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本編
68.方法
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何かあるとは思ってたけど、まさかジャンニの身内にも『眠り病』にかかっている人がいたとはな……。
ジャンニの兄でベネディクト商会の副会長であるアドリアーノが既に結婚してるっていう話は聞いていたけど、その他の兄弟の話なんて聞いたことなかったし、妹がいるっていうのも初耳だ。
べつにジャンニの話を疑ってるわけじゃないけど、タイミングが良すぎるっていうか、なんていうか。
俺が知らなかっただけで、それだけ『眠り病』の蔓延具合が深刻だってことなんだろうけど。
ジャンニはテーブルにくっつきそうなほどに頭を下げたまま、じっと俺の答えを待っている。
ベネディクト商会のことだ。仕方ないなんて口では言ってても、治療方法を探すために手を尽くしていたんだろう。
でも現時点で効果的な方法は見つかっていなかったってことか。
今日の会合に呼ばれた理由がまさか『眠り病』関連のことだとは思わなかったとは思うけど、話を聞いた時にはさぞ驚いたに違いない。
渡りに舟っていうよりも、藁にもすがる思いで俺に頭を下げてるってことがよくわかる。
「ジャンニ、顔を上げてくれ」
俺の言葉にジャンニはゆっくりと上体を起こした。
その表情にはいつもの余裕たっぷりの笑みはどこにもなく、茶色の瞳は不安そうに揺れている。
コイツのこんな表情を見ることになるなんてな……。
商人としての顔をしたジャンニにしか会ったことのなかった俺からしてみたら、なかなかに衝撃が強い。
それほどまでに『眠り病』っていうやつはこの世界の人間に絶望を与えているものなのだと、あらためて思い知らされた。
ホントにろくでもない事しか思いつかないな、この世界の神様。
おそらくどころか、ほぼ確実に神様の思い付きの弊害以外の何物でもないのがこの『眠り病』だと思うんだけど、実行した本人がここまでの結果を予想してたとは思えないんだよな。
いくら望んだ方向に箱庭作りが進まないって言ったって、ここまでこの世界に住んでる人達を苦しめる必要性はないと思うしさ。
まあ、何らかの意図があったっていう線も捨てきれないけど、今までの事を考えるとその場しのぎか、行き当たりばったりで思い付いた事をそのまま実行に移しただけっていう線が有力だと思う。
うーん。やっぱ、魔王との決戦前にあるっていう神様との話の時に、どういうつもりでこういう事してんのかってことをキッチリ聞き出さないとダメだな。
あらためて神様との話し合いの方向性が決まったところで、俺はしっかりとジャンニと視線を合わせてから再び口を開く。
「材料さえ提供してもらえるんなら、そっちの分も『ピンクサルバの果実水』を用意するのは構わない。効果の付与も俺がするし。でも俺が魔王の討伐に出発した後のことまでは責任が持てないってことだけは覚えといてくれ」
出発前にある程度の数は作っていくつもりでいるし、現状保存の魔法もかけていくつもりではいるけど、この短期間で材料がそこまで手に入るのかってことのほうが問題かもしれない。
すると。
「レシピの使用許可がいただければ、作成のほうはこちらでなんとか致します」
ジャンニがキッパリと言い切った。
やっぱりベネディクト商会ほどの大商会なら光魔法の使い手の確保も問題無いってことか。
「さすがはベネディクト商会。死角はないんだな」
皮肉でも何でもなく、純粋に称賛のつもりでそう言ったのに、ジャンニは複雑そうな顔をする。
「他意はないぜ?」
「承知致しております。……ただ個人的な事情で複雑な気持ちになっていただけですので」
「個人的な事情?」
「……他言無用で願いたいのですが、実は私も光魔法に適正がありまして、コウキさんやシェーカー様には遠く及びませんが、光の浄化魔法を使うことが出来るのです。魔力持ちの上に光魔法の使い手となると色々と面倒な立場になる可能性が高いので、積極的に使いこなそうだとか、威力を高める努力なんてものをあえてしてこなかったのですが」
「……ああ、なるほど」
俺が魔力持ちだと知ったブライアンがいきなり娼館に乗り込んで来て、『お前の能力は正しい場所で生かされるべきだ。男娼なんざやめて冒険者として登録しろ』って言い出したことを思い出す。
確かに自分のやりたいことが決まってんのに、持って生まれた能力をちゃんと活かすべきだって言われても困るもんな……。
