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19.『俺』という人間について(昴流視点)
今でこそイケメンで人気者だと持て囃されている俺だが、小学校低学年くらいまではクラスで一番のチビで、人見知りが激しく引っ込み思案な性格だったこともあって、友達の輪の中に入っていけず、ひとりでいることもよくあった。
そんな俺は両親にとって心配の種だったらしく、積極的にとまではいかなくても、せめてひとつくらい自分から興味を持って取り組めるものがあれば少しは改善するんじゃないかと、色んなことに挑戦させてくれた。
バスケもそのひとつで、当時地元のミニバスのチームに入っていた従兄弟に付いて練習を見に行った時、初めてボールに触った俺を見て、そこのチームの監督が大袈裟なくらいに褒めてくれたことに自信を持った俺が自分からやりたいと言い出したのがきっかけだった。
一番最初に褒められたことが良かったのか、俺はすぐにバスケが大好きになり、練習に通うのが楽しくて仕方がなくなった。バスケを通じて友達も出来たし、以前に比べたら格段に明るくなり、人並み程度の積極性も出てきて、両親もホッとしていたように思う。
高学年になる頃にはすっかり背も伸び、見た目においても今の俺の原形が出来たおかげか、少しずつ他人から注目されるようになっていった。
中学に入る頃には男子からは一目置かれるようになり、女子からは熱い視線を向けられ。
何をやっても馬鹿にされ揶揄いの対象になっていた地味で冴えない引っ込み思案の『僕』は、普通にしてるだけで常に羨望や憧憬、そして時には嫉妬なんていうそれまで縁のなかった感情を向けられる『俺』という人間に成り代わっていた。
それは妙に気分が良く、時に酷く煩わしいもので、いつも余裕の表情で何て事のないようにやり過ごしてはいたものの、周囲の反応が驚くほどに変わったことに、内心戸惑いと落胆を隠せずにいた。
いくら外見が変わったと言っても俺は元々俺でしかない。
なのに周囲の反応は天と地ほどに違う。
こういう時俺は自分の事を、イベント会場の催しで行われているヒーローショーの主役みたいだなって思うのだ。
子供達は目の前にいるヒーローを純粋に応援し、テレビで見ているものと同じだと信じて疑わずに大喜びしながら、シナリオどおりに進められているだけの展開に一喜一憂する。
それを演じている人のアドリブなんてものは必要とされず、作られたヒーローの設定どおりに動くことだけを期待されるスーツアクター。
その中にいる人が本当はどんな人かなんてことに興味を持たれることは絶対にない。
……まさに俺もそんな感じ。
正直俺はモテる。
俺の上っ面しか見ていないはずなのに、俺の事を好きだと言ってくれる人はたくさんいる。
フリーでいてもそうでなくても女の子からの誘いはよくあるし、下世話な話、そっち方面で不自由はしてない。
俺もそういうもんだと割り切って気軽に相手の気持ちに応え、相手を不快にさせない程度の距離感で接していた。
友達関係ですらもその傾向が強く、ノリが悪いとか空気を読まないとか言われないように、適度に求められた役割をこなしながら適当にその場をやり過ごすのだ。
俺は弱くてズルい。
それを誤魔化すためにみんなが求める『高崎昴流』に擬態することをやめられない。
本当の自分を理解して好きになって欲しいという気持ちがないわけじゃないが、この見た目とバスケ以外、特にこれといったものを持ち合わせていない俺には、ありのままの自分で勝負するだけの自信も気概もない。
だから俺はその気持ちに蓋をして、今日も適当に流されるまま過ごすのだ。
それが俺が身に付けた処世術であり、自己防衛の手段でもあったから。
──この時の俺は何もわかっていなかった。
相手に期待する前に、まずは自分が相手を尊重しなければいけないっていうことも。
本当の自分をさらけ出さなければ、いつまで経っても上っ面だけの関係にしかなれないってことも。
……誰かを本気で好きになったら、なりふり構っていられないんだっていうことも。
そんな俺は両親にとって心配の種だったらしく、積極的にとまではいかなくても、せめてひとつくらい自分から興味を持って取り組めるものがあれば少しは改善するんじゃないかと、色んなことに挑戦させてくれた。
バスケもそのひとつで、当時地元のミニバスのチームに入っていた従兄弟に付いて練習を見に行った時、初めてボールに触った俺を見て、そこのチームの監督が大袈裟なくらいに褒めてくれたことに自信を持った俺が自分からやりたいと言い出したのがきっかけだった。
一番最初に褒められたことが良かったのか、俺はすぐにバスケが大好きになり、練習に通うのが楽しくて仕方がなくなった。バスケを通じて友達も出来たし、以前に比べたら格段に明るくなり、人並み程度の積極性も出てきて、両親もホッとしていたように思う。
高学年になる頃にはすっかり背も伸び、見た目においても今の俺の原形が出来たおかげか、少しずつ他人から注目されるようになっていった。
中学に入る頃には男子からは一目置かれるようになり、女子からは熱い視線を向けられ。
何をやっても馬鹿にされ揶揄いの対象になっていた地味で冴えない引っ込み思案の『僕』は、普通にしてるだけで常に羨望や憧憬、そして時には嫉妬なんていうそれまで縁のなかった感情を向けられる『俺』という人間に成り代わっていた。
それは妙に気分が良く、時に酷く煩わしいもので、いつも余裕の表情で何て事のないようにやり過ごしてはいたものの、周囲の反応が驚くほどに変わったことに、内心戸惑いと落胆を隠せずにいた。
いくら外見が変わったと言っても俺は元々俺でしかない。
なのに周囲の反応は天と地ほどに違う。
こういう時俺は自分の事を、イベント会場の催しで行われているヒーローショーの主役みたいだなって思うのだ。
子供達は目の前にいるヒーローを純粋に応援し、テレビで見ているものと同じだと信じて疑わずに大喜びしながら、シナリオどおりに進められているだけの展開に一喜一憂する。
それを演じている人のアドリブなんてものは必要とされず、作られたヒーローの設定どおりに動くことだけを期待されるスーツアクター。
その中にいる人が本当はどんな人かなんてことに興味を持たれることは絶対にない。
……まさに俺もそんな感じ。
正直俺はモテる。
俺の上っ面しか見ていないはずなのに、俺の事を好きだと言ってくれる人はたくさんいる。
フリーでいてもそうでなくても女の子からの誘いはよくあるし、下世話な話、そっち方面で不自由はしてない。
俺もそういうもんだと割り切って気軽に相手の気持ちに応え、相手を不快にさせない程度の距離感で接していた。
友達関係ですらもその傾向が強く、ノリが悪いとか空気を読まないとか言われないように、適度に求められた役割をこなしながら適当にその場をやり過ごすのだ。
俺は弱くてズルい。
それを誤魔化すためにみんなが求める『高崎昴流』に擬態することをやめられない。
本当の自分を理解して好きになって欲しいという気持ちがないわけじゃないが、この見た目とバスケ以外、特にこれといったものを持ち合わせていない俺には、ありのままの自分で勝負するだけの自信も気概もない。
だから俺はその気持ちに蓋をして、今日も適当に流されるまま過ごすのだ。
それが俺が身に付けた処世術であり、自己防衛の手段でもあったから。
──この時の俺は何もわかっていなかった。
相手に期待する前に、まずは自分が相手を尊重しなければいけないっていうことも。
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