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生徒会室の雑談
生徒会室の雑談3
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本日二話投稿しております。
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「ねぇねぇ、みっきぃ。ちょっと聞きたいことあるんだけど」
放課後の生徒会室。
紆余曲折あって再び生徒会役員補佐として多忙な生徒会の手伝いをすることになった俺は、椅子ごと俺の横まで移動してきた挙げ句、上目遣いのおねだりモードで話しかけてくる壱琉先輩に、一気に警戒モードを発動させた。
これまでの経験上、こういった時の壱琉先輩はろくなことを言い出さないと相場が決まってる。
「……なんですか?」
無視するわけにもいかず仕方なしに返事をすると、あざと可愛く演出されていた壱琉先輩の表情に、一瞬だけ黒い笑みが浮かんだ。
やっぱりろくでもないことを聞かれるらしい。
「みっきぃって、お付き合いしてる相手の人のこと何て呼んでるの?」
「……は?」
案の定、全く空気を読まない質問に俺だけじゃなく室内の空気が凍りついた気がした。
「やっぱり呼び捨て?それとも愛称とかつけちゃったりしてるの?」
いやいや。壱琉先輩じゃあるまいし。愛称呼びなんてするかっての。
東條からは名前で呼んで欲しいって言われてるけど、俺的には先生と生徒っていう関係が解消されない限りは無理だと思ってるんだけど。
俺の気持ちがちゃんと気持ちが固まってからってのもあるし。
ま、どっちにしろここで答えるようなことじゃないから、適当に答えて話を終わらせよう。
無難な答えで話を切り上げようと口を開きかけると。
「それは私も気になりますね。何て呼んでるんですか?」
あ~さ~ひ~な~。
この中で唯一俺の相手が誰かということを知っている朝比奈が余計なことを言い出した。
思わず非難めいた視線を送ると、朝比奈にものすっごいいい笑顔で躱された。
あー、ムカつく。
「……普通です」
「普通ってなぁに?名前で呼んでるってこと?」
「……そうですね」
ホントは今までどおり本人に向かっては『先生』呼びしてるけど、心の中じゃ『東條』って呼び捨てにしてるから嘘は言ってない。
「へぇ~、そうなんだぁ」
ニコニコしている壱琉先輩。この相槌で会話が終われば俺も笑顔になれるんだけどなー。
「じゃあエッチの最中おねだりする時もそう呼んでるの?」
ほらやっぱり。さらっと爆弾投げ込んで来ましたよー。
この一言で室内の空気がより一層凍りついた。
むしろ空気というよりも本人達が凍りついたかのように誰も微動だにしない。しっかり聞き耳はたててるっぽいけど。
みんな、仕事しようぜ。
ちなみに今この部屋にいるのは、俺、壱琉先輩、朝比奈、会長様、佐伯、二階堂というメンバー。
壬生先輩と颯真がいなくてホントに良かったと思う。
うーん。これ無視しちゃっていいかな? それとも適当に答えるべき?
そう考えたところで俺は第三の選択肢を選ぶことにした。
「壱琉先輩はそういう時、なんて呼んでるんですか?」
俺の切り返しに壱琉先輩以外の全員が俺をガン見する。
壱琉先輩みたいなタイプは案外自分が聞かれる立場になると怯んだりするものだし。たまにはこういうのもいいだろ?
しかし俺はすぐに壱琉先輩が普通とは縁遠い人なんだということを再認識させられた。
「え?僕? そうだなぁ……」
顎に人差し指をあてて考える姿は本性を知らない人から見れば可愛いらしく見えるんだろうけど、俺には最早計算ずくの仕草にしか感じられない。
「僕は『おねだりする方』じゃなくて、『お願いされる側』だから、普段どおり壱琉様って呼ばれることが多いよ」
当然とばかりに平然と答える壱琉先輩。
そういえばこの人、自分の『親衛隊長』相手に『普通じゃないプレイ』してるんだった。
すっかり忘れていた壱琉先輩の赤裸々な性事情を思い出し遠い目になる。
「あ、その顔もしかして想像しちゃった?」
「いえ。全く」
「またまた~。恥ずかしがらしなくてもいいのに~。みっきぃってもしかしてこういう話苦手?」
俺の場合、苦手とか言う前にそういう話が出来るような男友達がいなかった。
あえて言うなら颯真くらい。
まあ、今は颯真にも出来なくなっちゃったけど……。
考えてみると俺って颯真以外友達いなかった挙げ句に、猥談すらまともにしたことないって、どんだけ同性から嫌われてたんだよ、って話だ。
自分の事ながら呆れてしまう。
「べつにそういうわけじゃないんですけど、あんまりしたことないっすねー」
内心苦笑いしつつサラッと流した瞬間。
壱琉先輩の目がキラリと光った気がして背筋が寒くなった。
********************
お読みいただきありがとうございました。
『セカンドライフ!』と同じ世界観、同じ時間軸で展開してます『俺には絶対向いてない!』もよろしくお願い致します。
