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55.秘書
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商人が初めて街を訪問してくれた日から1ヶ月が経ち、ちょくちょくといろんな商人が寄ってくれるようになった。
多分、初めて来てくれた商人が、この街のことを広めてくれたのだろう。
一番近い街に行くのにも、日が出てる時間帯には着けないから、この街を経由していくのが安全なのだ。
これに関しては計算通りである。
さて、1ヶ月が経過したことで家もかなりの数が建ち、冒険者ギルドや商会も完成した。
貴族の家に見えるほど立派なのが出来た。
そろそろ、情報を流しても良い頃合いであるがその前に秘書を募集することにした。
もう少し後からでも良いかなと思ったけど、そうすると試験内容に困るのだ。
優秀な人材を見極められる試験問題を考えるのは非常に難しい。
そこで、貴方がこの街を治める貴族ならば、街を大きくするためにどうするか答えよという問題を出そうと考えた。
もし、後から秘書を募集すると、この問題を使えなくなってしまう。
だから、先に秘書を募集することにしたのだ。
合格基準は、俺がこれからしようとしている出店税はなく、利益の1割を納めるだけで良いようにするという政策と似たような解答をした者である。
俺と同じような解答をした者は、俺と考えが似ていると言うことであるため、信頼できると考えたのだ。
似たような解答をした者が2人以上いた場合は、俺の独断と偏見で決めるとしよう。
やっぱ第一印象って大事だしね!
あと、前提条件として、文字の読み書きと計算が出来ることは必須だ。
試験は面接とするため、試験問題も募集要項の中に載せた。
これで、面接日まで考えることができるだろう。
――――――――――――――――――――――――――――
秘書募集
新しく貴族となったルディ・バルトの秘書を募集中。
給与は月、銀貨10枚。
文字の読み書きと計算が出来る人ならば、身分、性別
を問わず募集する。試験日は掲載されてから5日後の正午
とし、場所はマラアイ村にあるルディ・バルトの家で行う。
試験内容は、簡単な筆記問題と面接。面接では、貴方が
街を治める貴族ならば、街を大きくするためにどうするか
ということを問う。
――――――――――――――――――――――――――――
5日後、22人もの人が試験を受けに来た。
中には、エルフやドワーフもいた。
みな、1か月前まで何もなかったこの場所に、街が出来てきていることに驚いていた。
最初は筆記試験。
ちゃんと文字の読み書きと計算が出来るかを問うだけの試験。
これは全員クリアした。
次に面接である。
一対一の面接で、各々が考えてきた政策を発表していく。
1人目の青年は、新しい何かを開発し、この街だけで売ることで希少性を高め人を集めると言った。
これは一理ある。
現にリルさんに、白熱電球を作らせている目的の一つにそれがあるからだ。
だが、新しい何かということは、具体策が何もない。
その新しい何かが思い付かなければ、その政策は失敗に終わる。
何かを具体的に言えれば、合格にしても良かったのだが……
二人目は、商人に金銭的援助をし、この街で活動してもらうと言った。
悪くはないが、金に頼りすぎた政策であり、俺の考えとはズレがある。
中には奴隷を大量購入して、その奴隷達に店や警備をやらせるという少し過激な解答もあった。
そいついわく、奴隷はいくらでも扱き使えるので生産性が高いらしい。
その後も、試験はどんどん進むでいった。
そして、遂に最後。
21人の面接が終わったが、まだ俺の中で合格者は出ていない。
もし、最後の人もダメならば、再募集するか、この中から決めるしかない。
再募集するということは、俺の計画が遅れることでもある。
出来ればそれは避けたいので、この中から決めることになるだろう。
でも、妥協して決めるのは嫌だから、どうか最後の一人が当たりであってくれ!
