本の世界へ強制トリップ~俺がやりたかったのはコレじゃない~

みなみ ゆうき

文字の大きさ
3 / 22

3.桐壺 その2 *

しおりを挟む
あの後、俺に仕えてくれている女房だという人と話をした結果。俺は最近この辺りで目撃されている鬼に遭遇し、恐ろしさのあまり一時的に記憶を失い、色んな事を忘れてしまっているということにされてしまった。

鬼なんてそもそもいるわけないし、小さい子供じゃないんだからそんな事誰も信じるわけないだろうと鼻で笑ってしまったのだが。

ところがこの世界。本気でそういった存在を信じているらしく、明日にでもカジ、キトウってやつを頼むとか言い出したから慌てて止めた。

カジはともかくキトウっていうとやっぱり亀の頭のことしか思い浮かばなかった俺にそんな事するだけ無駄だし、そもそもこれが俺なのだから効果なんてあるわけがない。


あ、ちなみに女房ってのは奥さんのことじゃなく、貴族に仕える役目の人をそう呼ぶらしい。

女がいないのに女房って……。色々矛盾してるけど、それが夢ってもんなんだろうな。


俺付きの女房だというその人は一生懸命俺自身がどんな人間なのかという事を説明してくれたのだが、記憶を失うどころか明らかに全くの別人だとわかってる人物が歩んできた人生ヒストリーを聞かされても理解出来るどころか微塵も興味がもてなかったので、俺は早々にこの状況を理解しようとする事をやめ、大半を聞き流してしまった。

だって所詮夢だからさ。


一向に夢から覚める気配がないまま、俺は再び薄っぺらい布団に横になる。

夢の中なのに寝ることになるって、どんだけ俺は寝るのが好きな人間なんだか……。

自分の事ながら呆れてしまう。

でも案外ここで寝たら逆に現実の俺の目が覚めたりするかもと考えながら目を閉じた。


──全然寝れねぇ……。


眠気が訪れそうな体勢を探して何度も寝返りを打ってみたものの、無駄にゴロゴロ転がっただけで却って目が冴えてしまった感じ。

必死に羊を数えてみても眠くなるどころか益々意識が覚醒していく。


大体この硬い枕のせいで余計寝づらいんだよな。
これがホントの枕が合わないってやつか……。

取り纏めのないことをツラツラと考えながらもう一度寝返りを打つと、御簾みすという名前のデカいすだれの向こう側に人の気配を感じて驚いた。

え……? まさかホントに鬼がいるとかいう?

真っ暗闇の中、ちょっとビビりながらも怖いもの見たさで必死に目を凝らすと、御簾がふわりと舞うように開けられ、スッゲーいい匂いがしたと思ったら、物凄く高級そうな平安時代の貴族の衣装を身に纏った男が静かに入り込んできた。


誰だ!?と言おうと口を開きかけたところで突然抱き締められ、やや強引に唇が塞がれる。

ギャーーーッ!!

明らかに俺よりガタイのいい身体に拘束されていることにパニックになり、なんとかこの状況から逃れようと身体を捩るがビクともしない。

せめてキスだけでもどうにかならないかと顔を背けると。


「姫……。今だけあなたに触れる事をお許しいただけないだろうか」


え!?この声って……!

聞き覚えのある声に驚き動きを止めたら、またしても唇を重ねられてしまった。

何やってんだ!俺!

唇をこじ開けられ、舌を絡めとられ、口腔内を隈無く舐められ擽られる。


「ん…ッ……、ふぅ……ッ……」


自分のものじゃないような甘い声と、飲みきれない二人分の唾液が絶え間なく唇から漏れでてくるのが恥ずかしい。

熟れた身体を持て余す淫乱な人妻か未亡人に積極的に襲われるんなら大歓迎だけど、俺よりデカい男に襲われんのはマジ勘弁してほしい!
しかもこの人ってさ……!!


「先程一目見た時からすっかりあなたに心を奪われてしまったこの憐れな男に少しでも情けをかけてくれるのならどうかこのままで……。あなたが本気で嫌がるのならば無体な真似はしないと誓う」


唇が触れ合うギリギリの距離で甘い言葉を囁いた桐山は、いつもの人を小馬鹿にしような余裕の表情とは違い、本気で俺を求めているのだと勘違いしそうになるほど切ない表情でじっと俺の目を覗き込んできた。

その眼差しに、あろうことか俺の心と下半身がキュンとしてしまう。


勝手な真似すんな!俺の身体!!

