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Case2 ダンウィッチ・インシデントという悲劇への考察と展望 第二部

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 深夜、アーカムのマンションの一室……
 今夜は月の光が薄く差し込むだけの闇に包まれ、静寂が重くのしかかっていた。
 寝静まるライラのベッドに、黒いローブの影が忍び寄る。
 影は音もなく床に近づき、手に握った短剣を高く掲げ……熟睡する彼女の胸元に一気に突き刺した。
 刃が肉を裂く鈍い音が響き、ライラの体がビクンと震える。
 口元を抑えられて、彼女は断末魔の悲鳴を上げようとしたが、喉から漏れるのはくぐもった呻きだけ。

「うぐっ……ぁあっ!」

 目を見開き、体をよじらせて抵抗する
 だが影の力は強く、血がシーツを赤く染めていく。
 同時にもう一人の影が動き、ローブの両袖から蛸のような触手を翻した。
 ねばつく触手が空気を切り裂き、一足で中二階のベッドへ跳躍する。
 触手がウィリアナを一瞬にして拘束し、彼女の体を絡め取る。
 ドレスを引きちぎる音が響き、胸元を露わにすると黒紫の肋骨と鱗が月光に妖しく輝いた。
 影はそれを確認し、ニチャリと粘着質な笑みを浮かべる。

「ふふ……これだ。……!!」

 しかし、次の瞬間、影は違和感に気づいた。
 ライラとウィリアナの体がボフッと煙を散らし、爆発するように弾け飛ぶ。
 残されたのは、身代わりの紙人形……何らかの術式か薄く魔力を帯びたそれが、床に崩れ落ちた。
 同時に、屋根伝いに走る足音が遠くから聞こえてきた。
 影たちは互いに視線を交わし、窓を突き破って外へ飛び出し追跡を開始する。
 ガラスの破片が散らばる中、闇夜の屋根を駆け逃げる足音を追う影の姿が、月下に溶けていった。



 深夜のアーカムは、蒸気の霧が街を覆い、月光が屋根の瓦を銀色に染めていた。 ライラ=シュルズベリイ、ウィリアナ=アーミティッジ、ハイタ、そして彼女らに迫る追跡者の存在を伝えたレイ=ハヤマの四人は、黒い影のように屋根伝いを駆けていた。

「ぁわっ、教授殿! 何処へ逃走なさるおつもりですか!?」

「ミスカトニック大学構内! そこに辿り着けば、強固な結界が彼らを守ってくれるはずだ!」

 風が耳元を切り裂き、足元の瓦がわずかに軋む中、ライラの金髪が夜風に乱れ、色眼鏡の下の瞳が鋭く前方を睨む。
 ひぃひぃと息を切らせるハイタが、足を滑らせそうになりながら追いつこうとする。

「はぁはぁ……待ってくれよ……!」

 その情けない姿に、ライラは苛立ちを抑えきれず、ステッキを握りしめて叱責した。

「毎晩の体力はどうした! 私をぉっ……あの時のスタミナを今見せろ!」

 危うく言いかけたがウィリアナの手前、言葉を濁した彼女の声は、甘い余韻を残す吐息のように低くしかし怒りの棘を帯びてハイタを刺す。
 ハイタは苦笑いを浮かべ、汗に濡れた額を拭った。

「それはそれっ……違う種類の体力だろ……ぜぇっ、ぜぇ」

 そんなやり取りを聞き、ハヤマはケラケラと笑いながら華麗に瓦を飛び移る。

「あっはっは教授の夜の台詞を真似してみるよ——いつか殺してやる!」

 彼の言葉は、つい先刻のライラの甘い吐息を揶揄するように、毒々しく響いた。
 ライラの顔が赤く染まり、走りながら手頃な瓦を拾い上げハヤマへ投げつける。
 瓦が風を切って飛ぶが、ハヤマは身を翻して軽やかにかわしケラケラと嗤う。