でも、今回ばかりはその能力を使えるようになっておいて損はない。それどころか、俺もベネディクト商会もかなり助かると思うから。
「俺の出発までに使いこなせるようになってくれ。最悪『ピンクサルバの果実水』が無くても、光の浄化魔法さえ使えれば二人を助けられる可能性は充分にある」
「本当ですか!?」
「ああ、ホント。『眠り病』の原因は体内に瘴気が蓄積されることじゃないかって、エレナさんがさっき話してただろ? 詳しいことまではわからないけど、おそらく魔力の有る無しで瘴気の影響を受ける度合いが変わってくるから、魔力の無い人のほうが発症しやすいんじゃないかっていう仮説」
「まさか……!?」
さすが普段から察しが良いだけのことはある。俺の言いたいことがわかったらしい。
「光の浄化魔法を使って体内の瘴気を減らせばいい」
「そんな事が可能なのですか?」
「ま、俄には信じられないよな。普通は魔物を浄化して消滅させるために使うもんらしいから。でも魔物は穢れた魔素の塊なわけだろ? つまりは瘴気と同じようなモンだって考えれば応用出来ると思わないか?」
魔物と瘴気が本当に同じようなものなのかはわかんないけど、既にルロイさんに試してみて効果があったから大丈夫。むしろ光魔法を使いこなせていないジャンニがどの程度やれるかってことのほうが問題かもしれない。
そのジャンニはというと、希望を見出だせたことに少しだけ安堵しつつも、すぐに複雑そうな表情になる。
まあ、実際に見てみないことにはピンとこないし、不安要素は多いもんな。
「それにさ、『眠り病』の一番怖いところっていうのは、病気にかかったことじゃないと思うんだ」
「どういうことですか?」
「病気自体はホントに怖いと思う。でも眠ったままでいることによって生命維持に必要な栄養や水分を摂れなくなってしまうことが、死に至る大きな原因になっているんじゃないかと思うんだ。だから光の浄化魔法で身体の中にある瘴気を少しずつでも減らしながら効率よく水分や栄養を補給してやれば、その分だけ命を繋ぐことが出来るかもしれないだろ? 『ピンクサルバの果実水』はそれを一気に叶えてくれるアイテムってだけで、他に手段があるんなら、無理に『ピンクサルバの果実水』にこだわる必要はないと思う」
「なるほど……。生命維持に必要なもの、ですか……」
この世界は俺がいた世界ほど医学も科学も発展していない。だからそういう考えはないんだろうな。
魔法が使える人が少数派とはいえ、治癒魔法があるから尚更そうなのかもしれないけど、ケガや疲労には効いても病気には効かないんだから、もうちょっとその辺りもどうにかしたほうがいいと思うんだけど。
「いくら水分が必要でも、ただの水じゃ意味がない。人間の身体の中の水分と同じような成分じゃないとダメなんだ。ただの経口補水液だから魔法の付与は出来ないけど、『ピンクサルバの果実水』と違って簡単な材料で作れるから後で教えるよ」
「よろしくお願い致します」
雑学程度の知識だけど、役に立つことがあって良かった。
「それはそれとして、まずはジャンニが光魔法を使いこなせるようになるのが先決だな。全く使いこなせてない状態でいきなり試すのは危険だから、ある程度の練習は絶対に必要になる」
「少しでも可能性があるのならば。いえ、私に出来る事があるのならば、やらないという選択肢はありません」
「そうだな。俺が魔王のところに行ったからって、どういう結末になるのかはわかんないし、その先どうなるのかは誰も想像がつかない。万が一の可能性も考えたら、やれる事はやっといたほうがいいと思う」
「それは……」
「そんな不安そうな顔すんなって。負けるつもりはねぇよ。でも魔王を封印して瘴気が薄まったからって、既に発症してる人達の体内に蓄積されている分が自然に消えるとは思えないからさ」
「……そうですね。確かにその可能性も考えておくべきですね」
同意したジャンニの顔つきはさっきよりも随分と引き締まったものになっていた。
とりあえず俺が出発するまでにやり方を覚えてもらわなきゃ話にならない。
さて、どうするかな……。
まさか妹さんや兄嫁さん相手に練習するわけにもいかないよな、と考えたところで、うってつけの相手が今邸内にいたことを思い出す。
…………。
──アイツで試してみちゃう? ダメで元々ってことで。
他の人だったら実験台にすることに罪悪感がわくけれど、生憎アイツに対してはそんな気持ちにはならなそうだし。
なんたって、子供を産ませるためにコリンのお母さんを迎えたくせに、目的を果たしたら商人に金で売るような真似をした挙げ句、コリンを娼館に売ったようなヤツらだぜ?
