VRMMOの世界で第2の人生を謳歌します。

ヤキメシ

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61.イグルド

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情報を流してから1ヶ月が経過した。


俺が思っていた通り、多くの商人が税金の安さに食い付きやって来た。


それに比例して多くの冒険者や住人が増えていった。


このまま増えると、数週間後には1kmの壁の中には収まりきらなくなりそうだ。


そこで、壁を作ってくれたフェアロスにもう一度依頼した。


今度は俺の領土を囲む3kmの壁である。


「バルト様、お久しぶりです。まさか、バルト様が言っていた通りになるとは……正直半信半疑だったのですが。」


「ここまで上手く行くとは俺も思ってなかったですよ。」


「さて、代金ですが金貨60枚になりますが、よろしいですか。」


「もちろんです。それではお願いします。」


これでさらに人が集まるだろう。


この様子だと、またすぐに一杯になるだろう。


だが、そうなったとしても俺の領土は3kmだけであるから、これ以上広げることは出来ない。


領土を広げるのは簡単ではない。


戦争で功績を上げるか、何かを献上するかしないとダメだ。


何か交渉材料でも有れば良いのだが……





今日は空いた時間を使って、リルの様子を見に行くことにした。


アドバイスをしてからは一度も行っておらず、今どのぐらい進んでいるのか知りたかったからだ。


コンコン。


……ノックをするも返事はなかった。


コンコン。


再度するもやはり返事はなかった。


留守かなともおもったが、試しにドアを開けようとしてみたら普通に開いた。


リルのことだから、実験に没頭しているのだろう。


仕方なくそのまま入ると、ベットで寝ているリルを見つけた。


俺が来たことにも気づかずに気持ち良さそうに眠っている。


この寝顔を見ていると、起こすのが忍びなく感じる。


「リルさん。」


そっと声をかけるもリルは起きない。


今度は軽く揺らして見ると、リルの目がゆっくりと開いた。


「ん、んん~。あれ、バルト様ではないですか。どうしたんですか?」


リルは目を擦りながら、ベットから起き上がった。


「寝ているときにすみません。どこまで研究が進んだかなと思いまして。」


その言葉を聞いた瞬間、リルさんのテンションが一変した。


「なんと!?よくぞ聞いてくれました!いろいろな竹を試して、今のところ最長22日点き続けました!」


22日か、かなり長い。


俺的には1ヶ月を越えれば、商品化しても良いと思っている。


それまでもう少しだな。


「凄いじゃないですか!このままのペースで頑張ってください。」


「はい!ですが、1つお願いがあります。誰か1人助手として雇ってほしいのです。」


話を聞くと、リルはこの2ヶ月近い間あまり寝ていないらしい。


寝ているうちに、切れてしまっていると正確な点灯時間が分からなくなるので、眠れなかったらしい。


実験大好きのリルも、さすがにこのままでは体に負担が大きすぎると判断したようで、こう言ってきたのだ。


「分かりました。明日にでも手配しておきます。このままの調子で頑張ってください。」


俺が思っていたよりも、早いスピードで完成しそうだ。


となると、魔石が大量に必要となる。


魔石は高いから、街の財産ではあまり買うことは出来ない。


だから、専用の冒険者を雇ってダンジョンに向かわせるか、俺自身がダンジョンに行くことになる。


専用の冒険者は、ダンジョンに潜らせるのだからかなりの金額で雇う必要がある。


魔石を売った方が収入が多いと思われれば、誰も雇われてはくれないからだ。


残念ながら、金が乏しいから質の良い専用の冒険者を雇うことは無理である。


なので、俺が行くことにした。


まあ、そっちの方がコストもかからないし、効率も良い。


そんじゃそこらの冒険者よりは強いからな。


今は街も落ち着いてきたし、シルフィがいるから街を出ても大丈夫だろう。


早速屋敷に戻って準備するか。


「シルフィ、明日から少し街を離れるがその間任せても大丈夫か?」


「はい。お任せください。」


おお、二つ返事とはシルフィは頼りになるやつだな。


その日の夜、シャルとクレアにしばらく出ていくことを告げた。


行かないでと駄々をこねられたが、なんとか説得することができた。


シャルとクレアは、あの事件をあまり気にせず元気に過ごしている。


あの日以来、ウィルにはシャルとクレアの護衛をしてもらっている。


2度とあんなことが起きないようにするためだ。


だから、ウィルをダンジョンのある街に連れていくことは出来ない。


次の日、シャルとクレア、シルフィに見送られてダンジョンのある街、イグルドへと出発した。


イグルドまで280kmある。


馬だと早くても4、5日掛かる道のりだ。


だが、俺には強化魔法があるので3時間もあれば着くことが可能だ。


道中、魔物を見かけることもあったが、いちいち戦ってられないので全部無視した。


「ここか。」


イグルドはダンジョンのある街だけあってかなり大きかった。


カルーネよりは確実に大きく、直径20kmは有りそうだ。


街に入ると、武器屋や薬屋などが多く見られた。


そして、辺りを見渡せば冒険者ばかり。


さすがはダンジョン都市だ。


さて、今日のところは、安い宿屋を探して情報集めでもするか。


明日からダンジョンには潜るとしよう。


情報を集めるためこの街の冒険者ギルドを訪れた。


「すいません。この街に初めて来たのですが、ダンジョンに関する情報などは無いでしょうか。」


「初めての方ですね。まず、ダンジョンには安全上Dランクからしか入れませんがそこは大丈夫でしょうか。」


なに、そうだったのか。


ランク上げといて良かったわ。


「はい、大丈夫です。」


そういって冒険者カードを見せる。


「これは失礼しました。Aランクの冒険者様でしたか。Aランクですと30階層から40階層が適性ですね。ですが、これはあくまでもAランクの冒険者が6人パーティーで挑んだときの目安です。私共としてもパーティーを組むことを推奨しております。」


パーティーか……俺には必要ないな。

魔石を集めることが目的だし、このダンジョンを攻略しようなどとは思っていない。


それに、一人の方が気楽だし。


「後はこちらを見てください。階層ごとのモンスターやその特徴が印されています。こちらは無料ですが、地図はマッピングされている分は、1階層ごとに銀貨1枚で販売しております。」


地図は有料か……しかもなかなかの値段だ。


「また、浅い階層では魔石が出る確率が低くなっており質も悪いので、バルト様の実力でしたら深い階層で戦うことをおすすめします。」


それは初耳だった。


ぶっちゃけ、雑魚と戦って質より数で魔石を集めようと思っていたのに……


「ダンジョンを攻略した人はいるんですか?」


「過去に3組攻略されています。ですが、ここ300年ほどは攻略された人はいないですね。」


ギルドで聞けた情報はこれぐらいだった。


最後に、安い宿屋を教えてもらった。


一番の収穫は、浅い階層だと魔石の確率と質が低いってことだったな。


クソ、これである程度強い敵と闘わないとダメになった。


パーティー組んだ方がいいか?


――まあ、何とかなるか。


無理そうだったらパーティーを募集するとしよう。

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