「あはは、惜しい! 教授の投擲は相変わらず正確だねえ。」

「黙れもう! この前の画家といい、アーカム市はいつからデバガメの巣窟になった!?」

 そんな様子に、何も知らないウィリアナは左目を丸くしている。
 黒い髪が風に揺れ、眼帯の下の表情が戸惑いを表す。

「ぇーとぉ……拙、よくわからないで御座いますが、仲良しなので御座いましょうか?」

 彼女の無垢な言葉が、夜の緊張を一瞬和らげる。
 しかし、次の瞬間、追跡者の気配を察知したウィリアナの表情が引き締まった。 懐から小型の儀式杖を取り出し、展開する——それはこの時代の魔術師が普遍的に用いる魔力を補充する装置で、内部機構の計算が儀式を代理し、複雑な呪文を即座に発動させるものだ。
 スイッチを押すと蒸気機構が回転し杖の先端が輝く、薄紫に光る質量を持った魔力のキューブが大量に生成され、後方へ落ちていく。
 キューブは地面に着地するや爆発的に膨張し、追跡者の足を絡め取る障壁を形成した。

「これで、少し足止めできるはずで御座います!」

 ウィリアナの声が風に乗り、四人はさらに速く屋根を駆け、ミスカトニック大学の影を目指した。
 深淵の脅威が迫る中、彼らの絆が、緊張を帯びて輝いていた。
 蒸気の霧が屋根を這い、迫る襲撃者の緊張が張りつめてくる。
 ウィリアナの2発目の魔力キューブが後方を封じ、追跡者の足を絡め取る光景をハヤマは一瞥した。
 先の笑顔から一転、彼の目は冷たく細められ、毒々しい視線がウィリアナの魔術を射抜く。

「手ぬるいねぇ、教科書通りの白魔術じゃないか」

 と、吐き捨てるように呟いた。
 ウィリアナは初めての指摘にガンとショックを受けるが真摯に受け止める。

「うぅ、お父様の書斎にあった魔術に関する本はこの術くらいしか記述がなくって……やっぱり、改良した方が宜しいでございましょうか?」

「はーぁもう箱入り娘かよやり辛い」

 ハヤマの足が止まり、体を翻して追跡者たちに向き直る。
 金に染めた長髪が夜風に揺れ、ピンクのドレスが優雅に翻る中、彼の唇が皮肉な笑みを浮かべた。
 追跡者たちは、キューブの障壁を押し除け、ねばつく触手や短剣を構えて追いついてきていた。
 黒いローブの影が、闇に溶け込みながら迫る。

「お前らも黒だろ、やる気あんのー? お前に至っては使徒になってんのに、何やってんの?」

 ハヤマはそんな彼らを罵倒し、声に甘い毒を混ぜて嘲笑う。
 追跡者の一人が触手を振り上げて応じようとするが、ハヤマの目はさらに冷たく輝いた。

「チッ、仕方ねえなぁ! 指導してやるよボンクラ、ちょうど残弾も溜まってるとこだし……」

 ハヤマのドレスの両袖から、大量の札が溢れ出した。

「衣や、威や、風裏に隠ぬは狩衣の擦れ音や、いさどより来越し召せ」

 古い符文が刻まれた紙片が風に舞い上がり、ハヤマの詠む呪文の響きと共に異形の形を形成する。
 札が渦を巻き、内側から躍り出たのは鉱物の塊のような頭や、ねばつく肉塊の顔を持つ和装の狩人達。
 狩人たちの一つ目は虚空を睨み、刀や槍を構えた姿が深淵から浮き出した芸術のように悍ましく美しい。
 ハヤマは静かに、しかし威圧的な声で命じた。

「いおど様、狩れよ」

 その言葉が、夜の空気を震わせ、狩人たちが追跡者たちへ向かって躍りかかった。
 刃が閃き、触手が絡まる中、ハヤマの笑みが、再び毒々しく熱を帯びて広がるのだった。

「……きひっ」



 ライラ、ハイタ、そしてウィリアナの三人は、息を潜めて逃走を続けていた。

「あ、あのっ! 教授殿、ハヤマ殿を置いて行きてよろしかったのでござりましょうか!?」

 魔術の使用で疲労が溜まったのか息を切らせてきたウィリアナが不安げにライラに呼びかける。 
 金髪が夜風に乱れ、ライラの色眼鏡の下の瞳が鋭く前方を睨み続ける。

「大丈夫、あの変態が暗殺者如きに遅れをとる事はないわ。むしろあいつらが可哀想なくらいだ……油断するな、すぐそこにもっ!」

 ライラが気配を察した物陰にステルスを解除したビヤーキーを放つ。
 ビヤーキーの棘は金属に弾き返され、バランスを崩しながらもすぐにライラの元へ帰ってくる。

「別動隊がいるよなそりゃあ、まったく念入りだな人間ってやつぁ」

「お前は喋らず走るのに専念! また滅せられかけたいのか!」

 息を切らせたハイタの脆い体が汗に濡れ、ウィリアナの黒い髪が純粋な恐怖に震える。
 大学の敷地はどんどん近づいてくるが、周囲を駆ける追跡者は加速とともに数を増やしていく。

