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42.酷い女
しおりを挟む8人分の座布団が敷かれており、奥の一列の端に圭くん、その隣りが空席になっていた。どうやら彼は私が当然そこに座るものだと思っているようで、こちらを見ながら微笑んでいる。ちなみに圭くんの空席では無い方の隣席には、よく一緒にいるのを見掛ける先輩が座っていて、名前は確か今井さんだったと思う。何と言うか、落ち着いた感じでとても優しそうな男性だ。
そして今井さんの隣席にはなんだか圭くんとはベクトルの違った美形が座っていた。圭くんはカッコイイ感じだけど、こちらは可愛い感じで耳にはピアス穴の名残が見える。きっと昔は遊びまくっていたに違いない。いや、きっと現在進行形だろう。そんな風に脳内トリップしていると、龍が手前の奥…つまりピアスくんの前に躊躇なく腰を下ろす。
「須賀さんそこに座るんですか?男性陣は横一列に並ぶのかと思ってました」
そう言いながら中島さんは、自分の後ろに立っていた私に龍の隣りへ座るよう促す。どうやら今井さんが私の彼氏だと思っているようで、隣席が無理なら正面に座ってください…という意味らしい。
「キヨちゃんは俺の隣りだよ。大丈夫、皆んな俺らの仲を知ってるからさ。ですよね今井さん」
「うん、例の公開告白の場に俺らもいたからね」
ピアスくんもコクコクと頷いている。死刑台に乗るような心境で、私は静々と圭くんの隣りに腰を下ろす。ふと顔を上げれば正面には中島さんが座っていて、何とも表現が出来ない微妙な顔をしている。それから当たり障りの無い自己紹介が始まり、ピアスくんの名前が倉橋さんだと判明。圭くんと仲が良いらしいので憶えておこうと横顔を見つめていたら、中島さんが唐突に質問を開始する。
「あの…、堤さんとお付き合いされているのは御門さんなのですか?そして、須賀さんと奪い合ったというのは事実なのでしょうか?」
「うん、俺が彼氏だよ。一度告白したら断られちゃって、それでもメゲずに好きでいたらやっとOKが貰えたんだ。なのにこの人、『須賀くんからも告白されました。どっちも好きなのでやっぱり保留にしてください』とか言って悩み始めるんだもん、酷くない?」
中島さんの目が、これ以上開けられませんと言わんばかりに見開かれている。えっと、なんか話だけ聞いていると私って凄くイヤな女に思えるんですけど、皆さんはどうでしょうか?そんな問いを心の中でだけ呟きながら吉川さんに視線を移すと、彼女は無の境地に入ったような表情を浮かべていた。
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