エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

5 鼓動

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 号令がかかったシーナとカウルが機関銃のある銃座とは別の、その近くに作られた土嚢の掩体のほう進む。
 シーナは対装甲狙撃銃を両腕で抱え、カウルは自身の小銃と、弾薬の入った背嚢リュックを手にしている。この背嚢のなかには、シーナの対装甲狙撃銃用の弾薬である大型弾倉が詰まっている。
 掩体に身を隠すように甲板に膝をついたカウルは、背嚢から大型弾倉を一つ取り出した。
 重機関銃と同じ十二・七ミリ弾が八発入っているこの大型弾倉は、小銃の弾倉とは比べられないほど大きく重い。
 大型弾倉を両手で持ったカウルは、そこで意識を自分の両手に集中させる。
 すると、大型弾倉を握りしめるカウルの両手から、光が仄かに漏れた。
──『心』を大型弾倉に込めたのだ。


『鼓動』と呼ばれるこの術は、人の心そのものを使用する。

──

 例をあげるならば、大切に扱っているものや思い入れがあるものは、もののがそうでないものよりよいという経験が往々にしてあるが、これは持ち主の心がその物体に込められることによって、物体の『存在』がより優位なものとなり、故障したり壊れたりしにくくなっているためである。

 この現象を意識的に、かつ強化して発動するのが『鼓動』と呼ばれる能力である。
 この能力は、戦争に大きく貢献することとなった。
 例えば、同じ銃弾を撃つにしても、『心が込められた銃弾』は、『心が込められていない普通の銃弾』より大きな威力を持つ。
 その衝突する対象が、『心が込められていない普通の銃弾』では通常貫通ないし破壊できない物体であっても、『心が込められた銃弾』ならば、そのがその物体の存在に優位する場合、『心が込められた銃弾』はその対象を貫通・破壊することができる。
 極端な話、それ相応の心が込められていれば、本来威力の小さな銃弾であっても、分厚い装甲を持つ対象を破壊することができるのである。

 また、この能力は戦闘に参加する戦闘員の生存可能性を大きく高めた。
 『鼓動』の能力に長ける者は、常人よりその心の『質』と『量』が勝る。
 『心』はそもそも、人の体のなかに宿っている。そのため、『鼓動』を習得した者は、その肉体の『存在』が、常人の肉体より優位なものなる。
その結果、肉体そのものが丈夫になる──つまり外傷を負いにくくなるのである。
 
 現在の戦闘、特に海上での戦闘では、この『鼓動』の能力をさらに活用した戦闘形態が生まれた。
それが、カウルたち艦上歩兵科による『艦上白兵戦闘』である。
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