「な、何でござりまするかこの数は!!」

「この組織力は、やっぱり連中の……ふふ、ふはは、ははは!」

 突如として笑い出したライラをギョッとした目で見るウィリアナ。
 それを見てハイタも汗をかきながら薄く笑う。

「はは、まさか自主的に出てくるとはな……」

 眼前の暗がりから飛び出す複数の黒いローブの怪人達、そのローブの留め具には逆三角形の内側に渦が巻き、その中央に血走った瞳を持つ紋様。

「来てくれた、来てくれたんだなっ! 深淵を見返すもの……私の一族と、ハスターの……仇っ!!」

 ライラは感極まったように上擦った声で好戦的に笑いながら、ビヤーキーを集結させ眼前の『敵』を睨みあげた。
 ハスターに増幅された憎しみと狂気が牙を剥く、ライラは獣のように唸りをあげた。



 一方、ハヤマの召喚した狩人の神イオドの式神は、鉱物頭の槍使いと肉塊頭の刀使いの二体として、悍ましい美しさを放ちながら襲撃者二人を追い詰めていた。
 鉱物の頭が月光を反射して冷たい輝きを散らし、肉塊の顔がねばつく汁を滴らせて脈打つ。
 それぞれの凶器を振り上げながら高度な歩法……影のように滑るステップで瓦を音もなく踏み、獲物を囲む。
 二体の式神は、触手のような流動性で体を伸ばし、槍と刀を閃かせて襲撃者を壁際に追い込む。
 襲撃者の黒いローブが風に翻り、短剣と蛸のような触手が必死に抵抗するが、式神の動きは優雅で残酷、まるで官能的な舞踏のように獲物の体を切り裂く。

「がぁっ!?」

「こ、こいつら……ただの召喚された化け物じゃない!」

 明らかな異形が、鍛錬を積んだ人間のように洗練された動きを持って迫ってくる。
 ただ寝込みを襲うだけの役割を負わされていただけの暗殺者に、その恐怖はその予想よりも遥かに恐ろしいものとして映るだろう。
 襲撃者達は必然的に恐怖する、命の脅威にすくみ上がり、ただ追い詰められるしかない。
 ハヤマはそんな狩られる獲物の姿に興奮を抑えきれず、ピンクのドレスを優雅に揺らしながら囃し立てた。

「ほらほら、こっちが狩る側になってんぞ? 良いのか? ふふ、逃げろよ、もっと必死に……ははっ」

 彼の声は甘く毒々しく、獲物の悲鳴が夜空に響くたび、ハヤマは身を抱きビクビクと震える。
 襲撃者たちが叫びを上げ、最後の抵抗を試みる。

「うぅ、ぁぁぁああ!!」

 刀を持った肉塊頭が粘液を残像のようにその場に残して滴らせ、流れるような動作で襲いかかる短剣を刀で受け、滑るように懐に潜り袈裟懸けに一閃。
 鮮血が月を染める勢いで噴き上げ、血に濡れながら短剣の襲撃者の上半身が舞い飛ぶ。

「あぁ、ぁ、あ! ぎゃああぁぁぁ!!」

 一歩後退り、踵を返して逃げようとした触手の襲撃者の胸を槍が胸を貫き、刀が介錯するように首を斬り落とす。
 瞬間に、ビクンと跳ねたハヤマの瞳が恍惚に濡れ、唇から漏れる呟き。

「あー……イキかけた……」

 その言葉は、深淵の快楽を思わせ、肌を這うような甘い余韻を残す。
 狩人たちが溶けるように姿を変え、一つの拳大のモヤのような霧に溶け合うと、ハヤマの近くを旋回し、中央に大きく一つその四方に小さく四つの光る眼を開き、冷徹で女性的な声で忠告した。