あの様子じゃ、アイツらと一緒に暮らしていた時のコリンの扱いは、傍目から見ても決して良いものとは言えなかったんじゃないかな。
コリンはそこまで言わなかったけど、コリンに対する横柄で威圧的な態度は、今に始まったことじゃなさそうだったし。
そんなヤツは、進んで誰かの役に立ってもらおう! 本人の意思とは関係なくても。
宰相様には、俺は案外情に厚いって言われたけど、それは普段関わりのある人に対してだけで、あからさまに俺に敵意を向けてくるヤツや、俺の事を自分の都合のいいように利用しようとするヤツには当然適応されないものだ。
性格悪いって言われようが、金もらってるわけでもないのに誰にでもいい顔する義理はない。
そもそもアイツが『眠り病』だって聞いてすぐに材料の手配を頼んだのは、アイツに何かあったら、アイツの実家が後でどんな難癖つけてくるかわかんないし、その時にコリンが困ることになるのは可哀想だから、っていう理由でしかなかったわけだし。
まあ、コリンやコリンのお母さんを散々自分達の良い様に利用したんだから、利用されたところで文句は言えないはず、っていうか言わせない。
元々アイツを預かった理由も、実験台的な役割を果たしてもらうためだったんだから、当初の予定に変更はなかったってことで、精々役に立ってもらいましょうか。
ジャンニの兄でベネディクト商会の副会長であるアドリアーノが既に結婚してるっていう話は聞いていたけど、その他の兄弟の話なんて聞いたことなかったし、妹がいるっていうのも初耳だ。
べつにジャンニの話を疑ってるわけじゃないけど、タイミングが良すぎるっていうか、なんていうか。
俺が知らなかっただけで、それだけ『眠り病』の蔓延具合が深刻だってことなんだろうけど。
ジャンニはテーブルにくっつきそうなほどに頭を下げたまま、じっと俺の答えを待っている。
ベネディクト商会のことだ。仕方ないなんて口では言ってても、治療方法を探すために手を尽くしていたんだろう。
でも現時点で効果的な方法は見つかっていなかったってことか。
今日の会合に呼ばれた理由がまさか『眠り病』関連のことだとは思わなかったとは思うけど、話を聞いた時にはさぞ驚いたに違いない。
渡りに舟っていうよりも、藁にもすがる思いで俺に頭を下げてるってことがよくわかる。
「ジャンニ、顔を上げてくれ」
俺の言葉にジャンニはゆっくりと上体を起こした。
その表情にはいつもの余裕たっぷりの笑みはどこにもなく、茶色の瞳は不安そうに揺れている。
コイツのこんな表情を見ることになるなんてな……。
商人としての顔をしたジャンニにしか会ったことのなかった俺からしてみたら、なかなかに衝撃が強い。
それほどまでに『眠り病』っていうやつはこの世界の人間に絶望を与えているものなのだと、あらためて思い知らされた。
ホントにろくでもない事しか思いつかないな、この世界の神様。
おそらくどころか、ほぼ確実に神様の思い付きの弊害以外の何物でもないのがこの『眠り病』だと思うんだけど、実行した本人がここまでの結果を予想してたとは思えないんだよな。
いくら望んだ方向に箱庭作りが進まないって言ったって、ここまでこの世界に住んでる人達を苦しめる必要性はないと思うしさ。
まあ、何らかの意図があったっていう線も捨てきれないけど、今までの事を考えるとその場しのぎか、行き当たりばったりで思い付いた事をそのまま実行に移しただけっていう線が有力だと思う。
うーん。やっぱ、魔王との決戦前にあるっていう神様との話の時に、どういうつもりでこういう事してんのかってことをキッチリ聞き出さないとダメだな。
あらためて神様との話し合いの方向性が決まったところで、俺はしっかりとジャンニと視線を合わせてから再び口を開く。
「材料さえ提供してもらえるんなら、そっちの分も『ピンクサルバの果実水』を用意するのは構わない。効果の付与も俺がするし。でも俺が魔王の討伐に出発した後のことまでは責任が持てないってことだけは覚えといてくれ」
