再会

かりな

文字の大きさ
上 下
2 / 2

戻らない時間

しおりを挟む
隆也が社長の息子

「じゃあ留学したのは」
「会社の跡取りとしての社会勉強だよ。」

高校卒業と同時にアメリカに留学した隆也

「ずっと聞きたかったことがある」
「なに?」

少しの沈黙から先に話し始めたのは隆也だ

「高校の卒業式の時なんで」
「何も言わずに別れたのかでしょ」
「俺は麻奈美はに言いたいことが」

卒業式の前日に聞いてしまった。それに
婚約者がいることも

「卒業式の前日に教室の前通ったらきこえたの」
「聞こえたって」

涙があふれて………言葉が詰まる

「私と付き合ったのは罰ゲームで」
「最初はそうだったけど」
「それに婚約者いたんでしょ」

もう昔のことなのに

「留学の話も私は聞かされてなかった」
「麻奈美はに心配と寂しい思いさせたく」

隆也は私の顔を見て黙った

「罰ゲームで私に近づいたのは別にいい」
「ごめん」
「私は嘘つかれたくなかったの」

一粒の涙が目から落ちた

「それでも隆也と一緒に過ごした日々は」
「麻奈美」
「今でも宝物として胸の奥にしまってる」

まだ好きなんだと私の心には隆也がいる
本当なら「おかえり」って抱きしめたい

「会社の跡取りなら役職に就くんでしょ」
「専務として」
「じゃあこれからは専務って呼ばないと」
「そう………だな」

これ以上話してもお互い傷つけあうだけ
今から隆也は雲の上の存在になる

「専務申し訳ありません。
朝礼がありますので失礼します。」

会議室のドアに向かために歩き出す
隆也が私を後ろから抱きしめた

「最初は罰ゲームだからって気持ちだった」
「離して………もう忘れたいの」
「でも麻奈美と一緒にあると心が癒され」
「専務離してください」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...