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プロローグ
転生先は元の世界でした。
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明るい日差しが目に入る。
「・・・朝?」
ふかふかのベッドは暖かく、そのまま二度寝したい気分になった。
(今日って講義何があったかな)
眠さで廻ってない頭でぼんやり考える。自分が通っている大学は企業が作った大学だ。お給金を貰いながら授業を受けることが出来る、夢のような大学だ。
(・・・それにしても)
今日はとても暖かい。この間冬将軍が到来したとニュースで見た気がする。そんな感じで微睡んでいると……。
ーーーーがちゃり
部屋の扉が開く音がした。
(・・・ん?)
自分が今住んでいる寮は一人暮らしのアパート形式。自分以外が部屋にいるのはおかしい。
(まさか・・・泥棒?)
一瞬、身構えるが朝から泥棒というのもおかしい。するなら人がいないお昼の時間とかだろうし、第一この寮はかなりのセキュリティを誇る。正規外のルートで侵入するのはほぼ不可能である。それに気配は妙齢の女性、手には水の入った桶と布巾だ。
とそこまで考えてはたと気づく。
(この感覚・・・)
女性の位置どころか、部屋に何がどこに置いてあるのかがまるで目で見ているようにわかる。どこか懐かしい感覚。どこかの漫画にでてくる主人公にでもなった気分だ。女性は桶で布巾を濡らしたあと、私にゆっくりと近づいて来た。
「まだ、目が覚めないのね・・・。」
ため息が聞こえる。どうやら私が起きるのを待っているらしい。
「もう3日も起きないなんて・・・。」
その一言に唖然となる。ちゃんと昨日は大学の講義に出て課題のために少し遅くまで残ってレポートを纏めていた筈だ。・・・その途中でちょっとだけ寝落ちしてしまったのは内緒だ。英語の羅列がいけない・・・。しかし、3日も寝ているとはどういうことなのだろう。
ゆっくりと目を開ける。そこには金髪碧眼のスレンダーな美女が布巾片手にこちらを覗きこんでいた。金髪の人でも睫毛は金髪ではないんだなと見たこともない美女をしげしげと眺める。美女の長い耳に掛かっていた髪の毛が頬に流れてきてくすぐったい。結構なロングヘアーだ。・・・長い耳?
「・・・ルーカ!」
美女の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ようやく・・・ようやく目が覚めたのね!よかった・・・。」
美女が上から覆い被さってくる。状況に全くついていけない。それにあの長い耳。まるで漫画に出てくるエルフのようだ。力はそれほど入ってないのか、息苦しくはないものの完全においてけぼりである。
「あなた、自分のことがちゃんとわかる?なにが起こったか覚えてる?」
美女が身体を起こし、こちらをみつめる。覚えてるかってそりゃぁ・・・。
「ーーーっ!」
ズキンと頭に痛みが走る。一気に色んな光景が脳内を走り、色んな事を思い出す。横断歩道、飛んでくる車、大きな雷、魔王との対峙、そして・・・・・・愛しい人の封印。
「うぐぅ・・・」
ベッド上で頭を押さえる。美女が慌てた様に私に手をおいた。
「ルーカ!」
るーか・・・?誰の事?わたし?わたし・・・のこと。美女・・・お母さんの、ルーシャの娘で・・・今年で7歳。
いえ、私は上条泉(かみじょう いずみ)。工業大学に通う大学1年生。両親は既に他界しており、今は会社の寮で一人暮らし。
いや、自分はルーク・アーバレスト。魔法が苦手で剣一筋で勇者になった。女魔王ルクスを・・・愛してしまった女を倒し、永久を共に生きるため自分の魂をもって封印した。元勇者。
頭の中に色んな記憶が入ってくる。どれが正しい自分なのか・・・。いや、どれも正しい自分だ。薄れていく意識の中、自分が前世と前前世の記憶を持って生まれてしまった事をしった。
「・・・朝?」
ふかふかのベッドは暖かく、そのまま二度寝したい気分になった。
(今日って講義何があったかな)
眠さで廻ってない頭でぼんやり考える。自分が通っている大学は企業が作った大学だ。お給金を貰いながら授業を受けることが出来る、夢のような大学だ。
(・・・それにしても)
今日はとても暖かい。この間冬将軍が到来したとニュースで見た気がする。そんな感じで微睡んでいると……。
ーーーーがちゃり
部屋の扉が開く音がした。
(・・・ん?)
自分が今住んでいる寮は一人暮らしのアパート形式。自分以外が部屋にいるのはおかしい。
(まさか・・・泥棒?)
一瞬、身構えるが朝から泥棒というのもおかしい。するなら人がいないお昼の時間とかだろうし、第一この寮はかなりのセキュリティを誇る。正規外のルートで侵入するのはほぼ不可能である。それに気配は妙齢の女性、手には水の入った桶と布巾だ。
とそこまで考えてはたと気づく。
(この感覚・・・)
女性の位置どころか、部屋に何がどこに置いてあるのかがまるで目で見ているようにわかる。どこか懐かしい感覚。どこかの漫画にでてくる主人公にでもなった気分だ。女性は桶で布巾を濡らしたあと、私にゆっくりと近づいて来た。
「まだ、目が覚めないのね・・・。」
ため息が聞こえる。どうやら私が起きるのを待っているらしい。
「もう3日も起きないなんて・・・。」
その一言に唖然となる。ちゃんと昨日は大学の講義に出て課題のために少し遅くまで残ってレポートを纏めていた筈だ。・・・その途中でちょっとだけ寝落ちしてしまったのは内緒だ。英語の羅列がいけない・・・。しかし、3日も寝ているとはどういうことなのだろう。
ゆっくりと目を開ける。そこには金髪碧眼のスレンダーな美女が布巾片手にこちらを覗きこんでいた。金髪の人でも睫毛は金髪ではないんだなと見たこともない美女をしげしげと眺める。美女の長い耳に掛かっていた髪の毛が頬に流れてきてくすぐったい。結構なロングヘアーだ。・・・長い耳?
「・・・ルーカ!」
美女の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ようやく・・・ようやく目が覚めたのね!よかった・・・。」
美女が上から覆い被さってくる。状況に全くついていけない。それにあの長い耳。まるで漫画に出てくるエルフのようだ。力はそれほど入ってないのか、息苦しくはないものの完全においてけぼりである。
「あなた、自分のことがちゃんとわかる?なにが起こったか覚えてる?」
美女が身体を起こし、こちらをみつめる。覚えてるかってそりゃぁ・・・。
「ーーーっ!」
ズキンと頭に痛みが走る。一気に色んな光景が脳内を走り、色んな事を思い出す。横断歩道、飛んでくる車、大きな雷、魔王との対峙、そして・・・・・・愛しい人の封印。
「うぐぅ・・・」
ベッド上で頭を押さえる。美女が慌てた様に私に手をおいた。
「ルーカ!」
るーか・・・?誰の事?わたし?わたし・・・のこと。美女・・・お母さんの、ルーシャの娘で・・・今年で7歳。
いえ、私は上条泉(かみじょう いずみ)。工業大学に通う大学1年生。両親は既に他界しており、今は会社の寮で一人暮らし。
いや、自分はルーク・アーバレスト。魔法が苦手で剣一筋で勇者になった。女魔王ルクスを・・・愛してしまった女を倒し、永久を共に生きるため自分の魂をもって封印した。元勇者。
頭の中に色んな記憶が入ってくる。どれが正しい自分なのか・・・。いや、どれも正しい自分だ。薄れていく意識の中、自分が前世と前前世の記憶を持って生まれてしまった事をしった。
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