『レイ、周囲にまだ……』

 その声は優しく、しかし冷たく……霧が彼の袖を撫でるように囁く。
 ハヤマは面倒くさそうに周囲を見回し、金に染めた長髪を揺らして応じた。

「わーってるよ、追えよいおど様。」

 面倒そうなその言葉に、モヤはさらに分裂し、ハヤマの袖からとめどなく溢れ出る札を依代に、再び多数の狩人を形成する。
 鉱物頭、肉塊顔の異形たちが、次々と実体化し、襲撃者の別動隊を追う。
 刃が閃き血の臭いが広がる中、ハヤマの毒のある笑みが、殺戮の宴を予感させた。



 ビヤーキーの群れが、蜂のような羽音を響かせて襲撃者たちを押し返す。
 虚空から現れた生体機械の守護者たちが、棘の槍を振りかざし、黒いローブの影を後退させる。
 ねばつく血の臭いが広がり、戦いの熱気が夜空を熱く染める。
 襲撃者たちに向き、ハイタとウィリアナから表情の見えないライラの背中が月下優雅に佇む。
 彼女の金髪が風に揺れる中、低い声でハイタに命じる。

「2型、それと4型を使わせて」

 その言葉は渇望を帯び、肌を震わせるような甘い響きを宿していた。
 ハイタは一瞬、息を飲む。

「おい、ここで……」

 止めようとするが、ライラの視線——色眼鏡の下から覗く憎悪の炎が、彼の体を熱く刺す。
 あの触手の宴よりも深い、復讐の疼きに満ちた視線に……

『くそ、刺激しすぎたな……』

 心の中で後悔の念を噛み締めながら、ハイタは拳を握りハスターとしての顔を覗かせて

「……承った」

 その声は重く、堪えるように、彼女に応じるしかなかった。
 すると、ステルスを解除した新しい種類のビヤーキーが、現実の裂け目から現れる。
 それは薔薇のような形の尾を持つ昆虫を、バイクの形に歪めたような異形——棘の花弁が尾を飾り、機械的な甲殻が虚空の闇を反射する。
 悍ましく美しいその姿が、夜風を切り裂く羽音を立てて浮上した。
 ハイタはそれに跨がり、ウィリアナに手を伸ばす。彼女の黒い髪が震え、左目が純粋な心配に潤む。

「教授殿、大丈夫で御座りましょうか……?」

 ハイタはウィリアナに優しく微笑む。

「大丈夫だよ、彼女は強いんだ」

 ハイタはウィリアナの手を引っ張り込んで後ろに乗せる。

「ライラ、わかってるな? お前の願いはあくまで……」

 ハイタの言葉が夜空に響く、心から彼女の無事を案じている彼の言葉は邪神のそれに見えないものだった。
 だがそれは、今のライラの求める優しさではない。
 ライラは苛立たしげに振り返り、唇を歪めて応える。

 「お前達を殺すことだ。ここで 殺してやろうか?」

 その声は、怒りと欲求の狭間で溶け合い、体を熱くするような毒々しさを帯び始めていた。
 ハイタは唇を噛み、胸の奥で疼く感情を抑えながらバイク型のビヤーキー『4型』のエンジンを吹かせる。
 薔薇の尾が優雅に広がり、夜空へ飛び出す——切り裂かれた大気が風を起こし、ローブの襲撃者達を怯ませる。

「はっは、ははは! ぁぁあああ!!」

 ライラは嬉々としてありったけのビヤーキーを召喚する。
 拳大の蜂の群れが虚空から溢れ、針の渦を形成して襲撃者たちに襲いかかる。
 棘が肉を貫き、血の雨が降り注ぐ中、彼女の体が興奮に震え、官能的な吐息を漏らす。
 あの歓喜と屈辱に震え触手と交わった記憶が蘇り、復讐の快楽が肌を熱くする。
 暴走した復讐者が、踊る。



 ハイタは空で一直線にミスカトニック大学を目指しながら、ウィリアナにしがみつくよう促しながら呟く。

 「無茶はするなよ……」

その声は、甘い心配と愛情の狭間で、深淵の夜空に溶けていった。


 深夜のアーカムは、蒸気の霧が肌を這うように街を包み、月光が冷たい触手のように夜空を撫でていた。
 ハイタが薔薇のような尾を優雅に広げて夜空を駆け抜ける『4型』のハンドルを駆る。

「追撃が来るだろうからしっかり捕まってろ?」

「は、はわっ……高くて怖いでござりまするが……分かり申した!」

 後ろに強くしがみつくウィリアナにそう言っておく、彼女の豊満な胸が背中に柔らかく触れ、鱗の感触がハイタを刺激する中、地表から魔術による遠距離の衝撃波が襲いかかった。
 虚空を切り裂く波動が、闇を震わせて迫る。
 何度かかわすが、一撃が尾のエンジンに直撃し、機械的な甲殻が火花を散らし、徐々に高度が落ちていく。

「うっそだろ、狙いよすぎだろ……待て待ておわぁぁ!!」

「ひぃぃっ、ハイタ殿おおぉぉ!」

 ハイタとウィリアナの叫びが夜闇に溶け、ビヤーキーの羽音が乱れ、不規則な弧を描いて堕ちていく。
 やがて二人は、ミスカトニック大学の正門前で墜落した。
 衝撃が体を熱く貫き、4型から放り出されたハイタは頭から黒い血を流しながら、痛みに耐えて立ち上がる。

「くはっ、畜生……やっぱり碌でもねえなこの次元……」

 額から滴る赤い雫が、肌を優しく伝い、腐った鉄の臭いが鼻をくすぐる。

「う……痛いっ……」

 ウィリアナはすぐ近くに倒れていたが苦痛に顔を顰めて起き上がれない、どうやら足を挫いたらしい。
 ハイタは彼女の手を取り肩に抱く、彼女の黒い髪が乱れ、眼帯の下の顔が痛みに歪む中、ハイタは彼女の体を強く引き寄せた。

「痛いよな、大丈夫だ……俺が送り届けてやるよっ」

「は、ハイタ殿……っ」

 ウィリアナの涙が、左目から溢れ、頰を濡らす。
 それは自らの痛みからではなく、ハイタ自身の痛みから来るものだった。

「何で、何でハイタ殿はそんなに拙に優しくしてくれるんでござりまするか? 拙にそんな価値なんてない、ダンウィッチに呪われた異形の血なんて……」

 彼女の声は震え、体が熱く震える純粋な困惑を帯び、溢れた涙がハイタの腕に溶け込む。
 ハイタは指でウィリアナの唇を優しく制し、血に濡れた笑みを浮かべた。

「大昔……本当の本当に大昔にな、そういう人間がいたんだ
真面目で、慈しみに溢れて、痛みにも悲しみにも負けない善き羊飼いがな……」

 ウィリアナと共に足を引きずり、一歩一歩正門に近づく。
 痛みが体を蝕み、熱い汗が肌を伝う。

「だから俺は昔から人間が好きだ、契約だけじゃない……酢いも甘いも抱えながら、無様に足掻く矮小で愛おしい生き物だ。」

 黒いローブの別動隊が、さらにハイタたちに迫り、触手のような影が闇を這う。

「邪神だってなぁ……憧れるんだ、よぉっ!」

 そう言いながら、震える足で敷地に一歩踏み入れた瞬間……大学の非常システムが作動した。
 アーカムに響く警報が、ミスカトニック大学から鳴り響き、深淵の夜を震わせ……夜闇の緊張が頂点に達するのだった。

 深夜のアーカムに灯が灯り、蒸気の霧が一層濃くなり肌を這うように街を包む。
 ミスカトニック大学の正門前からアーカム全域に広がっていくように、警報の音が深淵の咆哮のように響き渡っていた。
 金属とクランクの音と共に重金属のアンテナが立ち上がり、放電と共に学園の周囲をヒエログリフのような光る文字によって構成される壁が一瞬だけ視認され、それが結界として学園を防御し始めたことを知らせる。

『霊子通信による緊急要請を受領しました、プロトコル【狂気山脈】を発動します!』

 アナウンスの声が、虚空を震わせるように戸惑いを呼び起こす中、黒いローブの襲撃者たちがウィリアナに飛び掛かった。

「……ハイタ殿っ!」

「ウィリアナ!」

 彼女の黒い髪が乱れ、眼帯の下の顔が恐怖に歪む。
 ハイタは脆い体を熱く震わせ、ウィリアナの前に立ち塞がり、身を挺して守ろうとした。
 その瞬間、巨大なタール色の粘液生物がそれまで身を隠していた塀の内側から煉瓦を突き破り、仕込まれた鉄板を握り締めながら高速で伸びた。
 ねばつく黒い筋肉が脈打ち悍ましい美しさを放ち、敵意をむき出しにした丸く大きい目が浮かび侵入者たちを睥睨する。

『でけぇり・り!』

 と、野太い声が響く。
 それと共に大質量の触手が、襲撃者たちを吹き飛ばし、体を叩きつける。

「ぐああぁぁぁっ!?」

「てけり・り」「てけり・り、かくほっ」

 血の臭いが広がり、骨の砕ける音が夜空を震わせる中、次々と街のマンホールや壁の内側を器用に開いてタール色の粘液生物達が躍り出て襲撃者達を囲み、その手足を触手で拘束する。

 そして優雅にミスカトニック大学の敷地内から出てきて停車した流線的なデザインのオープンカー、そこから躍り出たのは……緑色のウェーブがかかった長髪に白衣を羽織った女性だった。

「らしくないじゃあないの、旧支配者
その行動も、今更『羊飼い』の話を出してノスタルジーに浸るなんてのも
全く、クトゥルフの奴が聞いたら呆れるわよ」

 彼女の肌が月光に優しく照らされ、胸には五芒星の先端に丸の書かれたバッヂが輝く。
 そこには「ミスカトニック大学学長 ヌトス=カァンブル」と彫られていた。

「が、学長殿!?」

 ウィリアナは左目を丸くし、純粋な驚きに体を震わせた。

「は、有名人じゃねえか、引きこもりが」

 ハイタが呟き、腐った血に濡れた額を拭いながら苦笑する。
 学長は優雅にウェーブのかかった髪を払い、唇を歪めて返す。

「もう、何百世紀前だと思ってるの? 誰だって変わるわ……この惑星じゃあね」

 その声は、深淵の秘密を甘く囁くように夜を明るく染め上げる。



 ミスカトニック大学の警報が深淵の咆哮のように響き渡り、非常灯の輝きが血の海を優しく照らす、悍ましい光景を官能的なキャンバスに変えたような景色が広がっている。
 ハヤマはそんな光を浴びて立ち、瞳を恍惚に濡らしながら呟いた。

「おっと、ここでボーナスタイムは終了かな?」

 彼の金に染めた長髪が夜風に優雅に揺れ、ピンクのドレスが汗に濡れて肌に張り付き、体を熱く疼かせる。
 足元には、無惨にも惨殺された襲撃者たちの屍の山——肉片が散らばり、血の臭いが甘く鼻をくすぐり、死の余韻が彼の胸を甘美に震わせる。
 モヤのような霧が、ハヤマの手に持つ札に戻り、符文の刻まれた紙片に五つ目が開いた。

『ヌトス=カァンブル……古き者が派手に動くようになったわね』

 女性的な声が、甘く毒々しく響き、札が微かに脈打つ。ハヤマは唇を歪め、優しく応じる。

「彼女だって種族は違えど『人間』だそうだ、そう言う時もあるんじゃない?」

 そう言いながら、死体の頭を器用に踏み屍の山を降りる。
 柔らかな肉の感触が靴底に伝わり、「あはっ♡」と甘い吐息を漏らしながら、彼の体が微かに震えた。

「さって、我らがお姫様はどんだけ暴走しているかな?」

 そういうとハヤマは未だに激しい戦闘音のする方へ、優雅に歩いていく。
 ステップの一つ一つが、深淵の宴を予感させるように、肌を熱くするのだった。



 一方、ライラは獣のように唸りながら両腕を振り上げ、ビヤーキーの群れを使役して嵐のように戦っていた。

「があああああ!!」

 咆哮と共に蜂の羽音が虚空を震わせ、棘の渦が肉を切り裂き、舞い散る肉片が彼女の金髪を優しく濡らす。
 内側から蛸の触手が伸び、ねばつく筋肉がライラの腕を掴み、次々と両手足を拘束していく。
 肌を這う感触が、甘い疼きを呼び起こし、体を熱く震わせる……だがそれが、逆にライラの逆鱗に触れた。