出発前にある程度の数は作っていくつもりでいるし、現状保存の魔法もかけていくつもりではいるけど、この短期間で材料がそこまで手に入るのかってことのほうが問題かもしれない。
すると。
「レシピの使用許可がいただければ、作成のほうはこちらでなんとか致します」
ジャンニがキッパリと言い切った。
やっぱりベネディクト商会ほどの大商会なら光魔法の使い手の確保も問題無いってことか。
「さすがはベネディクト商会。死角はないんだな」
皮肉でも何でもなく、純粋に称賛のつもりでそう言ったのに、ジャンニは複雑そうな顔をする。
「他意はないぜ?」
「承知致しております。……ただ個人的な事情で複雑な気持ちになっていただけですので」
「個人的な事情?」
「……他言無用で願いたいのですが、実は私も光魔法に適正がありまして、コウキさんやシェーカー様には遠く及びませんが、光の浄化魔法を使うことが出来るのです。魔力持ちの上に光魔法の使い手となると色々と面倒な立場になる可能性が高いので、積極的に使いこなそうだとか、威力を高める努力なんてものをあえてしてこなかったのですが」
「……ああ、なるほど」
俺が魔力持ちだと知ったブライアンがいきなり娼館に乗り込んで来て、『お前の能力は正しい場所で生かされるべきだ。男娼なんざやめて冒険者として登録しろ』って言い出したことを思い出す。
確かに自分のやりたいことが決まってんのに、持って生まれた能力をちゃんと活かすべきだって言われても困るもんな……。
でも、今回ばかりはその能力を使えるようになっておいて損はない。それどころか、俺もベネディクト商会もかなり助かると思うから。
「俺の出発までに使いこなせるようになってくれ。最悪『ピンクサルバの果実水』が無くても、光の浄化魔法さえ使えれば二人を助けられる可能性は充分にある」
「本当ですか!?」
「ああ、ホント。『眠り病』の原因は体内に瘴気が蓄積されることじゃないかって、エレナさんがさっき話してただろ? 詳しいことまではわからないけど、おそらく魔力の有る無しで瘴気の影響を受ける度合いが変わってくるから、魔力の無い人のほうが発症しやすいんじゃないかっていう仮説」
「まさか……!?」
さすが普段から察しが良いだけのことはある。俺の言いたいことがわかったらしい。
「光の浄化魔法を使って体内の瘴気を減らせばいい」
「そんな事が可能なのですか?」
「ま、俄には信じられないよな。普通は魔物を浄化して消滅させるために使うもんらしいから。でも魔物は穢れた魔素の塊なわけだろ? つまりは瘴気と同じようなモンだって考えれば応用出来ると思わないか?」
魔物と瘴気が本当に同じようなものなのかはわかんないけど、既にルロイさんに試してみて効果があったから大丈夫。むしろ光魔法を使いこなせていないジャンニがどの程度やれるかってことのほうが問題かもしれない。
そのジャンニはというと、希望を見出だせたことに少しだけ安堵しつつも、すぐに複雑そうな表情になる。
まあ、実際に見てみないことにはピンとこないし、不安要素は多いもんな。
「それにさ、『眠り病』の一番怖いところっていうのは、病気にかかったことじゃないと思うんだ」
「どういうことですか?」
「病気自体はホントに怖いと思う。でも眠ったままでいることによって生命維持に必要な栄養や水分を摂れなくなってしまうことが、死に至る大きな原因になっているんじゃないかと思うんだ。だから光の浄化魔法で身体の中にある瘴気を少しずつでも減らしながら効率よく水分や栄養を補給してやれば、その分だけ命を繋ぐことが出来るかもしれないだろ? 『ピンクサルバの果実水』はそれを一気に叶えてくれるアイテムってだけで、他に手段があるんなら、無理に『ピンクサルバの果実水』にこだわる必要はないと思う」
