし、オマエ新しい扉開いてみろよ」
「は? 何言っちゃってんの?」
「あ、それいいかも! 男に告白。ちゃんとした罰ゲームっぽい! 相手誰にする?」
「大抵のヤツならすぐに罰ゲームだって気付いて面白くなさそうだから、そこそこガチめな反応しそうなヤツがいいよなー」
「ちょっと待て。勝手に決めんな」
「いいじゃん、いいじゃん。いっとけー。新しい扉開いとけー」
「あ、アイツとかどう? ほら、同じクラスの高嶋」
──は?
「誰、それ?」
「マジで言ってんの!? 名簿オマエのすぐ後ろじゃん! しかも日直一緒じゃなかったっけ?」
「前だったらわかるけど、後ろは見てなかったからなー。俺、日直だったことあったっけ?」
……は?
「うわー。それはさすがに無いわー。いくらいっつも高嶋が存在感薄めのボッチだからってあんまりじゃね?」
「え? 友達いねぇの? よし! じゃあそいつでいってみよう!」
は!?
「はい、決定!」
「でもさー、案外昴流だったらオッケーもらえたりして」
絶対ェねぇよ。
「だよなー。たとえその場で断られたって押せばいけそう」
「いっちゃう? いってみちゃう?」
「昴流が1ヶ月以内に高嶋を口説き落とせるか?」
「いいねー。何賭ける?」
「焼き肉食べ放題!」
「よし、決まり。じゃあ昴流の罰ゲームはそれってことで」
「……それガチなやつじゃん」
「でもうまくいけば焼き肉ゲット!」
「無理だろ。お互いに」
「昴流はともかくあっちは悪い気しないんじゃね? 昴流みたいな有名人に構ってもらえるわけだし」
「ついでに一生そういう事に縁のなさそうなボッチ君に、手取り足取りヤリチンのテク実践してやったら?」
「それ絶対惚れるパターンじゃん」
当事者である俺に聞かれているなど露ほどにも思っていない連中の低レベルな会話は続いていく。
俺はもう聞くに耐えられず、静かにこの場を去ることにした。
偶然知ってしまった罰ゲームという名の残酷な『告白ごっこ』。
アイツらにしてみたら単なる暇潰し程度の余興でしかない。
でも今回勝手に選ばれてしまったターゲットは俺。
正直、それまで感じていたイラつきが一気に吹き飛ぶほど腹が立った。
だったら俺が取る行動は、アイツらの裏をかいてやった挙げ句に、すぐにこの不愉快極まりないゲームを終わらせること。
俺がアイツのこと好きになればゲームオーバーなんだよな?
ってことは、アイツが俺に告白する前に俺が先に告白すれば済む話なんじゃね?
冷静さに欠けた俺は そんな風に考えてしまったのだった。
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