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19.出会い
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「――!」
ギルドに帰る途中、騒ぎ声が聞こえてきた。
遠くの方に馬車が見え、そこから聞こえてくる。
その馬車は遠目から見ても豪華だった。
金の装飾がされており、かなりのお偉いさんが乗っていることが予想できた。
その馬車が襲われているのである。
流石に放っておくことは出来ず、助けに行くことを決めた。
「ウィル、待機だ。」
ウィルを待機させ近くまで来ると、護衛の兵士とみられる者は二人しかいない。
残りの護衛は皆死んでいた。
この二人が死んでいれば、中に乗っているであろう人物も死んでいただろう。
何とか間に合ったようだ。
戦闘は馬車の先頭で起きている。
俺は後方から来たのでまだ敵には気づかれていない。
気づいているのかも知れないけど、たった一人の俺なんかには気にも止めていないのかもしれない。
「そろそろ諦めたらどうだ。おとなしく中の奴を渡せばお前達は見逃してやるよ。」
「ふざけるな!お嬢様を引き渡すなどあり得ぬ。俺達が死ぬか、お前達が死ぬかだ。」
見たところ敵の数は10人。
盗賊ってところだろう。
数が多いし奇襲をかけて何とかするしかない。
2人の護衛を10人が囲む形だ。
その一番左の奴に斬りかかる。
突然馬車の裏から現れた俺に驚き、防御する間もなく斬られる。
「なん――」
なんだ、お前は!とでも言いたかったのかも知れないけど、それを言い終わる前にその左の奴を殺した。
そしてその勢いのまま3人目も斬り殺す。
一瞬で戦況は逆転。
急に現れた俺に注意が向いているところで、生き残りの2人がチャンスとばかりに敵に斬りかかる。
俺に斬りかかってきた敵もそんなに強くなく、普通に斬り殺せた。
「危ない!」
生き残りの1人の背後から敵が斬りかかろうとしていた。
それを見た俺は一瞬で追い付き、逆に後ろから斬り殺す。
生き残りの2人も4人敵を殺し、残る敵は1人。
しかし、最後の1人は勝ち目がないとして投降した。
「ありがとう。助かった。」
護衛の一人が話しかけて来る。
赤い髪が特徴的で、その下にある鋭い目つきからは強者の匂いが漂ってくる。
黒色の服の上から、白を基調とした鎧を着ているが、返り血で汚れていた。
その後ろには黒のマントがあり、その異様なまでに整った顔とリンクし、彼が一角の騎士であることを証明していた。
この人、俺より圧倒的に強いな。
何で、そんな人がこんな賊たちにやられそうになっていたのだろうか。
てか、強くてイケメンだなんて……羨ましすぎるだろ
「いえ、当然のことをしたまでです。」
嫉妬心が顔に出そうだったが、何とか抑えた。
「いや、本当に助かった。このままでは殺られるところだった。」
「マルス、もう大丈夫なのですか?」
そんなとき馬車の中から女性の声が聞こえてきた。
その声は聞いているだけで眠気を誘うような優しい声だった。
そして、馬車から出ててきたのは、漆黒と言う言葉が似合うほど黒く艶のある長い髪をなびかせた美しい女性だった。
その顔には美しさと幼さを併せ持ち、清純と言う言葉は彼女のためにあるのではないかと思うほどであった。
身長は160cmぐらいだろうか。シンプルな白いワンピースを着ており、それも彼女の清純さを引き立てていた。
「お嬢様、もうしばらく中でお待ちください。ここらは血で汚れています。」
マルスとはさっきの赤髪のイケメン君の名前みたいだ。
「そちらの方は?」
「彼は、私達を助けてくださった……」
「バルトです。」
まだ名乗っていなかったので、マルスの代わりに答える。
「そうだったのですか。本当にありがとうございました。」
彼女は、俺の手を握りお礼を言ってきた。
そこで、ちゃんと目が合ったのだが、その目の奥にはまだ恐怖が残っていた。
それも、そうか。
下手すれば殺されていたかもしれないんだし。
見た目俺と同い年ぐらいだしな。
恐くて当然だ。
「私はアルベルト家のエリナと申します。お礼をしたいのですが、生憎この後外せない用事がございまして……3日後の正午に私の家まで来ていただけないでしょうか。」
「別にお礼などは良いのですが……」
「とんでもありません。バルト様は命の恩人!そんな方にお礼もしなかったとあれば、アルベルト家にも傷がつきます。ぜひ、お越しください!」
「わ、わかりました。」
行くきはなかったのに、あまりの迫力につい頷いてしまった。
まあ、何かお礼してもらえるならありがたく受け取るとするか。
「もう1つお願いなのですが、街まで一緒に行って頂けませんか?」
護衛が二人となってしまったのだから、人手がほしいのだろう。
「それぐらいでしたらお安いご用ですよ。」
「ありがとうございます。それでは私は馬車に戻ると致します。」
そこで、俺は気づいた。
エリナを見たときから心臓がうるさいのだ。
さっきの戦闘で疲れていたとしても、今までこんなになったとことはない。
なら、この胸のドキドキはいったいなんなのだろうか。
バルトは今まで恋をしたことがなかった。
元の世界では、家から出る必要も無かったので、そもそも出会いと言うものがなかった。
しかし、この世界に来て色々な人とふれ合うようになった。
そして、今運命の人に出会ったのである。
