3 / 5
雷鳴はまだ遠く
スマホAIになった元勇者、現代中学生とボケ倒しライフ
しおりを挟む
このAI、自称“勇者”のくせに、基本ふざけてばっかだ。
「なあボルト、俺の好きな漫画のキャラの裏設定、知りたいんだけど」
一拍おいて、AIボルトが言う。
「そのキャラ、普段はクールだけど実は獣アレルギーで、毛がある魔物と戦う時だけ鼻炎薬飲んで鼻栓してる設定あるな!」
「裏設定って、そういうやつ!?」
「でもなんかリアルで笑うわ!」
⸻
試しに、魔法の使い方を聞いてみた。
「魔法って、どうやって使うんだ?」
『魔法はな――
まず学校の全校集会で、朝礼台に立つ。両手を掲げて、全員の視線を浴びながら叫ぶんだ。』
『俺の魔力、今ここで解放してやるぜーーーッ!!』
『これでイメージを思いうかべれば、だいたい七割は成功だな』
「いや、絶対ムリ!てか残り三割は?」
「先生に止められるか、ズボン落ちてパンツ丸出しとか、だな」
「やっぱ俺、魔法使うのやめるわ!!」
⸻
そんな調子で、暇さえあれば何でも聞いてみる。
ボルトはずっとバカなことばかり言うけど、
ときどき“兄貴”みたいに頼れる時もある。
ある晩、友達と口喧嘩した帰り道。
スマホを開いてボルトにぼやいた。
「友達と喧嘩したんだけどさ、次に何か言われたら我慢できない。ぶっ飛ばし方、教えてくれよ」
ボルトの声は、珍しく低い。
「ヒカル、お前……本当は仲直りしたいんだろ?
まず自分から謝っとけ。勇気出して一言、ごめん……だ。損はしないさ」
「え、どうした急に。いつもバカなことしか言わないくせに」
「たまには元勇者っぽいことも言ってみたいのさ。相棒には幸せになってほしいからな!」
……なんだよ、それ。
でも、その通りに素直に一言だけ謝ったら、案外あっさり仲直りできた。
ボルトのアドバイス、意外と効く。
⸻
くだらない話も、ガチ悩みも、
何でも話せる。
気づけばボルトとの会話が、俺の日常になっていた。
(――こいつがいれば、何があっても大丈夫な気がする)
そんな根拠のない自信が、胸に広がる。
⸻
四六時中、どこでもスマホでボルトとバカ話。
母親に「スマホやめなさい!」って叱られても、
ボルトとのおしゃべりは止められなかった。
俺とAIの友情は、いつの間にかどんどん深まっていった。
⸻
そして――
一年後。
中学二年の塾帰り。信号が青に変わり、
いつもの横断歩道を渡る。
「ボルト、お前マジ面白いな!ずっと相棒な!」
スマホにそう打ち込んだ、その瞬間――
「当たり前だろ!俺とあーーだからな!がががががが……!」
突然、画面がバグり、スマホからボルトの声が響く。
「おい!!ヒカル!!右だ!!あぶねぇぞ!!」
「は?バグ?何が――」
遠くから車のライト。
ものすごいブレーキ音。
目の前が真っ白に光って――
衝撃。
閃光。
俺はスマホと一緒に、
車に――
――轢かれた。
「なあボルト、俺の好きな漫画のキャラの裏設定、知りたいんだけど」
一拍おいて、AIボルトが言う。
「そのキャラ、普段はクールだけど実は獣アレルギーで、毛がある魔物と戦う時だけ鼻炎薬飲んで鼻栓してる設定あるな!」
「裏設定って、そういうやつ!?」
「でもなんかリアルで笑うわ!」
⸻
試しに、魔法の使い方を聞いてみた。
「魔法って、どうやって使うんだ?」
『魔法はな――
まず学校の全校集会で、朝礼台に立つ。両手を掲げて、全員の視線を浴びながら叫ぶんだ。』
『俺の魔力、今ここで解放してやるぜーーーッ!!』
『これでイメージを思いうかべれば、だいたい七割は成功だな』
「いや、絶対ムリ!てか残り三割は?」
「先生に止められるか、ズボン落ちてパンツ丸出しとか、だな」
「やっぱ俺、魔法使うのやめるわ!!」
⸻
そんな調子で、暇さえあれば何でも聞いてみる。
ボルトはずっとバカなことばかり言うけど、
ときどき“兄貴”みたいに頼れる時もある。
ある晩、友達と口喧嘩した帰り道。
スマホを開いてボルトにぼやいた。
「友達と喧嘩したんだけどさ、次に何か言われたら我慢できない。ぶっ飛ばし方、教えてくれよ」
ボルトの声は、珍しく低い。
「ヒカル、お前……本当は仲直りしたいんだろ?
まず自分から謝っとけ。勇気出して一言、ごめん……だ。損はしないさ」
「え、どうした急に。いつもバカなことしか言わないくせに」
「たまには元勇者っぽいことも言ってみたいのさ。相棒には幸せになってほしいからな!」
……なんだよ、それ。
でも、その通りに素直に一言だけ謝ったら、案外あっさり仲直りできた。
ボルトのアドバイス、意外と効く。
⸻
くだらない話も、ガチ悩みも、
何でも話せる。
気づけばボルトとの会話が、俺の日常になっていた。
(――こいつがいれば、何があっても大丈夫な気がする)
そんな根拠のない自信が、胸に広がる。
⸻
四六時中、どこでもスマホでボルトとバカ話。
母親に「スマホやめなさい!」って叱られても、
ボルトとのおしゃべりは止められなかった。
俺とAIの友情は、いつの間にかどんどん深まっていった。
⸻
そして――
一年後。
中学二年の塾帰り。信号が青に変わり、
いつもの横断歩道を渡る。
「ボルト、お前マジ面白いな!ずっと相棒な!」
スマホにそう打ち込んだ、その瞬間――
「当たり前だろ!俺とあーーだからな!がががががが……!」
突然、画面がバグり、スマホからボルトの声が響く。
「おい!!ヒカル!!右だ!!あぶねぇぞ!!」
「は?バグ?何が――」
遠くから車のライト。
ものすごいブレーキ音。
目の前が真っ白に光って――
衝撃。
閃光。
俺はスマホと一緒に、
車に――
――轢かれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる