人狼ハーレム ――奴隷美少女のハニートラップ

青戸礼二

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二章:人狼ゲームスタート

12話:質問 TO 牙王

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兎の次の質問者は、小夜里だった。

「そもそも、兎ちゃんの言うように、
 誘拐監禁した上、殺し合わせようなんて発想は、
 犯罪なのはもちろん、卑劣で非人道的で、
 許しがたいのはもちろんだけど、
 そこを百万歩譲って、デスゲームの状況を前提にした、
 質問をすると……」

「――長い。質問になってないなら、答えないお」

牙王はつまらなそうに、
あくびするような表情になった。
もちろん、画面上の演出でしかない。

「男が有利なルールに、なっているんじゃないの?
 男だけが処刑指名権を独占するなんて、
 ひどい不平等な制度もいいとこだわ」

「はい、男が有利なルールですお。
 そもそも、『ハーレム』の歴史を見れば、
 男女平等の社会から発生したのかお?
 このゲームは『人狼ハーレム』なんだから、
 そういう不平等なシステムが前提ですお」

「いや、だから、平等なシステムに……」

「それは、質問ではなくて、要望や要求ですお。
 でも、ルール変更の要求は、一切受け付けない。
 で、ファイナルアンサーですお」

牙王は、キッパリと断定口調で言った。
しかし、委員長がブツブツ文句を言うのを見て、
牙王は話題を切り替える。


「メガネは、ルソーの『社会契約論』って知ってるかお?」

「もちろん。歴史とか政経とか、
 社会科系の授業で出てくるから」

勝手なあだ名をつけて呼ぶ牙王。
社会科は、いかにも委員長が得意そうな教科だ。

「キミたちは、この人狼館に来たことで、
 『新しい国に、生まれ直した』と考えるがいいお」

「国」という概念を、牙王は好むようだ。
たしかに、デスゲームの運営側にとっては、
国を運営していると思うと、気分がいいかもしれない。
古里太だって、そうなのだから。

「だって、キミたちが外国に移住して、
 その国の法律が気に入らなくても、
 受け入れるしかないだロウ? 同じことだお」

「そんな……! そんなのってないわ!」

「はい、次の挑戦者、ドゾー」

またブツブツ文句を言いそうな委員長を尻目に、
牙王はさっさと次の質問者を呼びつけた。


小夜里の次の質問者は、貴常だ。

「質問よろしくて?
 このゲームに勝利すれば、館を無事に脱出できる、
 という約束でしたわよね?
 では、館を出た後は、元の生活に戻れるのかしら?」

「ほう、やっと質問らしい質問が来たお。
 ……答えは、『戻れない』ですお」

これには、女子たちがざわめいた。
元の生活に戻れないと知って、
絶望感を覚えたのだろう。

「だから、『生まれ直し』た、と考えて欲しいんですお。
 あるいは、『異世界転生』した、とでも考えればいいですお。
 勝利者は、デスゲーム経験者なんだから、秘密をバラされないよう、
 ゲーム後は、遠くに移住してもらうことになりますお」

元の生活に戻れないのは、
古里太にとっても、軽い衝撃だった。
しかし、だからといって、どうすることもできない。


「でも、失うモノが大きい者にとっては、
 理不尽な仕組みですわね」

「だから、不平等なシステムですお。
 それにキミは……」
 
「分かりましたわ。もう、わたくしの質問は、おしまいでしてよ」

「ほう、ずいぶんアッサリと引き下がるんだお。
 次の人、どうぞだお」

貴常は、自分が金持ちのお嬢様だから、
失うモノが多くて理不尽だ、と言いたかったのか。

古里太は、そのような立場を想像してみた。
すると、理屈としては分かるが、心からの共感はできなかった。
そんな簡単に共感できたら、この世界に戦争も起こらないだろう。


貴常の次の質問者は、小音子。

「ワタシの質問ですけれど。
 古里太くんが人狼、という可能性はないのぉ?」

「いいえ。完全にないお。彼は『絶対人間』だお」

「あらそう」

「少し考えれば、分かるだロウが……、
 ハーレムマスターだけが処刑指名権を持つ。
 だからもし、彼が人狼だったら、人狼を処刑できず、
 人狼側が100パーセント勝つゲームになるお。
 そんな先の見えた退屈なゲームは不要だお」

「そうね」

「はい、次の人だお」

小音子も、貴常にまして、アッサリと引き下がった。
たしかに、牙王の言う通り、
それではゲームが成立しないだろう。

古里太は、自分が人狼ではないかと疑われて、
一瞬ドキっとしたものの、人狼の可能性はない、
と牙王が断言してくれて、ホッと胸をなで下ろした。


小音子の次の質問者は、湾子。

「人狼は、殺人を目撃、妨害された相手は、
 無差別に殺してもいい、という話だったッスよね?
 で、その時の人間側が、正当防衛みたいな感じで、
 人狼を殺してもいいッスか?」

「ほう……、アクティブ、アンド、アグレッシブな娘だお。
 殺人を目撃するなどして、人狼だと確認できたなら、
 殺しても構わないお。ただし、『人狼は武器を持ってる』お」

「殺してもいい」か、という質問に、古里太は、戦慄を覚えた。
幼なじみの湾子のことは、何でも知っていると思っていたが、
そんなあっさりと、人を殺せる奴だとは思っていなかった。

しかし、質問としては、非常に有効であり、
湾子のその勇気と知恵に、古里太は感心した。
人狼側だって、殺される危険性があれば怖いだろうし、
そのためどうしても行動が制限されるから。


「え? 武器アリすか? 人狼だけ? ズルくないすか?」

「いやだって、まず人狼は、殺人をする必要があるわけだし、
 もし武器がなかったら、人間側が集団で固まっていれば、
 多勢に無勢で、すぐ取り押さえられちゃうだロウが?」

たしかにそうだ。ゲーム参加者が簡単に思いつくような、
ゲームの穴は、最初からふさがれている、ということか。

もし、殺人の日に、人間が集団で固まっていたら、
人狼以外を全員殺害できるような、
何か強力な武器を、人狼は持てるのだろうか?

それなら、殺人の日の動き方が変わってくる。
あらためて良い質問をしたと、古里太は感じた。

「いわゆるひとつのナイスワン」

湾子がメンバーにいて良かった、
と古里太は思い、ひとりつぶやく。


「はい、次の勇者、ドゾー」

そして、湾子の次、最後の質問者が、古里太だった。

「ゲーム進行が不可能になる事態では、牙王自ら対処するけど、
 それ以外の問題はボクが判断していい、という話だったよな」

「はいですお」

「なら、ゲームルール自体は変えられないにしても、
 それに矛盾しない範囲で、プレイヤーだけのローカルルールを、
 あらかじめボクが作っておいても、問題ないのだろうか?
 国の比喩で言えば、『法律に対する条例』みたいな」

「いいですお」

「たとえば、風呂を混浴にするとか」

「いいですお」

女子から、少しヒソヒソ声が聞こえてきた。
しかし、古里太は気にせず、話を続ける。


「あるいはたとえば、『ヌードビーチ』みたいに、
 裸でいてもいい部屋を決めるとか」

「いいですお」

女子の声は大きくなったが、古里太は話を続ける。

「あるいはたとえば、夜中に出歩いている場合、
 レイプしてもいい、という決まりを作るとか」

「いいですお」

「レイプ」という単語に反応して、女子がざわめいた。
しかし、牙王は、どの例もアッサリと認めてしまう。

「そうか。ボクの質問は以上だ」

「それでは、漫才、これにてお開き。また明日だお!」
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