『セカンドライフ!』のキャラもたまに出てきます。
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「ねぇねぇ、みっきぃ。ちょっと聞きたいことあるんだけど」
放課後の生徒会室。
紆余曲折あって再び生徒会役員補佐として多忙な生徒会の手伝いをすることになった俺は、椅子ごと俺の横まで移動してきた挙げ句、上目遣いのおねだりモードで話しかけてくる壱琉先輩に、一気に警戒モードを発動させた。
これまでの経験上、こういった時の壱琉先輩はろくなことを言い出さないと相場が決まってる。
「……なんですか?」
無視するわけにもいかず仕方なしに返事をすると、あざと可愛く演出されていた壱琉先輩の表情に、一瞬だけ黒い笑みが浮かんだ。
やっぱりろくでもないことを聞かれるらしい。
「みっきぃって、お付き合いしてる相手の人のこと何て呼んでるの?」
「……は?」
案の定、全く空気を読まない質問に俺だけじゃなく室内の空気が凍りついた気がした。
「やっぱり呼び捨て?それとも愛称とかつけちゃったりしてるの?」
いやいや。壱琉先輩じゃあるまいし。愛称呼びなんてするかっての。
東條からは名前で呼んで欲しいって言われてるけど、俺的には先生と生徒っていう関係が解消されない限りは無理だと思ってるんだけど。
俺の気持ちがちゃんと気持ちが固まってからってのもあるし。
ま、どっちにしろここで答えるようなことじゃないから、適当に答えて話を終わらせよう。
無難な答えで話を切り上げようと口を開きかけると。
「それは私も気になりますね。何て呼んでるんですか?」
あ~さ~ひ~な~。
この中で唯一俺の相手が誰かということを知っている朝比奈が余計なことを言い出した。
思わず非難めいた視線を送ると、朝比奈にものすっごいいい笑顔で躱された。
あー、ムカつく。
「……普通です」
「普通ってなぁに?名前で呼んでるってこと?」
「……そうですね」
ホントは今までどおり本人に向かっては『先生』呼びしてるけど、心の中じゃ『東條』って呼び捨てにしてるから嘘は言ってない。
「へぇ~、そうなんだぁ」
ニコニコしている壱琉先輩。この相槌で会話が終われば俺も笑顔になれるんだけどなー。
「じゃあエッチの最中おねだりする時もそう呼んでるの?」
ほらやっぱり。さらっと爆弾投げ込んで来ましたよー。
この一言で室内の空気がより一層凍りついた。
むしろ空気というよりも本人達が凍りついたかのように誰も微動だにしない。しっかり聞き耳はたててるっぽいけど。
みんな、仕事しようぜ。
ちなみに今この部屋にいるのは、俺、壱琉先輩、朝比奈、会長様、佐伯、二階堂というメンバー。
壬生先輩と颯真がいなくてホントに良かったと思う。
うーん。これ無視しちゃっていいかな? それとも適当に答えるべき?
そう考えたところで俺は第三の選択肢を選ぶことにした。
「壱琉先輩はそういう時、なんて呼んでるんですか?」
俺の切り返しに壱琉先輩以外の全員が俺をガン見する。
壱琉先輩みたいなタイプは案外自分が聞かれる立場になると怯んだりするものだし。たまにはこういうのもいいだろ?
しかし俺はすぐに壱琉先輩が普通とは縁遠い人なんだということを再認識させられた。
「え?僕? そうだなぁ……」
顎に人差し指をあてて考える姿は本性を知らない人から見れば可愛いらしく見えるんだろうけど、俺には最早計算ずくの仕草にしか感じられない。
「僕は『おねだりする方』じゃなくて、『お願いされる側』だから、普段どおり壱琉様って呼ばれることが多いよ」
当然とばかりに平然と答える壱琉先輩。
そういえばこの人、自分の『親衛隊長』相手に『普通じゃないプレイ』してるんだった。
すっかり忘れていた壱琉先輩の赤裸々な性事情を思い出し遠い目になる。
「あ、その顔もしかして想像しちゃった?」
「いえ。全く」
「またまた~。恥ずかしがらしなくてもいいのに~。みっきぃってもしかしてこういう話苦手?」
俺の場合、苦手とか言う前にそういう話が出来るような男友達がいなかった。
あえて言うなら颯真くらい。
まあ、今は颯真にも出来なくなっちゃったけど……。
考えてみると俺って颯真以外友達いなかった挙げ句に、猥談すらまともにしたことないって、どんだけ同性から嫌われてたんだよ、って話だ。
自分の事ながら呆れてしまう。
「べつにそういうわけじゃないんですけど、あんまりしたことないっすねー」
内心苦笑いしつつサラッと流した瞬間。
壱琉先輩の目がキラリと光った気がして背筋が寒くなった。
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お読みいただきありがとうございました。
『セカンドライフ!』と同じ世界観、同じ時間軸で展開してます『俺には絶対向いてない!』もよろしくお願い致します。
『セカンドライフ!』のキャラもたまに出てきます。
応援ありがとうございます!
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