ヤバいと思って目を逸らそうとしたものの、俺の変化を見逃してはくれなかったらしい桐山によって着物の袷に手を差し入れられ、何にも履いてない状態で無防備に晒されている俺のムスコにダイレクトに触られればもうダメだった。


「うぁ…ッ……」

「あなたのここが私の事を嫌がってはいないようで安心した」


サオを緩く扱かれ、先っぽを指で撫でられ、いつの間にか着物がはだけられ丸見えになっていた乳首を舐められ吸われれば、快感に弱い俺の身体は一気に高ぶりを見せていく。


「あ…ッ…、はぁ…ん……、そこ……、ダメだって……。んんッ……」


一応嫌だということを伝えてはみたものの、巧みに俺を翻弄していく桐山の手と舌の動きに、俺のだらしない理性はあっという間に陥落していった。


「駄目だといいつつ自分から腰を擦り付けていては、その言葉どおりに受け取るわけにはいかないよ。ほら、ここもたくさん滴が溢れだして、あなたが本当はどう思っているのかということを一生懸命私に伝えてくれている。
──どうかこのまま私を受け入れて欲しい」

「うッ…………」


自分のチンコが完勃ち状態になっていることに気付いてはいたが、あらためてそれを言葉にして言われるといたたまれない。

男とどうこうなるなんて今まで考えてみたこともなかったけど、男同士ってこともあって妙にツボを心得ているせいか、滅茶苦茶気持ちいいんだからしょうがないよな。

でもこれは昨日ヤル気満々だったのに空振りに終わって、ちょっと欲求不満だったせいだから!


「恥ずかしがることはない。私にあなたの全てを見せて。それこそ誰も触れたことのない奥の奥まで」

「え!?そこはッ!! ぁん…ッ……!」


桐山は俺のモノを咥えると、俺の後ろの穴をそっと指で撫でた後、本当にまだ誰も触れたことのない内部へその指を侵入させてきたのだ。

フェラのお陰か想像してた程の違和感はないものの、本来の役割以外の用途で使う日がいきなり訪れたことに、俺は軽いショックを受けてしまった。


「姫。あなたの身体に負担をかけないよう、ここを私とひとつになれるよう変えておく必要があるのだ。初めてのことで今は怖いかもしれないが、すぐに私の事しか考えられないようになるから」


そんな事絶対にあるわけない!

心の中で全面否定してみるが何度か抽挿を繰り返されてるうちに、身体の奥にじわりとした熱が溜まり始め、超焦る。

挙げ句に内部をぐるりとかき混ぜられた途端、鋭い快感が全身を駆け抜け勝手に身体が跳ねてしまったからビックリだ。


「あぁ…んッ…!」

「姫のいいところはここだな。前からも蜜がとめどなく沸いてくる」

「あッ…!ダメッ!そこばっかりされたらイッちゃうからぁ……!」


これが噂の前立腺か……。正直腰が蕩けるくらいに気持ちいい。

しかもローションか何かをたっぷりと使っているらしく、指を動かす度に聞こえるクチュクチュという音が卑猥すぎて堪らない。

前はガッツリ咥えられて俺の好きな裏筋やカリを徹底的に舐められ、後ろはいいとこばかりを指で擦られ、俺は早くも限界に達しようとしていた。

ところが。

もう我慢出来ない!と思ったところで、またしても高速エレベーターに乗ったような浮遊感を感じ。


──俺の意識は暗転した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~

液体猫(299)
BL
暫くの間、毎日PM23:10分に予約投稿。   【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸にクリスがひたすら愛され、大好きな兄と暮らす】  アルバディア王国の第五皇子クリスは冤罪によって処刑されてしまう。  次に目を覚ましたとき、九年前へと戻っていた。    巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞る。  かわいい末っ子が過保護な兄たちに可愛がられ、溺愛されていく。  やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな気持ちで新たな人生を謳歌する、コミカル&シリアスなハッピーエンド確定物語。  主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ ⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌ ⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます! 婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

処理中です...