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44.突然の来訪者
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その晩。
「ほんとビックリだよね、倉橋さんの初恋相手が、あの吉川さんだなんて!」
「希代ちゃん、驚き過ぎ。でもおかしいんだよね、確か聖は『絶世の美女』とか言ってたのに。申し訳ないけど、彼女って全然そんな感じじゃ無くない?いや、もしかするとあの眼鏡を外して化粧したら激変するのか?いやいや、それ以前にそんな少女漫画みたいな展開って、古すぎない?」
「あーでも、吉川さん自身がそんなことを言ってた気がする。『私が化粧をすると、美しくなり過ぎて男どもが仕事出来なくなる』とかなんとか」
「ふうん、そっかあ」
などとゴチャゴチャ言っているけど、実はいま2人揃って入浴中だからッ。浴槽内で背後から胸を揉まれ、首筋にチュッチュ攻撃を受けながらも平然と会話を続ける私ってほんと凄いと思う。
「けえく…ん」
「キヨ…ちゃ…ん」
んで、これから徐々にエロモードへと突入するんですねえ。もちろん万全の体制で挑んでおりますとも!そう、明日は休日出勤だけど午後出社でOKだと言われているし、根性で掃除洗濯もやっつけた。早々に晩御飯も済ませておいたし、あとは…ゴニョゴニョ…危険日じゃないからより密着出来るというか。えへっ、おほっ、とにかくバッチリ、パーフェクトなのだ!!
「んー、キスだけでもう気持ちいい」
「俺も」
うっひょう!ムラムラ最高!!
背中から抱かれながら座っていたところを、クルリと体勢を変えて向かい合う。すると、圭くんが思いっきりオスの顔になっていて。その姿に子宮がキュンとなったので、私の方から何度も何度もキスをする。
「圭くん、好き、大好き」
「キヨちゃん、俺も、愛してる」
──だって、2人しかいないと思い込んでいたのだ。そもそも私たち以外の人間がココにいるはずが無いだろうと。ところが、だ。
ガラッ!
突然ドアが開いたかと思えば、そこには見知らぬ男性の姿が。前髪の長い…いや、全体的に髪がモジャモジャしているその人は訥々とした調子でこう言った。
「ごめん、何度もノックしたんだけど返事が無くて。ああ、お客様がいたんだね。そっか、圭もそういう年頃かあ。えーっと、そうだ、急で悪いけど二泊ほど滞在させて貰うから。取り敢えず、いるんだと知っておいてくれ。じゃあ、邪魔してゴメン。どうぞ続けてください」
驚く私に向かって、圭くんが謝罪する。
「ごめん、ビックリさせちゃったよね?あの人いつもあんな感じなんだ。ほんと寝に帰って来るだけで、ほとんど接触は無いから」
私は立膝をゆっくりと正座に変えながら、圭くんに問う。
「へえ、そうなんだ…って、ねえ、あの人いったい誰?!」
「あれっ、言ってなかったっけ?あの人、研究職を生業にしててさ、現在は米国を基盤に活動中なんだけど、スポンサーへの報告とかの兼ね合いでたまに帰国するんだ。って、前置きが長くなったけど、つまり俺の父親だよ」
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