Loser`s and dog.

一章

From a losing dog to a biting dog

　 時は、２２００年私たち人類は宇宙から現れた未知の生命体シャイコに対抗するためパウンドフォーと呼ばれる薬をすべての人類に使った。しかし、副作用として一部の人間は本来持つことが出来なかった能力を持ってしまった。その為、政府は能力者の学校を造り、能力を自分で管理できるように教育することで、大人になった際にシャイコに戦える人材を育成している。持っている力によってクラスを分けたので、上の人たちは力やモテ方が尋常ではない。サイコキネシスや圧倒的なパワーなどの能力者はS(Special)クラスと呼ばれ同じ学校でも扱いが全然違う。何もしなくても就職する場所が決まっており、モデルやジャニーズのような人と付き合えることが出来る。ちなみに僕はどんな能力でどんなクラスかと言うとLクラス(Loser)と呼ばれる最下層のクラスに金沢正人の名前があり、能力はホバリングと呼ばれる能力で地面から５cm宙に浮くことが出来るという能力である。はっきり言ってあまりにも外れすぎる能力であり、浮いていても誰にも気づかれない。能力がないよりはましだという人もいるだろう。しかし、戦闘にも使うことが出来ないので某なんちゃらアカデミアのような無個性主人公よりもたちが悪い。あだ名は非能力者を略して比能である。
　朝になり、学校に行く。今日も隣の家はブンブンと風を切る音が聞こえてうるさい。足が速く走れる能力でを持っている崎本が急いで準備しているからだ。どうやら新幹線と同じ速度で走れるらしい。しかも、俺のことをいじめてくる。「足が速いだけでSクラスって小学校の男子かよ」と呟きながら外に出ると友達の石井と香奈が来た。彼の能力はスキャニングという技で壁越しに人や物を視認出来る技で能力はSクラスに近いのだが当の本人が使いこなせていないためLクラスのメンバーである。香奈は俺の幼馴染で能力はメモリーという技で目に見えた物や何気ない会話もすべて記憶している能力でCクラスにいる。石井が「金沢は覚醒したか？能力」と言ってきた。覚醒というのは学校で行われる敵を倒すテストで使うことが求められ、どのように倒すかが採点の基準である。しかし、覚醒は非常に難しく、Lクラスにいる奴らは当然できない。出来ないことを分かってテストを出すことで、見せつけとしてテストが行われている。「覚醒なんて出来るわけないじゃん。石井と香奈は？」と返すと、石井は「俺は行けた。あといい点数取ると上のクラスに上がれるらしいぜ。」と言い、香奈は「まだできていないし、そんなわけない」と答えた。僕の学校で年に数回上のクラスに上がれるチャンスがある。しかし、Lクラスから上のクラスに上がったという例はない。僕は石井の覚醒はまずないとして今回のテストも０点の内容だと僕はもう諦めていた。
　学校の中でもクラスによって格差は存在している。例えばAクラスの昼は高級料理の昼食だがLクラスでは２００円の給付でコンビニに行き、学校でご飯を食べることは禁止されている。また、先生の態度も変わっている。AとLでは露骨に態度が変わる。その為生徒内でカーストが発生していていじめられても何も言うことが出来ないような力の差が出来ている。朝の授業が終わりお昼になると崎本とその仲間(５人ぐらい)でてきて僕に声をかけてきた。「おい、比能。ちょっと能力使ってみろよ」いつもお昼になると声をかけてきて能力を使わせ、彼の能力で知らぬうちにいたずらされているのが毎日の彼の楽しみである。今日も顔に落書きをされてなんとも思わなかったのだが、次の彼の一言で自分の人生が大きく変わった。「能力ない奴はこんなところに来ちゃいけません。もう飽きたから次はCクラスにいる三雲をいじめようぜ。あいつうぜーし」といった。三雲は香奈の苗字である。僕と仲がいいのを分かってあいつは言った。その時、僕は本気で能力を覚醒してLクラスを脱出し、崎本にやり返すことを決めた。テストまでの２週間、毎日僕は能力の覚醒のための特訓を行い、石井も僕の話を聞いて能力の覚醒を練習した。テスト二日前、いつもの場所に集まり二人で練習していたが一向に覚醒する兆しがない。「もう今日は止めよう」と石井が言ったのだがやめるわけにはいかなかった。このままでは香奈に迷惑をかけるためである。その時今までにない感覚が急にやってきた。体から力が湧いていき何でもできるぐらい気持ちも上がっていた。石井は「能力の覚醒だ！金沢、能力を使え！」といったので僕は能力を使った。5cmから10cmに僕の能力が覚醒した。