コンコンコン
「失礼します。」
そう言って入ってきたのは、20歳ぐらいの女性だった。
赤い髪のショートカットに整った顔。
鋭い目つきをしており、少し怖い感じの女性で、まさに仕事が出来る女って感じだ。
「どうぞ、座ってください。」
「失礼します。」
「面接を始めます。まず、自己紹介をお願いします。」
「はい。私の名前はシルフィと申します。よろしくお願いします。」
シルフィは、感情があまり入っていない機械的な声で淡々と自己紹介をする。
「シルフィさんは、張り出してあった問題は見たでしょうか。」
「はい。見ました。」
「では、シルフィさんの考えを聞かせてください。」
「はい。街を大きくするための絶対条件として、街が安全であることが挙げられます。それに関しては、この街は達成できていると思います。その次に商人が絶対的に必要です。なぜなら、店がなければ人が集まらないからです。では、どうやって商人を集めるか。それは、税率を低くすることです。」
「――ほう。」
その言葉を聞いたとき、自然と笑みがこぼれた。
「今の商人はあまり裕福ではありません。もちろん、成功して儲かっている商人もいますが、それは少数派。大多数の商人は厳しい状況にあるといえます。その原因が高い税です。大抵の街では、商人になりたくても高い出店税があり、なったとしても売上の3割と高い税を取られる。こんな、状況では儲かる訳がありません。そこで、この街では出店税を無くすか低くする。そして、売上の3割という高い税も低くする。そうすれば、商人が自然と集まり、街は発展していくと私は考えます。」
俺は聞き終えた瞬間、立ち上がっていた。
「合格です!俺が求めていた答えそのままです!」
「……ありがとうございます。一度街に帰って、家族に報告したいのですがよろしいでしょうか。」
「もちろん。1週間以内に来ていただければ大丈夫です。家はこちらで準備します。もちろん家賃は不要です。」
「よろしいのですか?」
「ええ、シルフィさんには期待していますので。」
そう言って笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。期待に応えれるよう頑張ります。」
彼女は最後まで表情を変えることなく帰っていった。
少し接しにくい印象を持つが、仕事は完璧にこなしそうだからいいか。
こうして俺の秘書探しは終了した。
秘書探しも一段落ついたので、各街の情報屋にこの街では出店税はなく、利益の1割を納めるだけで良いというのを広めるよう依頼しに行った。
また、各街の冒険者ギルドを周り、俺の街でも冒険者ギルドを作りたいため、人を斡旋してほしいとお願いするのと、文字が書けて計算を出来る人物で、商会で働いてくれる人を募りにも行った。
冒険者ギルドがあるだけで、全然違う。
冒険者ギルドがあれば、冒険者が街に来てくれるし、初級冒険者が街の揉め事等も解決してくれる。
ギルドマスターは、快く了承してくれたので早く来てくれることを願おう。
ちなみに、商会の給与は月5枚である。
都市での一般的な給与が2枚程度なので、そこそこ良い方だと思う。
普通、商会はその街で一番大きな商人が経営していく。
だが、商人は俺の管轄として運営していくつもりである。
だから商会で働く人は、昔あった言葉で言えば公務員である。
そのため、給与は俺が払うことになる。
商会とは言っても、俺の中では区役所のような役割をしてもらうつもりだ。
例えば、この街に家を借りたい場合、商会に行き手続きをする。
店を出したいときもそうだ。
そして、商会は住民票を作成する。
名前と歳、種族、家族人数、住所が分かるようにするのだ。
そうすれば、いろいろなことに役立つ。
この中で、少し問題なのが住所である。
この世界に住所という概念はない。
だから、街の地図を作り、作った家に番号を振り分け、それを地図上に記入していけば、大体の場所は分かる。
番号も規則的に振り分ければ、分かりやすくなるだろう。
やっぱ、誰がどこに住んでるかぐらいは把握しておかないとね。
多分、初めて来てくれた商人が、この街のことを広めてくれたのだろう。
一番近い街に行くのにも、日が出てる時間帯には着けないから、この街を経由していくのが安全なのだ。
これに関しては計算通りである。
さて、1ヶ月が経過したことで家もかなりの数が建ち、冒険者ギルドや商会も完成した。
貴族の家に見えるほど立派なのが出来た。
そろそろ、情報を流しても良い頃合いであるがその前に秘書を募集することにした。
もう少し後からでも良いかなと思ったけど、そうすると試験内容に困るのだ。
優秀な人材を見極められる試験問題を考えるのは非常に難しい。
そこで、貴方がこの街を治める貴族ならば、街を大きくするためにどうするか答えよという問題を出そうと考えた。
もし、後から秘書を募集すると、この問題を使えなくなってしまう。
だから、先に秘書を募集することにしたのだ。
合格基準は、俺がこれからしようとしている出店税はなく、利益の1割を納めるだけで良いようにするという政策と似たような解答をした者である。
俺と同じような解答をした者は、俺と考えが似ていると言うことであるため、信頼できると考えたのだ。
似たような解答をした者が2人以上いた場合は、俺の独断と偏見で決めるとしよう。
やっぱ第一印象って大事だしね!