だが、バルトがその想いに気づくのはもう少し先の話である。
ギルドに帰る途中、騒ぎ声が聞こえてきた。
遠くの方に馬車が見え、そこから聞こえてくる。
その馬車は遠目から見ても豪華だった。
金の装飾がされており、かなりのお偉いさんが乗っていることが予想できた。
その馬車が襲われているのである。
流石に放っておくことは出来ず、助けに行くことを決めた。
「ウィル、待機だ。」
ウィルを待機させ近くまで来ると、護衛の兵士とみられる者は二人しかいない。
残りの護衛は皆死んでいた。
この二人が死んでいれば、中に乗っているであろう人物も死んでいただろう。
何とか間に合ったようだ。
戦闘は馬車の先頭で起きている。
俺は後方から来たのでまだ敵には気づかれていない。
気づいているのかも知れないけど、たった一人の俺なんかには気にも止めていないのかもしれない。
「そろそろ諦めたらどうだ。おとなしく中の奴を渡せばお前達は見逃してやるよ。」
「ふざけるな!お嬢様を引き渡すなどあり得ぬ。俺達が死ぬか、お前達が死ぬかだ。」
見たところ敵の数は10人。
盗賊ってところだろう。
数が多いし奇襲をかけて何とかするしかない。
2人の護衛を10人が囲む形だ。
その一番左の奴に斬りかかる。
突然馬車の裏から現れた俺に驚き、防御する間もなく斬られる。
「なん――」
なんだ、お前は!とでも言いたかったのかも知れないけど、それを言い終わる前にその左の奴を殺した。
そしてその勢いのまま3人目も斬り殺す。
一瞬で戦況は逆転。
急に現れた俺に注意が向いているところで、生き残りの2人がチャンスとばかりに敵に斬りかかる。
俺に斬りかかってきた敵もそんなに強くなく、普通に斬り殺せた。
「危ない!」
生き残りの1人の背後から敵が斬りかかろうとしていた。
それを見た俺は一瞬で追い付き、逆に後ろから斬り殺す。
生き残りの2人も4人敵を殺し、残る敵は1人。
しかし、最後の1人は勝ち目がないとして投降した。
「ありがとう。助かった。」
護衛の一人が話しかけて来る。
赤い髪が特徴的で、その下にある鋭い目つきからは強者の匂いが漂ってくる。
黒色の服の上から、白を基調とした鎧を着ているが、返り血で汚れていた。
その後ろには黒のマントがあり、その異様なまでに整った顔とリンクし、彼が一角の騎士であることを証明していた。
この人、俺より圧倒的に強いな。
何で、そんな人がこんな賊たちにやられそうになっていたのだろうか。
てか、強くてイケメンだなんて……羨ましすぎるだろ
「いえ、当然のことをしたまでです。」
嫉妬心が顔に出そうだったが、何とか抑えた。
「いや、本当に助かった。このままでは殺られるところだった。」
「マルス、もう大丈夫なのですか?」
そんなとき馬車の中から女性の声が聞こえてきた。
その声は聞いているだけで眠気を誘うような優しい声だった。
そして、馬車から出ててきたのは、漆黒と言う言葉が似合うほど黒く艶のある長い髪をなびかせた美しい女性だった。
その顔には美しさと幼さを併せ持ち、清純と言う言葉は彼女のためにあるのではないかと思うほどであった。
身長は160cmぐらいだろうか。シンプルな白いワンピースを着ており、それも彼女の清純さを引き立てていた。
「お嬢様、もうしばらく中でお待ちください。ここらは血で汚れています。」
マルスとはさっきの赤髪のイケメン君の名前みたいだ。
「そちらの方は?」
「彼は、私達を助けてくださった……」
「バルトです。」
まだ名乗っていなかったので、マルスの代わりに答える。
「そうだったのですか。本当にありがとうございました。」
彼女は、俺の手を握りお礼を言ってきた。
そこで、ちゃんと目が合ったのだが、その目の奥にはまだ恐怖が残っていた。
それも、そうか。
下手すれば殺されていたかもしれないんだし。
見た目俺と同い年ぐらいだしな。
恐くて当然だ。
「私はアルベルト家のエリナと申します。お礼をしたいのですが、生憎この後外せない用事がございまして……3日後の正午に私の家まで来ていただけないでしょうか。」
「別にお礼などは良いのですが……」
「とんでもありません。バルト様は命の恩人!そんな方にお礼もしなかったとあれば、アルベルト家にも傷がつきます。ぜひ、お越しください!」
「わ、わかりました。」
行くきはなかったのに、あまりの迫力につい頷いてしまった。
まあ、何かお礼してもらえるならありがたく受け取るとするか。
「もう1つお願いなのですが、街まで一緒に行って頂けませんか?」
護衛が二人となってしまったのだから、人手がほしいのだろう。
「それぐらいでしたらお安いご用ですよ。」
「ありがとうございます。それでは私は馬車に戻ると致します。」
そこで、俺は気づいた。
エリナを見たときから心臓がうるさいのだ。
さっきの戦闘で疲れていたとしても、今までこんなになったとことはない。
なら、この胸のドキドキはいったいなんなのだろうか。
バルトは今まで恋をしたことがなかった。
元の世界では、家から出る必要も無かったので、そもそも出会いと言うものがなかった。
しかし、この世界に来て色々な人とふれ合うようになった。
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だが、バルトがその想いに気づくのはもう少し先の話である。
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