「ふっざけるなっ! お前ら如きが、私を喰えると思っているのか!!」

 怒りのままに叫び、遠隔操作のビヤーキーで触手を断ち切る。
 刃が肉を裂く音が甘く響き、血の雨が肌を伝う中、彼女の胸が興奮に高鳴る。
 しかしローブの男の一人が、その腕に巻いた機械からアンテナを展開し、チキチキと音を立てて何らかの力場を放出する。

「……えっ」

 しかし、突如、ビヤーキーと繋がったライラの視界がノイズまみれになり、霊子の乱れが魂と視神経をを熱く蝕む。
 ライラは両目を抑え、悲痛な悲鳴を上げる。

「ぁあっ……ぎっ、ぁぁあっ!!」

 駆け回っていた勢いのまま地面に倒れ、全身と視神経の痛みに涙が色眼鏡の下から溢れ、体がビクビクと痙攣し、絶望が肌を這うように広がる。
 ライラは突然ビヤーキーとの接続を切断され、痛みとともに視界が闇に飲み込まれた瞬間、体温を奪われるような極大の恐怖に襲われた。

「ぅあ……あっ、み、見えなっ……暗いっ」

 ハスターから与えられたビヤーキーのおかげで長らく忘れていた、完全に光を失った世界。
 家族と、自分自身を失った窮極の孤独。
 暗闇が彼女の魂を容赦なく蝕み、膝が折れて倒れ蹲る。
 肌を這うような冷たい汗が背中を伝い、息が乱れ、子供のように喉を震わせてハスターの名を呼び泣き叫ぶ。

「ハスター……ハスターっ! 助けて……怖い、怖いよぉ……!」

 涙が色眼鏡の下から溢れ、頰を熱く濡らし、体がビクビクと痙攣する。
 絶望に飲まれ、深淵の闇が彼女の体を触手のように包み込む。
 しかし、襲撃者たちの追撃はなく、代わりに拍手の音が闇に響いた。

「準備はしておくものだねぇ、霊子ジャマーが効くとは……存外宇宙では霊子戦対策が重要視されていないらしい」

 ゆっくりと、嘲るように。
 男の声が、目と鼻の先まで迫り、甘く毒々しく耳を撫でる。

「素晴らしい、素晴らしい憎しみだ……ライラ=シュルズベリイ教授!」

 その言葉が肌を熱く刺し、ライラの体がびくりと震える。
 息遣いが乱れ、恐怖と怒りの狭間で体が熱を帯びる。

「それゆえに惜しい、邪神などと契約するとは」

 吐き捨てるように続く言葉に、彼女の心臓が激しく鼓動し、汗が玉のように肌を伝う。

『何も、知らない癖に。
全て、こいつらのせいだというのに。
私と、ハスターを、嘲笑ったな……!!』

 復讐の炎が胸を熱く焼き、しかし闇の冷たさが体を優しく蝕む。
 だが、ライラは絶望に屈することをやめ、されるがままの体を震わせながら、怒りが込み上げて力一杯叫んだ。


「ハスター! 『女王』の使用を今すぐ許可して! ハスター!」


 声が喉を熱く引き裂き、涙がさらに溢れ肌を濡らす。
 体がビクビクと反応し、官能的な渇望が魂を駆け巡る。
 しかし……帰ってくるのはノイズだけで、返事は来ない。

「なんでっ……なんでよ!! 何でこんな時に!!」

 絶望する中、ノイズが晴れて視界が唐突に戻ってきた。
 巻き上げていた血と肉片すら残さず、たった一匹ライラに視界を送る個体を残して、休止状態になったビヤーキーの群が横たわる中、深淵を見返す者達は忽然と姿を消していた。
 虚空の静けさの中、ライラの息が段々と荒くなり涙が溢れ、歯を割れんばかりに食いしばる。

 「畜生……ちくしょうっっ……!!」

 その叫びが喉を熱く震わせ、ライラはその場に惨めに蹲り、泣き尽くすしかなかった。
 敗北の悔しさが、彼女の怒りを鎮火させては増大させていく。
 こんなにも悔しいのに、また力を求めてライラはかすかな熱をその身に宿していた。