あと、前提条件として、文字の読み書きと計算が出来ることは必須だ。
試験は面接とするため、試験問題も募集要項の中に載せた。
これで、面接日まで考えることができるだろう。
――――――――――――――――――――――――――――
秘書募集
新しく貴族となったルディ・バルトの秘書を募集中。
給与は月、銀貨10枚。
文字の読み書きと計算が出来る人ならば、身分、性別
を問わず募集する。試験日は掲載されてから5日後の正午
とし、場所はマラアイ村にあるルディ・バルトの家で行う。
試験内容は、簡単な筆記問題と面接。面接では、貴方が
街を治める貴族ならば、街を大きくするためにどうするか
ということを問う。
――――――――――――――――――――――――――――
5日後、22人もの人が試験を受けに来た。
中には、エルフやドワーフもいた。
みな、1か月前まで何もなかったこの場所に、街が出来てきていることに驚いていた。
最初は筆記試験。
ちゃんと文字の読み書きと計算が出来るかを問うだけの試験。
これは全員クリアした。
次に面接である。
一対一の面接で、各々が考えてきた政策を発表していく。
1人目の青年は、新しい何かを開発し、この街だけで売ることで希少性を高め人を集めると言った。
これは一理ある。
現にリルさんに、白熱電球を作らせている目的の一つにそれがあるからだ。
だが、新しい何かということは、具体策が何もない。
その新しい何かが思い付かなければ、その政策は失敗に終わる。
何かを具体的に言えれば、合格にしても良かったのだが……
二人目は、商人に金銭的援助をし、この街で活動してもらうと言った。
悪くはないが、金に頼りすぎた政策であり、俺の考えとはズレがある。
中には奴隷を大量購入して、その奴隷達に店や警備をやらせるという少し過激な解答もあった。
そいついわく、奴隷はいくらでも扱き使えるので生産性が高いらしい。
その後も、試験はどんどん進むでいった。
そして、遂に最後。
21人の面接が終わったが、まだ俺の中で合格者は出ていない。
もし、最後の人もダメならば、再募集するか、この中から決めるしかない。
再募集するということは、俺の計画が遅れることでもある。
出来ればそれは避けたいので、この中から決めることになるだろう。
でも、妥協して決めるのは嫌だから、どうか最後の一人が当たりであってくれ!
コンコンコン
「失礼します。」
そう言って入ってきたのは、20歳ぐらいの女性だった。
赤い髪のショートカットに整った顔。
鋭い目つきをしており、少し怖い感じの女性で、まさに仕事が出来る女って感じだ。
「どうぞ、座ってください。」
「失礼します。」
「面接を始めます。まず、自己紹介をお願いします。」
「はい。私の名前はシルフィと申します。よろしくお願いします。」
シルフィは、感情があまり入っていない機械的な声で淡々と自己紹介をする。
「シルフィさんは、張り出してあった問題は見たでしょうか。」
「はい。見ました。」
「では、シルフィさんの考えを聞かせてください。」
「はい。街を大きくするための絶対条件として、街が安全であることが挙げられます。それに関しては、この街は達成できていると思います。その次に商人が絶対的に必要です。なぜなら、店がなければ人が集まらないからです。では、どうやって商人を集めるか。それは、税率を低くすることです。」
「――ほう。」
その言葉を聞いたとき、自然と笑みがこぼれた。
「今の商人はあまり裕福ではありません。もちろん、成功して儲かっている商人もいますが、それは少数派。大多数の商人は厳しい状況にあるといえます。その原因が高い税です。大抵の街では、商人になりたくても高い出店税があり、なったとしても売上の3割と高い税を取られる。こんな、状況では儲かる訳がありません。そこで、この街では出店税を無くすか低くする。そして、売上の3割という高い税も低くする。そうすれば、商人が自然と集まり、街は発展していくと私は考えます。」
俺は聞き終えた瞬間、立ち上がっていた。
「合格です!俺が求めていた答えそのままです!」
「……ありがとうございます。一度街に帰って、家族に報告したいのですがよろしいでしょうか。」
「もちろん。1週間以内に来ていただければ大丈夫です。家はこちらで準備します。もちろん家賃は不要です。」
「よろしいのですか?」
「ええ、シルフィさんには期待していますので。」
そう言って笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。期待に応えれるよう頑張ります。」
彼女は最後まで表情を変えることなく帰っていった。
少し接しにくい印象を持つが、仕事は完璧にこなしそうだからいいか。
こうして俺の秘書探しは終了した。
秘書探しも一段落ついたので、各街の情報屋にこの街では出店税はなく、利益の1割を納めるだけで良いというのを広めるよう依頼しに行った。
また、各街の冒険者ギルドを周り、俺の街でも冒険者ギルドを作りたいため、人を斡旋してほしいとお願いするのと、文字が書けて計算を出来る人物で、商会で働いてくれる人を募りにも行った。
冒険者ギルドがあるだけで、全然違う。
冒険者ギルドがあれば、冒険者が街に来てくれるし、初級冒険者が街の揉め事等も解決してくれる。
ギルドマスターは、快く了承してくれたので早く来てくれることを願おう。
ちなみに、商会の給与は月5枚である。
都市での一般的な給与が2枚程度なので、そこそこ良い方だと思う。
普通、商会はその街で一番大きな商人が経営していく。
だが、商人は俺の管轄として運営していくつもりである。
だから商会で働く人は、昔あった言葉で言えば公務員である。
そのため、給与は俺が払うことになる。
商会とは言っても、俺の中では区役所のような役割をしてもらうつもりだ。
例えば、この街に家を借りたい場合、商会に行き手続きをする。
店を出したいときもそうだ。
そして、商会は住民票を作成する。
名前と歳、種族、家族人数、住所が分かるようにするのだ。
そうすれば、いろいろなことに役立つ。
この中で、少し問題なのが住所である。
この世界に住所という概念はない。
だから、街の地図を作り、作った家に番号を振り分け、それを地図上に記入していけば、大体の場所は分かる。
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