「なるほど……。生命維持に必要なもの、ですか……」
この世界は俺がいた世界ほど医学も科学も発展していない。だからそういう考えはないんだろうな。
魔法が使える人が少数派とはいえ、治癒魔法があるから尚更そうなのかもしれないけど、ケガや疲労には効いても病気には効かないんだから、もうちょっとその辺りもどうにかしたほうがいいと思うんだけど。
「いくら水分が必要でも、ただの水じゃ意味がない。人間の身体の中の水分と同じような成分じゃないとダメなんだ。ただの経口補水液だから魔法の付与は出来ないけど、『ピンクサルバの果実水』と違って簡単な材料で作れるから後で教えるよ」
「よろしくお願い致します」
雑学程度の知識だけど、役に立つことがあって良かった。
「それはそれとして、まずはジャンニが光魔法を使いこなせるようになるのが先決だな。全く使いこなせてない状態でいきなり試すのは危険だから、ある程度の練習は絶対に必要になる」
「少しでも可能性があるのならば。いえ、私に出来る事があるのならば、やらないという選択肢はありません」
「そうだな。俺が魔王のところに行ったからって、どういう結末になるのかはわかんないし、その先どうなるのかは誰も想像がつかない。万が一の可能性も考えたら、やれる事はやっといたほうがいいと思う」
「それは……」
「そんな不安そうな顔すんなって。負けるつもりはねぇよ。でも魔王を封印して瘴気が薄まったからって、既に発症してる人達の体内に蓄積されている分が自然に消えるとは思えないからさ」
「……そうですね。確かにその可能性も考えておくべきですね」
同意したジャンニの顔つきはさっきよりも随分と引き締まったものになっていた。
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さて、どうするかな……。
まさか妹さんや兄嫁さん相手に練習するわけにもいかないよな、と考えたところで、うってつけの相手が今邸内にいたことを思い出す。
…………。
──アイツで試してみちゃう? ダメで元々ってことで。
他の人だったら実験台にすることに罪悪感がわくけれど、生憎アイツに対してはそんな気持ちにはならなそうだし。
なんたって、子供を産ませるためにコリンのお母さんを迎えたくせに、目的を果たしたら商人に金で売るような真似をした挙げ句、コリンを娼館に売ったようなヤツらだぜ?
あの様子じゃ、アイツらと一緒に暮らしていた時のコリンの扱いは、傍目から見ても決して良いものとは言えなかったんじゃないかな。
コリンはそこまで言わなかったけど、コリンに対する横柄で威圧的な態度は、今に始まったことじゃなさそうだったし。
そんなヤツは、進んで誰かの役に立ってもらおう! 本人の意思とは関係なくても。
宰相様には、俺は案外情に厚いって言われたけど、それは普段関わりのある人に対してだけで、あからさまに俺に敵意を向けてくるヤツや、俺の事を自分の都合のいいように利用しようとするヤツには当然適応されないものだ。
性格悪いって言われようが、金もらってるわけでもないのに誰にでもいい顔する義理はない。
そもそもアイツが『眠り病』だって聞いてすぐに材料の手配を頼んだのは、アイツに何かあったら、アイツの実家が後でどんな難癖つけてくるかわかんないし、その時にコリンが困ることになるのは可哀想だから、っていう理由でしかなかったわけだし。
まあ、コリンやコリンのお母さんを散々自分達の良い様に利用したんだから、利用されたところで文句は言えないはず、っていうか言わせない。
元々アイツを預かった理由も、実験台的な役割を果たしてもらうためだったんだから、当初の予定に変更はなかったってことで、精々役に立ってもらいましょうか。
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