 全身に装甲服を纏った大学の特殊機動部隊が、ガチャガチャと重い音を立てて街中を警戒し、金属の臭いが甘く鼻をくすぐる。
 緊張が支配する厳戒態勢の中、優雅に歩いてきたハヤマのピンクのドレスが夜風に翻る。
 放心状態のライラが、機動隊の一人に肩を貸されてやってくる——彼女の金髪が乱れ、汗に濡れた肌が非常灯に優しく照らされ、色眼鏡の下の瞳が虚ろに虚空を映す。
 ライラの体が微かに震え、魂の奥で疼く絶望が肌を熱く蝕むのね。

「おっと、みんなボロボロじゃん、みっともねぇ」

 ハヤマが毒々しく呟き、ライラを警戒する視線を投げかけるが……彼女の目は反応なく、ただ虚ろに揺れるだけだった。
 ウィリアナと肩を貸し合うハイタが、血に濡れた額を拭いながらライラに近づき、低い声で尋ねる。

「お、おいライラ。何があった? いきなり霊子通信が切れただろ……」

 その言葉に、ライラの体がピクリと震え、震えが胸を駆け巡る。
 今すぐにでもハイタを罵倒したかった——あの触手の余韻が体を熱く疼かせ、復讐の炎が魂を優しく焼き尽くすのに、無能とすら罵れない自分に、自己嫌悪が走る。
 拳を握りしめ、爪が掌に食い込み、血が滴る。

「……っ」

 喉から漏れるのは、くぐもった呻きだけ。
 機動隊員の一人が、ハイタたちと共に来た学長に耳打ちする。
 微かに聞こえる声は低く、緊張を帯びていた。

「……不味いわ、今すぐウィリアナ=アーミティッジを保護します、時空凍結房を準備!」

 その言葉にハイタが反応し、抗議の声が喉を震わせる。

「なっ、それは保護じゃねえ処刑だろ!」

 学長は余裕のない様子で応じた。

「奴らの手は思っていたより広いわ、こっちの雑魚が逆に囮だったのよ!」

 学長の視線が、きょとんとするウィリアナに向けられる。

 ……言うべきか、迷い、諦めたように学長は告げた。


「今しがた、ダンウィッチ近郊にて——ヘンリー=アーミティッジ教授の惨殺死体が発見された。」


 その言葉が、全員の胸を刺す。
 ショックが体を震わせ、ハヤマの瞳が鋭くなり、ハイタの脆い体が硬直し、ライラの虚ろな目が一瞬輝きを宿す。
 そして、ウィリアナは呆然とした顔で立ち尽くす。

「……ぇ、ぅそ……そんな、だって……お父様っ」

 ウィリアナの眼帯に隠された右目が淡く光る。
 ハイタが察知して慌ててウィリアナに叫ぶ。

「……! やめろウィリアナ、『視る』な!!」

 輝いた眼帯の下に隠されたウィリアナの視界が、異次元を通じて現在のダンウィッチの森に『視界を送る』。


 その視界に映るのは、百舌鳥の早贄のように針葉樹の頂点に突き刺され、苦悶の表情と共に項垂れながら夜鷹に啄まれるヘンリー=アーミティッジ教授の死体——


「…………っヒィッ!」

 悍ましい光景が、彼女の魂を激しく蝕む。
 膝をついたウィリアナはガタガタと震える両手で理解を拒む頭を抱え焦点を結ばない瞳が狂気の表出を止められない。

「い、嫌……ぁぁ、やだ、お父様……やだ、嫌あああぁぁぁぁ!!!!」

 蹲るウィリアナの悲痛な叫びが辺りに響く。
 無垢な魂が汚された絶望が周囲を包む中、ハイタの手を強く握りしめるライラ。

「お願い、ハスター……」

 俯いたまま、決意のみが強すぎる、そんな彼女の懇願に俯くハイタは官能的な疼きを覚えながらも、迷いに瞳が揺れる。

「私に、もっと力を頂戴……っ」

 しかし……そうするしかない、彼も、彼女も。

「……あぁ、わかっているさ」


 これは、そういう復讐譚だ。


Case2 第二部 Fin

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